薩摩硫黄島&草垣群島を潜る!約7300年前の火山噴火でできた「喜界カルデラ」が生み出す圧巻の海中景観を見よ

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薩摩硫黄島に初ダイブ!

喜界カルデラの外輪山、硫黄島。
ちなみに、小笠原諸島の硫黄島とは別モノ。薩摩硫黄島とも呼ばれている。
「三島村・鬼界カルデラジオパーク」として、日本のジオパークにも認定されている地だ。

独特の様相を呈すこの島は観光地として人気だが、実は、ダイビングポイントとしても有名だ。
大物との出会い、濃い魚影などの迫力あるシーンに加え、美しいサンゴが輝く青く透明度の高い海が、多くのダイバーを魅了してきた。
この海中景観は、南の暖かい海から流れてくる黒潮の分流がカルデラに当たることで生まれる、複雑な海流が影響している。

今回は、“黒潮ガイド”木村さんが指揮をとり、黒潮流域をめぐるダイビングを案内する「Discovery Cruise」の薩摩硫黄島&草垣群島のツアーに参加させてもらった。
その様子をレポートしよう。

いざ、喜界カルデラの地・薩摩硫黄島へ!

およそ7300年前、薩摩半島の沖合50km南の海底で火山が噴火し、直径およそ20kmにもなる巨大なカルデラ、「鬼界カルデラ」が誕生した。

鬼界カルデラは、深いところで水深400〜500mにもなる。そして、外輪山として、竹島、硫黄島、ヤクロ瀬が海面上に顔を出している。
現在では、硫黄島と竹島は、民宿などもある有人島となっていて、鹿児島からフェリーに乗って、誰でも気軽に島へ遊びに行くことができる。

福岡での撮影を済ませ、福岡で木村さんと合流して車に乗り、船が出航する鹿児島県枕崎の港から、今回のツアー船「栄真丸」に乗船。枕崎から南におよそ50km地点にある鬼界カルデラがある薩摩硫黄島へと向かった。

鹿児島県枕崎市の港を3日分の氷をびっしりと積み込み、出航する「栄真丸」

鹿児島県枕崎市の港を3日分の氷をびっしりと積み込み、出航する「栄真丸」

薩南硫黄島の港内は港底から鉄分を多量に含んだ温泉が湧出し、海水との反応で赤茶色に変色していた

薩摩硫黄島の港内は港底から鉄分を多量に含んだ温泉が湧出し、海水との反応で赤茶色に変色していた

驚くべき透明度と迫力満点の魚の群れ

およそ3時間程で薩摩硫黄島に到着し、早速ダイビングの準備へと取り掛かる。
こちらのツアーでは完全にドリフトダイビングなので1本目は比較的に流れないポイント「ワンダーランド」にてチェックダイブ。

まず、エントリーしてびっくりしたのは透明度だった。

さすが黒潮の分流が当たっているだけあって透明度が高い。そして何より、鬼界カルデラが生み出した地形が美しく、ひたすら水中から壁を水面に見上げるような形で撮影に没頭していた。

次のポイントは、「ビッグドロップ」。

噴火で生まれたダイナミックな柱状節理が見られるポイントだ。

タカサゴやキンギョハナダイ、そして何より柱状節理の壁に群れるニザダイは迫力満点だった。
サンゴが美しいポイントもあった。そして、何より個人的に興奮したのはコガネスズメダイの群れの多さだった。

沖縄などでもこれだけの群れには出会ったことはなかった。

黒潮の分流のおかげで透き通った青い海が火山島の美しい地形を引き立てる

黒潮の分流のおかげで透き通った青い海が火山島の美しい地形を引き立てる

「ビックドロップ」に突如現れるダイナミックな柱状節理は圧巻だった

「ビッグドロップ」に突如現れるダイナミックな柱状節理は圧巻だった

「ビックドロップ」の柱状節理のドロップオフ沿いには多くの魚が群れていてニザダイも大きな群れを作っている

「ビッグドロップ」の柱状節理のドロップオフ沿いには多くの魚が群れていてニザダイも大きな群れを作っている

ベテラン船長や同船しているスタッフさんのフォローもあり、ドリフトダイブ時のエントリー、エキジットも難なくできた

ベテラン船長や同船しているスタッフさんのフォローもあり、ドリフトダイブ時のエントリー、エキジットも難なくできた

操船室で魚群探知機のモニターを見ながらエントリーポイントを確認している様子

操船室で魚群探知機のモニターを見ながらエントリーポイントを確認している様子

ドロップオフ沿いには多くのコガネスズメダイが群れとなっていた

ドロップオフ沿いには多くのコガネスズメダイが群れとなっていた

魚群探知機でエントリーポイント探し!?

そして、次のポイントへ向かっている時の事だった。

何やらガイドの木村さんとファンキー船長が操船室で話し合っていたので覗いて見た。
すると魚群探知機を見ながらエントリーするポイントを探している!!

“ガイドは、あらかじめ一番魚が群れているところ把握して、少し潮上でエントリー。潮に流されながら、魚がいる所に当てる”なんて、理想的じゃないか・・・!
Discovery Cruise」は初めて潜る場所へアタックする、というのがコンセプトだ。
ドリフトで潜るために重要な情報として魚探を駆使している。

このスタイルは贅沢だな〜。

無料で誰でも入浴することができる硫黄島南東側にある天然温泉「東温泉」

無料で誰でも入浴することができる硫黄島南東側にある天然温泉「東温泉」

この日は、薩摩硫黄島で宿泊した。
火山島といえば“やはり温泉!”と言うことで、天然露天風呂に無料で入れる東温泉へ。片手にビールを持ち、みんなで乾杯して旅の疲れを温泉に流した。

翌日は、草垣群島で感動!

翌日、早朝から準備を始めて薩摩硫黄島から西に70km程行ったところにある無人島、草垣群島を目指して出航した。
草垣群島に向かっている途中で突然、200頭以上のミナミバンドウイルカが現れて船の船首の周りを10分ぐらい遊んでくれた。

青い海から温泉の成分によって段々と変わっていくグラデーションは硫黄島ならではの光景

青い海から温泉の成分によって段々と変わっていくグラデーションは硫黄島ならではの光景

黒島付近で出会ったミナミバンドウイルカの群れは10分以上船の周りを遊んでくれた

黒島付近で出会ったミナミバンドウイルカの群れは10分以上船の周りを遊んでくれた

イルカが現れた黒島からもう少し行ったところでようやく現れた草垣群島、早速船長にお願いをして船を一旦止めてもらいドローンを飛ばして空中から撮影してみるとそこに写っていたのは美しく並んだ島々とエメラルドグリーンに写った海岸線だった。

普段は漁師もあまり来ないほどの無人群島「草垣群島」

普段は漁師もあまり来ないほどの無人群島「草垣群島」

さっそく、ファンキー船長が潮あたりの良さそうな群島の一番先端に船を近づける。
ガイドの木村さんと魚群探知機を始動させると操船室から「うっひょー!」という大きな声が上がった。
今船の下には巨大な群れがいて色んな種類の魚がいるとのこと。

「よし、入りますか!」
木村さんの一言でポイントが決まってダイビングの準備が始まった。

有名なポイント「サウスポイント」にエントリーして、さっそく出会ったのが壁のように群れていたタカサゴの群れやウメイロモドキの群れ。その周りには、群れにアタックするギンガメアジやロウニンアジ

水中でも群れが移動するたびに大きな音が響き渡った。

大きなタカサゴとウメイロモドキの群れが壁のように広がっていた

大きなタカサゴとウメイロモドキの群れが壁のように広がっていた

潮当たりのいい場所ではキンギョハナダイが流れてくるプランクトンを一斉に捕食していた

潮当たりのいい場所ではキンギョハナダイが流れてくるプランクトンを一斉に捕食していた

1ダイブ1ダイブの興奮が止まることはなく「これが日本の海なのか!」と感激しながら楽しい時間は過ぎていった。
また新たな“スゴイ”日本の海と出会い、そして、またひとつ好きなディスティネーションが生まれた。

今年も8月に再訪する予定だ。
その時は薩摩硫黄島で見られるという水中オーロラをぜひ見たいな。

撮影協力:Discovery Cruise

関戸紀倫
プロフィール

きりん プロフィール (1 - 1)のコピー

1988年7月6日、東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。
2011年よりダイビングインストラクターとして活動していくなか、2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある
!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。
現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。

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PROFILE
1988年7月6日生まれ
東京にフランス人の父、日本人の母の間に生まれる。生まれて間もなくフランスのパリに移りフランス人として成長し10年。父は写真家、ダイビングインストラクター。
小さい時から父にフィリピン、タイ、ガラパゴス諸島など自然豊かな場所に連れて行ってもらい、いつの間にか自然が大好きになる。時が経ち2010年にダイビングを始め2011年から沖縄でダイビングインストラクターとして活動。2013年からオーストラリアのダイビングクルーズ船にて働くことになりそこで船内販売用に写真を撮る。今度は撮った写真をソーシャルネットワークにも載せたりするようになり友達に『世界にはこんな場所がある!こんな海がある!』などと紹介するのが楽しくなる。2014年10月にクルーズ船の仕事を終え帰国前にオーストラリアを一周することに決め念願の一眼レフを手に入れ放浪。 現在は、自然写真家として水中写真をメインに世界中を撮影し活躍中。
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