八景島シーパラダイスでイルカの赤ちゃんが誕生、子育てシーンにも注目!
2021年6月3日、横浜・八景島シーパラダイスで「バンドウイルカ」の赤ちゃんが誕生したとの嬉しいニュースが舞い込んできた。現在、生まれたばかりの赤ちゃんイルカがお母さんイルカに寄り添って元気に泳ぐ姿を観察できるとのこと。
ところで読者の皆さんは、イルカの子育てについて注目したことはあるだろうか。母親が出産や育児に奮闘しているのは海の世界でも同じ。本記事では、イルカの子育てにまつわるちょっとした豆知識をご紹介していく。
イルカの妊娠期間ってどのくらい?
イルカの妊娠期間は約380日、1年を少し経過した頃が出産予定日となる。(※1)一般的な人間の妊娠期間が約280日(10月10日)と比べると、イルカの方が100日ほど赤ちゃんがお腹の中にいる期間が長い。イルカの赤ちゃんは、体長約120cm、体重約20~25kgほどで誕生することが多いと言われている。(※2)バンドウイルカの体長が平均で2~4mなので、(※3)約1/3の大きさになるまで、お腹の中で大切に育てられていることが分かるだろう。
(※1)新江ノ島水族館参考
https://www.enosui.com/diaryentry.php?eid=03221
(※2)鴨川シーワールド
http://www.kamogawa-seaworld.jp/aquarium/aquarium_info/dolphin_baby.html
(※3)アドベンチャーワールド
https://www.aws-s.com/topics/detail?id=top1422
(※4)国立科学博物館
https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/pictorial_book/t_truncatus.html
イルカってどの向きで生まれてくるの?
我々と同じ哺乳類であるイルカは、頭上にある「噴気孔(ふんきこう)」、いわゆる「鼻」に当たる部分で呼吸をしている。人間は頭から生まれてくることが一般的であるが、イルカの場合、呼吸ができないことから尾びれから生まれてくる逆子の状態だ。また、出産時には出血も伴うため、血の匂いを嗅ぎつけ外敵にも襲われやすくなるという。お母さんイルカも人間と同様、命がけで出産を行っているのだ。
赤ちゃんイルカが一番初めに習うことは?
生まれたばかりの赤ちゃんイルカが最初にチャレンジするのは息継ぎ。ぎこちなく泳ぎながら水面に向かい、初めての呼吸をする。赤ちゃんイルカが泳ぎやすいように、お母さんイルカが下に入り水面まで押し上げるような動きを繰り返す。こうして、生まれたばかりの赤ちゃんイルカはお母さんイルカに支えられながら、だんだんと呼吸ができるようになる。
海の中での授乳方法って?
イルカのおっぱいはお腹にある切れ込みの中に納まっており、赤ちゃんイルカがおっぱいに吸い付いた時だけ母乳を出して授乳を行う。一方、赤ちゃんイルカの舌にはギザギザした突起物がついていて、これを丸めておっぱいに吸い付くことでより密着し、水中でも母乳だけを飲むことができる仕組みになっている。この舌のギザギザは「葉状突起」(※1)と呼ばれ、母乳を飲んでいる期間しか観察することができず、成長して授乳の必要がなくなると徐々に無くなっていく。赤ちゃんイルカは頻繁に呼吸をしなければいけないため、1回におっぱいに吸いつく時間はほんの数秒。とはいえ、イルカの母乳は人や牛の約5倍に相当する種もいるほど脂肪分が多いため、赤ちゃんイルカはすくすくと成長する。(※2)
(※1)海響館
http://www.kaikyokan.com/dolphin185/
(※2)のとじま水族館
https://www.notoaqua.jp/diary/53
赤ちゃんイルカにしかない白い縦線はなに?
生まれて間もない赤ちゃんイルカには、背びれからお腹にかけて縦に走る白い線が付いている。これは「胎児線」と呼ばれ、生後数週間しか観察することが出来ない。身体を丸めるような状態でお母さんイルカのお腹の中にいたため、このような線ができ、背びれも倒れていることが多いそう。
今回の八景島シーパラダイスのニュースは、赤ちゃんイルカならではの行動や身体の特徴を身近に観察できる絶好のチャンス。また、同じ水槽には2019年に誕生したイルカの親子も同居しているそう。それぞれの親子を比較して、成長の過程を想像してみるのも面白いかもしれない。