まるで人魚のように海中を舞い泳ぐ「マーメイドスイム」に注目
「マーメイドスイム」をご存じだろうか。その人気は欧米諸国から火が付き、アジアではフィリピンやインドネシアなどでブームに。日本ではまだ体験できるショップ自体少ないのが現状だが、世界では2019年に、流行中の中国にて世界大会が開かれたばかりだという。これから日本にもブーム到来の予感(!?)ということで、「マーメイドスイム」とはいったい何なのか、その魅力について、世界初の人魚になるための学校「フィリピン・マーメイド・スイミング・アカデミー」での受講を皮切りに、ダイビング指導団体SSIにて本格的なマーメイドスイムを学び、SSIマーメイドインストラクターの資格を取得した遠藤さんにお話を伺った。
遠藤優人さんプロフィール
「OCEANZ(オーシャンズ)」代表
海外でフリーダイビングインストラクターに従事したのち、奄美大島にて素潜り専門店を経営するために帰国。フリーやスキンといった既存の遊び方だけでなく、何か他にも海の楽しさを伝えられるものはないかと模索していく過程で「マーメイドスイム」と出会う。2016年には世界初の人魚になるための学校「フィリピン・マーメイド・スイミング・アカデミー」にて本場の“マーメイディング”を学んだのち、SSIマーメイドインストラクター資格を取得。現在は自身のショップにてツアーを開催するほかライセンス(Cカード)発行を通じて、多くの方に海の楽しさを伝えている。ダイビング指導団体SSIフリーダイビング×マーメイドスイム登録店としては日本初。
マーメイドスイムとは?
こちらの動画をご覧いただければわかるように、マーメイドスイムとは、人魚そっくりな見た目になる「マーメイドコスチューム」を着て、人魚さながらに水中を舞い泳ぐアクティビティ。カテゴリーとしては素潜りに分類されており、誰でも気軽に体験することができるが、美しく振る舞いながらも水中での滞在時間を長くするためには、息ごらえのスキルが必須になってくるため、安全面においてもフリーダイビング(※)の専門要素を学ぶ必要がある。
マーメイドスイムが楽しめるコースは3つに分かれており、体験ダイビングにあたる「トライマーメイド」、オープンウォーター(OW)レベルにあたる「マーメイド」、アドバンスオープンウォーター(AOW)レベルにあたる「オーシャンマーメイド」があるほか、インストラクター資格を取得すれば、職業「マーメイド」として水中ショーなどで活躍できる道も。
ここからは、マーメイドスイムの特徴となるコスチューム、‟マーメイディング”と呼ばれる仕草ならびに泳ぎ方、コースと資格の詳しい内容について順を追って説明していく。
※フリーダイビングとは、ひと息でより深く、長く潜ることに特化した競技性の強い素潜りの一つ。
本物そっくりな「マーメイドフィン」と「フィッシュテイル」を着用
マーメイドスイムはこれがないと始まらないといえるのが、着用するコスチューム。水に入る際は、尾ひれにあたる「マーメイドフィン(以下、マーフィン)」と足首から腰までにあたる「フィッシュテイル」を順に着用していく。
「マーフィン」には、足を固定するフットポケットに両足を入れて着用し、ドルフィンキックの要領で泳ぐ。メーカーによって違いはあれど、上記写真のように形状はハート形に近く、フリーダイビングでいうところの「モノフィン」と比べると、海外の童話に出てくる人魚のイメージに近い形といえるかもしれない(ただ、人魚のモデルといわれているジュゴンやマナティの尾ひれを見ると、かまぼこ型なのでそこはなんとも言えないが…)。
効率的に泳ぐことに特化している「モノフィン」に比べると、推進力は劣るものの、きれいになびかせるという意味合いではアドバンテージ。素材は一部シリコン性もあるものの、ゴムが主流。履き心地のイメージとしては、ダイバーにも人気のGULLの「スーパーミュー」が近いようなので、柔らかく、よくしなりそう。
直接肌に触れる「フィッシュテイル」は、優れた伸縮性をもつライクラやポリエステル素材で作られており、生地の薄さは2mm以下のものが多く、タイトなラッシュガードやレギンスをイメージするとよい。着用すると自分の肌と一体化するかのようなフィット感で、まさにマーメイドになったかのような気分になれるという。
職業をマーメイドとするプロやパフォーマーの方々は、耐久性と保温性を兼ね備えたネオプレン製やシリコン製で作られたものを使用することもあるそう。なお、基本的にはオーダーメイドになるので、アメリカでは3,000ドル以上の費用がかかる。
“マーメイディング”で、外見だけでなく仕草もマーメイドに
見た目を追求するだけでなく、水中ではマーメイドらしい仕草および泳ぎ方である“マーメイディング”も楽しむ。さっそく、マーメイディングの種類をいくつかご紹介していこう。
■そのほかの“マーメイディング”
・投げキッス:水中でバブルを吐いて投げキッスをする。マーメイドらしい仕草。
・クロス:2人のマーメイドで行う。対面から泳いできて、手をつないで引っ張りあう。
“マーメイディング”は他にも種類がたくさんあるとのことなので、気になる方はぜひマーメイドスイムを楽しめるコースに参加を。
マーメイドスイムが楽しめるコースについて
マーメイドスイムが楽しめるコースは3つに分かれており、1つは、気軽に体験できる「トライマーメイド」コース。残り2つは、ライセンス(Cカード)を取得する「マーメイドライセンス」コース、「オーシャンマーメイドライセンス」コースである。
これらは、ダイビングの指導団体SSIが開発したマーメイドプログラムで、日本でライセンス(Cカード)を発行している指導団体は現時点ではここだけかもしれない。
トライマーメイドコース(マーメイドスイム体験)
マーメイドスイムはどんなものなのか、お試しで参加してみたいのならこのコース。波が穏やかで足がつく場所(プールも含む限定水域)にてスタート。はじめてのマーフィンやフィッシュテイルの着用方法や水面での浮き方、ドルフィンキックのやり方などを体験できる。
マーメイドライセンスコース
トライマーメイドコースの内容に加え、垂直に水中に潜るダックダイブのやり方、マーメイドスイムに必要な呼吸法や事故者の水面水中でのレスキュー法を学科と実技に分けて学ぶ。波が穏やかで足がつく場所(プールも含む限定水域)にて開催。参加条件は、12歳以上で自力で水平に50m泳げる方。トライマーメイドコースの体験なしで受講もOK。1.5日ほどで取得できる。
オーシャンマーメイドライセンスコース
海洋にて開催。マスクを外してのスイムやマーメイディングにチャレンジ。耳抜きしながら水深5m(※)までのマーメイドスイムを楽しむ。参加条件は、マーメイドライセンスコース受講者かつ12歳以上で自力で水平に50m泳げる方。こちらは2日ほどで取得可能とのこと。
※3コース共に楽しめる水深は最大5m
ライセンスを取得するメリット
マーメイドフィンやフィッシュテイルさえあれば、ライセンスを持っていなくても、自分で行うことはできる。しかし、人魚のように水中での滞在時間を長くするためには、息ごらえをする必要があり、それを独学で行うことは、水中で酸欠状態となり意識を失うブラックアウトなどの思わぬ事故を引き起こしかねない。ライセンス講習の中で、フリーダイビングにも通ずる専門的な呼吸法やバディのレスキュー方法を正しく学ぶことは、マーメイドスイムを楽しく続けたいのであれば必須といえるだろう。
マーメイドインストラクターコースについて
アメリカや中国では、水族館などでマーメイドショーが開催されているくらい、マーメイドが職業として認知されている。日本ではまだなじみのない職業だが、今後メジャーアクティビティの一つになる日も近いかもしれない。遠藤さんが運営する「OCEANZ(オーシャンズ)」では、先月も日本人女性が取得されたばかりだという。参加資格は、オーシャンマーメイドライセンスコース受講者かつ18歳以上で400m以上泳げる方。最短で7日で取得できる。
安全に楽しくマーメイドスイムにチャレンジしよう
現代は趣味や生き方が多様化しているように、マリンスポーツも多様化が進んでいます。海で遊ぶ選択肢の一つとしてマーメイドスイムもぜひご検討ください。「OCEANZ(オーシャンズ)」で取り扱っているマーメイドスイムコースは、ダイビング指導団体SSIのもとで開発された安全に配慮されたプログラムですので、安心して受講していただけます。マーメイドスイムで、ウミガメや魚たちと一緒に泳ぐ体験を通じて、より海を好きになっていただけるんじゃないかなと思っています。
マーメイドスイムは足が拘束される特殊な器材を使用するうえ、素潜りの要素も含まれるアクティビティなので安全面がしっかりしたお店選びが大切。日本では、ダイビング指導団体SSIのもとで開発されたマーメイドプログラムを導入しているお店が目印。遠藤さんが運営している「OCEANZ(オーシャンズ)」は、日本で初めてのSSIフリーダイビングセンター &マーメイドセンター登録店。マーメイドスイムを安全に楽しみたい方はぜひ問い合わせてみては。