ウミガメにクジラも!? ダイバーだけじゃない、海の動物たちの減圧症

ウミガメ

出典:ロイター

アメリカ・シアトルから驚きのニュースが入ってきました。

「潜水病」のウミガメに米国で高圧酸素療法、海へ帰れる日待つ

米シアトルで、潜水病(減圧症)と同様の症状を起こしていたウミガメが、人間の治療に使われる高圧室で手当てを受けている。
~中略~
体内に気泡が発生し浮力の体内調節が効かなくなったことで海中に潜れなくなっていた。シアトル水族館の広報担当者ティム・カニホルム氏によると「ライフジャケットを着ているようなものだった」という。
~後略~
(出典:ロイター)

人間の減圧症と症状は違いますが、体内に気泡が出来てしまったという点では一緒ですね。

太古の昔から海での生活に適応している彼らでも減圧症になってしまうとは信じられませんね。

減圧症のメカニズムを簡単に考えると…
・体内の空気が
・潜水によって高い水圧になることで体内組織に溶け込み
・浮上時に気泡化する
ということですね。

このとき
・あまりにも過剰に体内組織に溶け込む
・急浮上する
ことで発症してしまいます。

※他にも要因は多々ありますが、簡単に考えます。

ウミガメは一呼吸で約2時間の潜水が可能と言われています。
そして、最大で水深200mにまで潜水するとも言われています。

例えば、時間・深度共に窒素が大量に蓄積するような生活をしていたとして……

普段は本能的に減圧症にならない浮上をする、しかし天敵への遭遇などで猛ダッシュで水面まで浮上したために、減圧症になってしまった…

のかもしれませんね。

実際にはどういったメカニズムで減圧症になってしまったのかはわかりませんが、いずれにしても元気に海へ帰ってもらいたいものですね!

ウミガメだけでは無かった!?海生動物の減圧症。

ウミガメと並ぶ海生動物の代表格、クジラでも減圧症が疑われる研究結果が発表されています。

2002年、スペイン領カナリア諸島で集団座礁アカボウクジラの死体を解剖したところ、減圧症の兆候である気泡が組織中に確認されたそうです。

あくまで可能性のひとつですが、軍事演習で使用されたソナーの音波に驚いて、通常では考えられない速度で浮上したのではないか、と考えられています。

そして、人間以外の動物に関する減圧症の研究は全く進んでいなかったのですが、2015年にはアメリカのノースカロライナ大学ウィルミントン校の研究チームは、ゴンドウクジラとアカボウクジラの減圧症リスクが高いことを発表しました。

アカボウクジラの仲間、コブハクジラ

アカボウクジラの仲間、コブハクジラ(出典:NATIONAL GEOGRAPHIC

人間以外の減圧症に関してはまだまだわからないことだらけです。

しかし、我々よりもはるかに海に順応いているはずの彼らでさえ減圧症になってしまうのだとすれば、陸上で生活するようにできている我々の身体は、簡単に減圧症にかかってしまうような気がしてきます。

人間の身体は潜水に適した仕組みに出来ているわけではないので、減圧症には細心の注意を払ってダイビングを楽しみたいものですね。

(ライター/細谷 拓)

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