フィリピンの殿様スタイルならケーブダイビングでも楽々! セブ島で潜った「キャッシルケーブ」

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オーシャナ読者の皆様、お疲れサマンサ!
最近、妙に、狭くて暗い所が恋しくてたまらない石井でございます。
今回もセブでのケーブダイビングについて報告させていただきますね。

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今回ご紹介させていただくのはセブ島の北西部(マクタン島の反対側)の街バランバンの近くにある、「キャッシルケーブ」です。
前回と同様、Jaimes Dive Center(ハイミーズ・ダイブセンター)さんにお世話になりました。

また、Filipino Cave Divers(フィリピーノケーブダイバーズ)のバーニルさんにも同行していただきました。
フィリピーノケーブダイバーズはフィリピンでケーブを探索・開拓しているグループ。
今回のキャッシルケーブも現地との交渉等からはじまり今に至っています。

セブ市内から山を越え
「キャッシルケーブへ」

ハイミーさんのお店のあるマクタン島からの出発です。

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セブ市内を抜けて山越えのルートになるため、早朝5時のまだ街が暗いなか出発。
市内を抜けるとぬけると、ここがセブ? という感じの、伊豆や箱根のような山道の光景が続きました。
ちょっとさびれた街も通りましたが、少し懐かしい感じもしましたね(笑)
山道の途中で朝日を迎え、早朝の港町バランバンに到着。

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バランバンの街で朝食を済ませ、水などを調達したらいよいよケーブに向けて出発。

舗装路を抜けると、未舗装のワイルドな道路が続きます。
雨季ということもあり、水害のようなみずたまりもちらほら。

道中小さな村を抜けると一面にマンゴー畑が広がってきました。
天候にも恵まれたせいか、気持ちのよい青空の下にマンゴーの木。
いつもとは違うフィリピンでワクワクします。

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器材運びがなくて楽々
フィリピンの殿様ダイビングスタイル

マンゴー畑の脇に車を止め、いよいよダイビングの準備。
バーニルさんが先に入り口近くを案内してくれました。

大きな川の横にある小さな川、普段は現地の方が洗濯や水遊びで使っているらしいです。
その小さな川の源流となる所ところが「キャッシルケーブ」の入り口。

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若いころによく釣りで野山に行ったのですが、まさにそのような場所。
フナやブラックバスがいそうな雰囲気ですね。
川のサイドは護岸整備されており、タンクや器材を置くには最適な環境です。

案内のあと、バーニルさんはそのまま林の奥へ。
しばらくすると現地の方たちと一緒に戻ってきました。

バーニルさんが雇っているポーターの方たちで、セッティングを終えた器材やタンクを水際まで運んでくれます。
フィリピンでは、いわゆる「殿様ダイビング」といって、器材を運んでくれたり、場所によってはセッティングもしてくれるショップがほとんど。
なんとケーブダイビングもそれが適用されるよう。
もっと大変な環境を想像していましたが、とても快適に楽しむことができます。

透明度が悪いながらも、
ケーブダイバーしか見れない景色
「キャッシルケーブ」

ケーブの中をご案内していきましょう。
といってもこちらも、前回のパーウッドケーブ同様そこまで長くありません。
ただ、最大深度が-40mとちょっと深め。
上は-0mのエアポケット、下は-40mと、長さのわりに上下の幅が広いです。
まず1本目はエアポケットを目指し、その後-30mほどまで進みます。

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水深1m程の池を進むと、水深6mまで落ちる穴にぶつかります。
ここが川の源流らしく、緩やかですが流れを感じます。
途中は倒木が水路を塞いでおりますが、サイドマウントであれば楽勝(笑)

またその先もかなり狭く、サイドマウントでなければ大変かもしれません。
ただ、バーニルさんからも事前に説明があったのですが、前日の大雨で透明度が極端に落ちているとのこと。
数日前は良い透明度だったそうです。
レックダイビングはともかく、ケーブダイビングは良い透明度であってほしいですね。

途中、何度かせまいところを抜けると、視界は1m以下に。
プライマリーラインを頼りに、先へと進みます。

すると、水深15mほどで二手に別れるに箇所に到達。
ここからはエアポケットを目指すため、ゆっくり浮上します。
ただ、透明度が非常に悪く、先頭ダイバーのライトも見えません。
ダイコンとラインを頼りに慎重に進みます。

ついにエアポケットに到着。
意外にも中は広く、そして高さもありました。
表の景色からは想像できない光景、不思議です。
おそらく(いや絶対)、この水場で暮らす現地の方々も、中にこんな景色があるとは思いもしないでしょう。

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エアポケットの見物を済ませたら、ゆっくりと潜降します。
今度は悪い透明度に加えて下のダイバーの吐く泡も加わり、ますます視界は最悪に……。
ダイコンを見ながら慎重に潜降します。

あとは深場を目指して進むだけ。
見えた範囲でのイメージですが、ここのケーブは縦長に感じました。

途中、何度が天井の低いところを通ります。
その際に水底を確認しましたが、場所によってはシルト(堆積物)が溜まっていました。
ただ、流れがあるわりには細かいシルトです。
川の源流なので砂が多いイメージでしたが、ヘドロのような細かいシルトも見受けられました。(透明度が悪かったため、全体を把握できておりませんので悪しからず……。)

ある程度進んだら、先頭のバーニルさんからターンのサインが出て、出口に向かってUターン。

1本目が終了で、減圧停止のあと、浮上すると早速ポーターの方々がお迎えに。
水面でタンクを外すと、そのまま水際まで持っていってくれました。
とても楽ですね。

水面休息時にはコーヒーをいただいたりしてのんびり過ごします。
いつのまにか現地の方が店を出していました(笑)

ケーブダイビングは
無理しないことが大切

2本目は最大深度の行き止まりまで進みます。
ただ深度を考慮して、酸素を使った加速減圧をしました。

ルートは1本目と同じで、やっぱり変わらずの透明度……。
途中、化石っぽいのがあったのですが、よく確認できませんでした。

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途中までは同じルートということもあり、今度は順調に進みます。
また、1本目にはちゃんと見なかった周囲の環や地形も確認(透明度はめっちゃ悪いけど)、なんとなくケーブの概要がイメージできました。

ダイコンは-40mに近くなった所で、先頭のバーニルさんからターンのサイン、もう少し先を見たかったですが、深度と透明度が悪かったのでそのまま出口に向かいます。
レジャーダイビングでももちろんそうですが、ケーブダイビングはそれ以上に無理をしないことが大切です。

出口付近でちょっとお仕事(笑)
入り口付近のプライマリーラインの張替えをちょっとだけお手伝いさせていただきました。
ラインの張替えは初めてだったので、さすがにドキドキ。

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水深6mでの酸素減圧を終え、そのままエキジット。
あいにくの透明度でしたが、それでもフィリピンでのケーブダイビングを楽しむことができました。

撤収も現地ポーターの方に運んでもらって楽々。
このあとはバランバンの街で遅めの昼食をとり、マクタンの帰路につきました。

今回セブでのケーブダイビングでお世話になったハイミーズ・ダイビングセンターのハイミーさん、フィリピーノケーブダイバーズのバーニルさん、大変お世話になりました。
おかげさまで、楽しく安全にケーブダイビングができました。
ありがとうございます。

左:ハイミーさん 右:バーニルさん

左:ハイミーさん 右:バーニルさん

いかがでしたか?
2回にわたってフィリピンでのケーブダイビングを紹介させていただきました。
サイドマウントを始めていなければ、おそらくここまでケーブダイビングにのめり込まなかったでしょう。
ケーブダイバーだからこその、貴重な体験をさせていただきました。

リゾート地セブでケーブダイビング!
なんと場違いな響きでしょう(笑)
もちろん、セブ滞在中は一度も海に潜っていません! ダイバーなのに(笑)
でも、こんなことができちゃうのもダイビングの魅力の1つ、そしてサイドマウントの可能性の1つなのですよね。

次回はMyホームグランド、スービックのレックダイビングをご紹介させていただきます。
もちろん、サイドマウントで!

フィリピンのケーブには牛がつきもののようです……。

フィリピンのケーブには牛がつきもののようです……。

写真協力:Filipino Cave DiversJaimes Dive Center

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writer
PROFILE
40近くになり、家族で行ったグアム旅行、そこで嫁さんに体験ダイビングを勧められ初ダイビング。
その時の担当インストラクターに「ダイビングうまいねぇ。始めてみれば?」と言われてその気になる。

帰国後、地元のダイビングショップの門を叩き、ダイバーとなる。
この時40歳。

その後、調子に乗ってインストラクターまで一気に取得、

大手ダイビングショップで非常勤インストラクターとして勤務するも、もっとダイビングは自由で良いのでは?と考え始め、そんな中テクニカルダイビングに出会う。

自分の求めていたのはこれかもしれないと勘違いし、IANTDの小さな巨人・豊田聡氏(現PADIテクニカルダイビングアドバイザー)からテクニカルダイビングを教わる。

近年、サイドマウントダイビングを知り、その自由なスタイルに魅了され、ドンドン妄想はエスカレート。

終いにはサイドマウントを極めたいと、これまた大きな勘違いをし、オーシャナ執筆でおなじみの夜の帝王・田原浩一氏に「サイドマウントがうまくなりたいから教えてください!」と無茶な要求でケーブ系のトレーニングを始め、現在に至る。

 そんな訳でダイビング経験年数は6年(2013年11月現在)、経験本数は1500本(2013年12月現在)のお調子者若輩ダイバーです。

私は他のオーシャナ執筆者の方々のような著名人ではありません。
一人のダイバーの目線でサイドマウントの魅力をお伝えできればと思っています。

より安全に、より自由に、より楽しく。
レクリエーションサイドマウントダイビングはその可能性を秘めていると信じています。

是非、皆様の生暖かい目で今後もご支援いただければ幸いです。

主な資格等
■IANTD Normoxic Trimix インストラクター
■IANTD Trimix CCR Diver
■IANTD Trimix Diver
■IANTD Technical Wreck Diver
■PADI OWSIインストラクター MSDT
■PADI テックサイドマウントインストラクター
■PADI テックディープインストラクター
■日本テレビ系「いのちのいろいろ」映像提供多数
■小田原ダイビングスクール非常勤インストラクター
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