東京から55分で行ける“楽園”、八丈島の水中を徹底取材 〜カメ、地形、固有種、そして八丈ブルー!〜

東京都には330もの島が存在するのをご存知でしょうか?
僕も調べてみて初めて、「こんなにあるんだー」と思ってしまいました。

そんな330あるうち、最も知られているのが伊豆諸島ではないでしょうか?
今回はそんな伊豆諸島の中でも、気軽に羽田空港から飛行機で55分という好アクセスを誇る東京都の楽園「八丈島」を3本立ての連載でご紹介します。

八丈島は、三原山(東山)と八丈富士(西山)という二つの火山が接合してできた、ひょうたん型の島で、島の面積は山手線の内側とほぼ同じと言われています。
伊豆諸島の海は、黒潮の動きによって毎日雰囲気が変わってきます。

ロケに旅立つ前に天気予報や現地サービスのブログなどをチェックすると、台風並みの大雨と風という情報が。
さすがに悪天候は、僕にはどうすることもできません……。
しかも、水温は低く、黒潮は少し遠くに離れていて、透明度も八丈島にしては悪いようでした。

ビーチポイント「八重根」で
たくさんのカメと美しいアーチに感激

遭遇率ほぼ100%のアオウミガメ

遭遇率ほぼ100%のアオウミガメ

島に上陸すると、今回お世話になる現地サービス「八丈島ダイビングショップ アラベスク」のオーナー小金沢昌博さんが迎えに来てくれました。
ショップに到着して施設のレクチャーを丁寧にしていただき、カメラ機材やダイビング器材セッティングをしたあと、早速一本目へ出発!

一本目は島の西側にあるビーチポイント「八重根」へと向かいました。
ここは、防波堤のガードによって強い風でも潜れるポイントです。
この日は、少し風が強かったのですが、「八重根」はまったく問題ありませんでした。

八丈富士から眺める島の南東方面の景色

八丈富士から眺める島の南東方面の景色

島の西側にあるビーチポイント「八重根」

島の西側にあるビーチポイント「八重根」

エントリーすると、まずはアオウミガメたちがお出迎え!
個体数の多さに圧倒されました。

間近で観察することができる

間近で観察することができる

小金沢さんによると、カメたちが大体どの辺りにいるかは、ほとんど分かっているとのこと。
というのも、岩場の海草を求めて、決まった時間帯に「餌場」に現れるから。

エサを夢中で食べているアオウミガメたちにそっと近づいてみると、逃げることなく間近で観察することができました。
もちろん、写真もじっくり撮ることができます。

沖の方に進んでいくと、水深15mくらいのところに大きな水中アーチが現れました。
アーチは、何枚もの美しいイソバナで彩られ、そのまわりには、多くの魚が群れています。

八重根の巨大な水中アーチには大きなイソバナが何枚も

八重根の巨大な水中アーチには大きなイソバナが何枚も

このアーチがすごく気に入ってしまい、いろんな角度から写真を撮ってみました。
マクロも豊富で、時間が許される限り、じっくり撮影できました。

そして、何より潮の流れもなく、うねりもあまり入ってこないのもうれしいポイント!
初心者も安心して潜れます。

今回の透明度は20mくらい。
海から上がって、「いやー、綺麗だなー八丈島は!」と素直な感想を小金沢さんに伝えると、「いや、これでも透明度は悪い方なんです」というお返事が。

「これで透明度悪いのか……」とビックリ!!

カメラをグルグル回して色んな角度から

カメラをグルグル回して色んな角度から

アーチをくぐるダイバー

アーチをくぐるダイバー

今回潜った「八重根」からショップまでは、車ですぐ。
ウエットスーツのままショップに戻り、そのままシャワーへ。
寒さを感じることなく着替えることができるなんて、ダイバーにとっては嬉しい限り!

ショップで、パソコンを広げて写真の整理などをしていると、小金沢さんから「バーベキューしたいっスね! きりんさん!」と嬉しいお誘いがありました。
ゴロゴロお腹を空かせていた僕にとっては、これ以上ないおもてなし!
僕のお腹は、一気にバーベキューモードに!!

元気をもらったバーベキュー

元気をもらったバーベキュー

これまた、オシャレなことに焼き台の鉄板は溶岩の石。
そして、炭の上に置き溶岩焼肉スタイル!
溶岩で焼くとお肉がふっくらして、さらに美味しさ倍増!
お腹いっぱいに満たされたお腹で、明日のダイビングは準備万端です。

八丈島の代表的ダイビングポイント
「ナズマド」で“濃い”ダイビング

魚影の濃い人気ビーチポイント「ナズマド」

魚影の濃い人気ビーチポイント「ナズマド」

翌日、昨日と変わってお天気は嘘のように快晴!
海況も良さそうなので、八丈島でイチオシのダイビングポイント「ナズマド」へ。
島の北西に位置する人気ビーチポイントです。

離れ小島のハヌ小島の対岸に位置する「ナズマド」は、小島と「ナズマド」の間で潮が流れやすいため、大物に出会えたり、季節来遊魚なども多く見られます。
また、火山活動によって流れ込んだ溶岩が、長年に渡り潮によって削られて、変形。
水中に美しい地形が広がるポイントでもあります。

そして、時には、かなり強い流れを生み出します。
潮の流れが早いこのポイントは、中級者〜上級者向けのポイントです。
アラベスクの小金沢さんが、ブリーフィングで「『ナズマド』はビーチポイントだけど、まるでボートポイントみたいに魚が多いんです」と教えてくれました。
もう、エントリー前からワクワクが止まりません!

そして、八丈島に行ったダイバーから聞いて印象に残っていた、「八丈ブルー」というキーワード。
僕も、エントリー口で思わず唖然……!
青く水が抜けている様子に感動しました。

エントリー口で念願の「八丈ブルー」

エントリー口で念願の「八丈ブルー」

噂には聞いていましたが、「これか!八丈ブルーは!」と大興奮。
透明度は軽く30〜40mはあり、溶岩の美しい地形とダイバーだけで、絵になってしまうほどの美しさです。

さらに沖に行くと魚影は増えて、潮あたりがいいところでは無数のキンギョハナダイの群れなどが目立っていました。
カラフルなイボヤギやイソバナが壁一面に広がり、八丈ブルーとの相性が抜群で、なんとも美しい光景でした。

八丈ブルーに溶け込むキンギョハナダイ

八丈ブルーに溶け込むキンギョハナダイ

色とりどりの「ナズマド」のドロップオフ

色とりどりの「ナズマド」のドロップオフ

そして、魚の種類も豊富!
特に、泳いでいるときに気になったのが、ユウゼンでした。
八丈島と小笠原諸島でしか見られない上に、日本固有種のユウゼン。
潮あたりのいいポイントでしか見ることのできないユウゼンですが、「ナズマド」では、エントリー直後の浅場でも普通に見られました。

念願の固有種「ユウゼン」

念願の固有種「ユウゼン」

初夏や秋頃、無数に群れることがあり、ダイバーの中では「ユウゼン玉」などと呼ばれています。
今回はペアでしか見られませんでしたが、それでも僕にとっては、固有種のユウゼンを見られただけでも、とても新鮮でした。

さらに、もう一種、よく目に入ったのがレンテンヤッコ。

ダイビング中に一際輝いていたレンテンヤッコ

ダイビング中に一際輝いていたレンテンヤッコ

特に、幼魚はかなりかわいらしい!
ということで、水深、20mの所にいる子を小金沢さんに紹介してもらいました。

苦労して撮影したレンテンヤッコの幼魚

苦労して撮影したレンテンヤッコの幼魚

潮が早かったので、岩陰の潮がかろうじて当たらない場所で対面。
うつ伏せ状態から、少し顔を上げると潮が顔に当たり、マスクがガクガクする程!
そんな絶妙な場所で撮影することはよくありますが、これまた絶妙でした。

遠くから見守っててくれた小金沢さんいわく、「きりんさんの吐いた泡がちょうど頭の上ぐらいで90°に曲がってましたよ!! 笑」とのこと。
思わず僕も苦笑い……。
そんな充実したナズマドの撮影は無事に終了。

皆さんも是非、「八丈ブルー」を体感してくださいね!

八丈島一筋!
八丈島でガイドをしてきた小金沢さんが2015年9月に設立したダイビングショップです。

気さくに迎えてくれるオーナー夫婦

気さくに迎えてくれるオーナー夫婦

今回お世話になった「八丈島ダイビングショップ アラベスク」

今回お世話になった「八丈島ダイビングショップ アラベスク」

店内には、広々としたシャワーが3つ、トイレが2つ。
大きな洗面所もあります。
ダイビングからウエットスーツで戻ってきた時の利便性がとても良く、女性ゲストも使いやすいと評判です。
各種アメニティやフリードリンク、タオルの貸し出しなど、嬉しいサービスも豊富!

広々としたシャワーは中に3つと外にも完備されているので順番待ちがない

広々としたシャワーは中に3つと外にも完備されているので順番待ちがない

夜間など大事な器材は中で安心して干せる

夜間など大事な器材は中で安心して干せる

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writer
PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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