耳抜きは永遠のトラブル!?

ダイビング暦45年。やどかり仙人のぶつぶつ日記。

耳のお話★後編

■前編→こちら

耳抜きはダイバーのトラブルのNo.1

DAN(アメリカ)はプロジェクト・ダイブ・エクスプロレーションというダイバーの行動記録調査をやっておりますが、減圧症を除く体のトラブルのNo.1は、圧倒的ぶっちぎりで、イクォーリゼーション(圧平衡)であります。しかもその60%が耳のトラブルで、つまり耳抜きとも関係がありそうです。

この調査に情報を提供するのは昨日オープン・ウォーター講習を終えたダイバーばかりじゃないでしょうから、平均的なダイバーにとってもかなりの問題でありそうですな。

耳抜きの上手下手はダイビングがスムースにいく条件ではありますが、どうもそのときの体調、あるいはもともと耳抜きに向いていないダイバーもいるんじゃなかろうかと、自分自身の体験から思うのであります。

もう1つこの調査でダイバーの体調で、17%のダイバーがアレルギーがあると答えております。
すべてが耳抜きと関係があるとは限りませんが、アレルギーと耳抜きなんて、妙にきな臭い関係が臭っております。

ダイビング・コミュの何でもアンケート

テラ編集長に無理を言って、お願いした耳抜きアンケートですが、160人もの回答があって感激しております。
http://diving-commu.jp/questionnaire/item_4795.html

想像はしていたものの、耳抜きで苦労しているダイバーが多いのにびっくりです。苦労している、ときどき苦労まで入れると、70%近くがなんらかの苦労をしておられるようです。

最初からスムースという恵まれた方もおられる(32%)一方で、ずーと苦労しっぱなし(12%)というお気の毒な方もおられるようです。

また、ダイビング中に突然耳抜きがしにくくなった経験を75%がしている、またリバース・ブロックを30%の人が体験しているという回答は、どちらも潜降時のトラブルというより浮上時のトラブルのようにもみえます。

もちろんリバースブロックといっても、まったく浮上できないほどの激痛から、耳の圧迫感だけといったサインまでいろいろでしょう
(機会を見てリバースブロックのアンケートしてみたいと思っとります)。

あえてヤドカリ爺がアンケートなどをお願いしたのは、耳抜き、難しく言えば圧平衡でありますが、どうも技術的な問題でお手軽に片付けられていている傾向があって、実際には、かなりつらい思いをしておられるダイバーもいるかと思うのであります。

最近、「耳抜きに時間がかかるビギナーです」と申告したら、ドリフトダイビングの参加を断られたという投稿が、どこかのサイトにありました。
いろいろな角度から考えると、断る方、断られる方どちらもそれなりに理屈があるだけに、根の深い問題ですな。

耳抜きは教えにくい・教わりにくい

私は耳抜き苦労派なので、調子がよくてもジワジワー、ブシュンといった感じであります。
ときには、ブツブツブツ、ジワーなんてしまらない抜け方をしました。
現役のダイバーのみなさんの実感はいかがなもんでしょうか?

長年インストラクターをしましたが、耳抜きを教えたものの、生徒さんにとっての耳抜きができた感じは恥ずかしながら結局よくわからんのです。

生徒さんのOKサインを信じるほかないわけですが、生徒さんだって、耳に劇的に外圧がかかって、それを解消する方法など未知の体験。

本当にこんなもんでいいじゃろか?と思いながらOKサインを出していたのではないかと今にして思うのです。

もっとも、耳抜きをマスターするのに3ウイークエンドかかった手ごわい生徒さんもいましたが、その後モルジブ、マレーシアとダイビングにたびたび出かけておりますので、単純に体質的なものだけとは限らんようでもあります。

インストラクターなどというのは因果な稼業でありまして、耳抜きがつらい日があっても、できたような顔をして、生徒さんの人数分だけアップダウンを繰り返します。

こんなときには、浮上後は耳に圧がかかった不快感が残ります。
またなぜかアップダウンを繰り返している最中に、突然抜けなくなります。
理屈からすれば、寝不足だの風邪気味だのといった体調が理由なんでしょうが、非常にその起こり方が不規則なんですな。

BCDは強い味方!?

どこかの海女さんは、シーズン前に鼓膜に穴を開けて潜るといった話しを聞いたことがあります。
こうすりゃ耳抜きをしないですむわけですが、かなり乱暴なオハナシで、
リクリエーションダイバーには当てはまりません。
それどころか感染症をリスクもありそうです。

最近のテキストではあまり耳抜きのテクニックにページが割かれていないようです。
BCDの発明で常に中性浮力がとれ、潜降中にストップでき、耳抜きの余裕が生まれます。
フィートファーストで潜降することも耳抜きを楽にしてくれました。
それでも、アンケートにあるようにかなりの人が耳抜きで苦労している。

耳抜きはダイバーの永遠のトラブルなのか?

みなさんの耳抜きトレーニングの方法を教えていただきたいと思ってております。
ありがたいことに、最近は潜水医学にくわしい耳鼻科のお医者さんが、検査機器を使って耳抜きの適性とトレーニングをしていただけるとか聞いております。

ヤドカリ爺が申しておきたいのは、耳抜きというか圧平衡というのは、一見ダイビング・テクニックの問題のようでありますが、大いにダイバーの体質的な、はたまたそのときの体調といった、個人差の激しい生理的な問題であるということであります。

皆さん、それぞれの体験でアドバイスをしてくれますが、耳抜きでお悩みのお方は、ぜひぜひ、ダイビングに詳しい耳鼻科の先生にご相談をと思うのであります。

耳抜きのトラブルについては、ダイビングのベテランインストラクターで耳鼻科の専門医である、三保仁先生が詳しく説明されております。

ヤドカリ爺も、これほど丁寧な耳抜きのトラブルのメカニズムの説明は目から鱗でありました。

“レジャーダイバーの耳のトラブル”でご検索あれ!!

\メルマガ会員募集中/

週に2回、今読んで欲しいオーシャナの記事をピックアップしてお届けします♪
メールアドレスを入力して簡単登録はこちらから↓↓

登録
PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
FOLLOW