バリのダイビング事故、お預かりした捜索協力金の今後について
オーシャナに集まった捜索協力金、ならびに現地に集まった寄付金と現地での捜索費のご報告
バリのダイビング事故について、現地バリに行って確認したことを含めて、オーシャナで集めた捜索協力金に関する途中経過のご報告と今後の方針についてご説明します。
複数の問題が複雑に絡んだ問題ですので、ただ金額を羅列しただけの事務的な報告では伝わらない部分も多く、背景を含めて、言葉を尽くしてご説明という形にします。
まず、オーシャナに集まった最終(2014/3/10現在)の捜索協力金の合計は6,650,679円です。
あらためて、ご協力ありがとうございました。
オーシャナとは別途、現地で捜索に関わったダイビングショップのもとに集まった寄付金と、現地のダイビングショップ有志が捜索にかけた費用は、以下の通りです。
※当事者であるダイビングショップ「イエロースクーバ」のHPによって発表されたものを転載します。
■寄付金総額 (編注:オーシャナの協力金は含まれておりません)
US$42,117 (編注:およそ433万円)
583,000円
630,623,500ルピア (編注:およそ569万円)■2/21時点における捜索費用総額
US$21,710 (編注:およそ223万円)
229,455,305ルピア (編注:およそ207万円)また、未だ発見に至っていない1名については、捜索活動継続中です。
寄付金は、その捜索に伴う費用に有難く使わせていただいております。
皆様からのご厚意に報いるためにも、日々の活動に力を注ぐ所存です。
まずは略式ながら、この場をかりてお礼申し上げます。■22日以降の捜索内容
ボランティア有志による捜索終了後の捜索活動につきまして、別途日々の状況をブログ内でご報告いたします。
捜索協力金の使用について、ポイントは余剰金と保険
■余剰金が出ることが確実
まず、現地の報告によれば、おおまかに現地に集まった寄付金が1060万円あり、さらにオーシャナの協力金がおよそ650万円。
それに対して、2月21日時点の捜索費用がおよそ430万円です。
たとえ保険が適用されなくても余剰金が出るのは確実なほど、お金があるという現状です。
■保険について明確に
では、集まったお金で捜索費用を出してしまえばよいのかといえば、少なくともオーシャナで集めたお金に関しては、もう少し手順を踏む必要があると考えています。
その理由は、こうした偶発的な想定外の事故のために保険というものは存在し、もし、保険を抜きに、お金があるからと、捜索費用を払って終結させてしまうと、「保険に入らなくても何とかなる」「保険に入らない方が得」というミスリードの懸念を感じているからです。
■オーシャナの捜索協力金の目的
オーシャナの捜索協力金は何のためであったのか?
繰り返しになりますが、再度お伝えしておきます。
2月16日に捜索金を募集した際は、とにかくスピードを優先しました。
現地では、現金を支払う担保さえあれば、ヘリによる捜索などの手段を使うことができることが確認できたため、行方不明ダイバーの保険加入状況を確認する手立てがなくとも、まずは捜索費用に必要な現金を用意し、あらゆる捜索の可能性を潰したくないという行動を支えるために、捜索協力金を募集することから始めました。
当時、すぐに必要かつ有効だと思えた4400ドルのヘリコプターチャーターの、少しでも足しになれば、と始めた協力金の活動です。
■捜索協力金のお願いをするに至った経緯と協力金の状況報告
○2月16日(日)
- バリのダイビング事故を受け、寺山がパイプのあった現地ダイビングショップの方々とコンタクトを取り、情報収集&発信を開始
- それを見た、漂流者のダイバー仲間や関係者から、寺山に「現地の情報を知りたい、あるいは何かできる手段がないか」との相談があり、現地に確認したところ、その時点では、ヘリでの捜索が有効であるとの返答。ただし、お金がないために限られた活動になっているという現状を聞く。ただ、4400ドルの新札があればヘリ捜索1回(およそ2時間から2時間半)が行えるということを知り、漂流者のダイバー仲間や関係者に伝える
- 信頼関係のあった「スランガンマリンサービス」が、現地でお金を立て替えてくれるとのことだったので、あとは4400ドルの支払いの担保が必要となる
- 漂流者のダイバー仲間や関係者から「何とか集めますのでヘリを飛ばしたい」との意思を確認したので、現地に伝えてヘリを飛ばすよう依頼
- オーシャナとしては、彼らの4400ドルの負担を少しでも減らせればという趣旨で、サイト上で協力金のお願いを開始
○2月17日(月)
- 朝の時点で入金を確認したところ100万円を越えており、現地に伝えて、必要なだけヘリを飛ばしてもらうことに
- 13時の時点で協力金は300万円を超える
○2月18日(火)
- 朝の時点で入金を確認したところ530万円を超え、捜索費用のメドがたったので、募金の受け付けを終了し、募金を呼びかけた当該記事にその旨を追記
○その後
- 終了・追記後も入金は止まらず、徐々に金額を増やし、最終的に6,650,679円が集まる
捜索協力金の意義と今後の使い道
以上のように、当初は捜索に十分な費用がなく、オーシャナに集まった捜索協力金によって最も大事な初動の捜索が勢いづきました。
お金の担保があることによって、実際に捜索が進展し、5名の救出にもつながったと思っています。
漂流者のご家族や現地捜索ボランティアの方々からの、皆様への感謝の言葉をお伝えしましたが、皆さんの思いは協力金という形で一定の役割を果たしたと思っています。
ただ、当初「少しの足しになれば」と考えた我々の予想以上に多くの方が協力してくださったため、余剰金も生まれることとなりました。
こちらについては、しっかりと手順を踏んで情報を公開しながら対処していくことが、集めた責任だと思っています。
捜索協力金の使い道の方針
オーシャナとしては、2月21日という日にちをひとつのターニングポイントだと考えます。
というのも、21日までは有志ボランティアであるダイビングショップが中心となって行った捜索であり、この時点までの会計報告も明確に成されているからです。
なので、21日までの捜索費(ヘリチャーター、ボートレンタル代)の一部を負担させていただきたいと思っています。
22日以降は、当事者である「イエロースクーバ」を中心として捜索が行われるというフェーズで、その捜索の費用(ボートレンタル代)に関しては、現地の募金で十分まかなえること、当初の緊急を要する捜索と意味合いが異なってきていることなどの理由から、オーシャナの捜索協力金は使うことは不要と考えます。
先述した通り、オーシャナの捜索協力金については、バリの事故に関しては、一定の役割をすでに果たしたと考えます。
具体的な手順
今後の実際の処理については、引き続き、まずは保険の適用についての状況を把握したいと思っています。
具体的には、捜索費用を誰にどのように請求するのか・しないのか、当事者たちがそれぞれどのような保険に加入していて、使う意思(責任)があるのか・ないのか、適用されるのか・されないのか、など、保険についての推移を見守りたいと思います。
※こちら、複雑な問題も多く、少々お時間をいただくかもしれません
余剰金の方針
いずれにせよ、捜索費用の一部を負担したとしても余剰金が出ることは確実で、保険の適用があればそっくり残る可能性もあります。
そのお金をどうするかについては、捜索目的であった以上、基本的には返金したいと思っていますが、「今後のために使って欲しい」との声も多くいただいているので、そうした意思を反映する道があるのか、皆さんからのアドバイスをいただきながら考えたいと思います。
まだ少し時間がかかるかもしれませんが、この場で、定期的に報告します。