生命輝く瞬間。二股不倫!? 繁殖ウオッチングでダイビングが2倍楽しくなる!?

念願叶って、初めての久米島に来ています。

久米島のビーチ(撮影:越智隆治)

今回、久米島の海をナビゲートしていただくのは、ダイブエスティバンの川本剛志さん。

フォト派ガイドの集まるガイド会の会長でもある川本さんが、久米島の海でライフワークとしているのが生物たちの“繁殖行動”の観察と撮影。

「生物が自分の子孫を残すために生きているという生き様が見える瞬間」を追いかけることによって、海の楽しみは2倍にも3倍にもなるといいます。

生命輝く瞬間! 本気の婚姻色

放精・放卵前の求愛時、魚は婚姻色になります。

特に卵の準備ができた、まさに直前の“本気の婚姻色”は、体色の彩度、濃淡、コントラストがMAXとなり、その魚が最も美しい状態になります。

川本さんの言葉を借りれば、“生命が最も輝く瞬間”。

■婚姻色のスミレナガハナダイ ↓

婚姻色のスミレナガハナダイ(撮影:越智隆治)

■通常時のスミレナガハナダイ ↓

通常時のスミレナガハナダイ(撮影:越智隆治)

これは、ぜひ見てみたいですね!

人間劇場で見る、お魚ウオッチング

「フィッシュウオッチングと言いつつ、単に魚の名前合わせだけになってしまっているのはもったいない」という川本さん。

確かに、同じ魚、行動を見ていても、海の中に持ち込む情報によって、見える景色は一変します。

例えば、川本さんが紹介してくれた、一見すると何の変哲もないクマノミのペア。

クマノミのペア(撮影:越智隆治)

仲睦まじく、オスとメスのペアが卵を守るクマノミを見守っていると、川本さんがスレートに「このメスのクマノミ性悪女です」。

???

しばらく観察していると、メスのクマノミが移動開始。
追跡していくと、5mくらい離れたイソギンチャクへ移動し、他のオスとペアに。

二股不倫!

そう、このメスは、本宅と別宅を行き来し、どちらでも産卵していたんですね。

しかも、あまり留守にしてしまうと、パートナーが性転換してしちゃうので(人間だとクレージーな話ですが、クマノミはオスからメスへ性転換します)、何食わぬ顔で行ったりきたり。
どちらでもメスとして君臨しながら、自分の子孫を残す確率を上げているのかもしれません。

可愛い顔して、悪い女です。

クマノミ(撮影:越智隆治)

とまあ、想像の羽を伸ばして、魚の話を人間劇場にして楽しむと話も広がって楽しいかもしれません。

オジサンという魚の求愛なんて、想像したら吹き出しそう。

オジサンが一生懸命オシャレをして求愛しながらメスを追いかけまわす……キモイですね。
それに、オジサンが追いかけているのは、オジサンのメスで、つまり、オバサンなのか? とか、もう何がなんだか(笑)。

ただ、あまり厳密に擬人化すると、横恋慕は当たり前、3Pあり、強奪あり、不倫ありと、魚の世界は結構、無節操かも。

擬人化せずに魚を魚として愛でたい人も、懸命に卵を守る魚の様子やとにかく子孫を残そうという生命の知恵、力強さを感じるはずです。

クマノミと卵(撮影:越智隆治)

卵に新鮮な水流を送り込み、孵化を促します

生態にあまり詳しくない僕でも、人に例えて笑っていたり、儚くも懸命な姿に感動していたりと、繁殖行動を追求し続けている川本さんと潜ると、いつもと違う景色が見られて驚くことばかり。

繁殖行動という視点で海を見ると、きっとダイビングが2倍も3倍もおもしろくなるはずですよ!

■取材協力/ダイブエスティバン

ダイブエスティバン

久米島一の大型ボート(53フィート)で6人のスタッフが対応。ビギナーやシニアのケアから、データをもとにした生態など、フォト派やマニアックなリクエストで対応可能な懐の広さが魅力。

writer
PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.jp/profile
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal


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