12歳のおさかなアートクリエーター・鈴木翔太くん、体験ダイビングの感動を忘れられずCカード取得に挑戦!
オーシャナでも連載中の静岡県沼津市公認の「おさかなアートクリエイター」の鈴木翔太くん(以下、翔太くん)。翔太くんは間近で魚を見てみたいという想いから、昨年8月に体験ダイビングを初めて実施。それから約1年が経ち、自分の目で海の中を泳ぐ魚を見た感動が忘れられず、ついにCカード取得を決意!ダイバーになるまでの過程を密着した!
翔太くんが受講するオーシャンダイバーコースとは
今回、翔太くんが受講するのは世界的な指導団体であるBSACのオーシャンダイバーコース(※)。一般的に「エントリーレベル」と呼ばれるコースで、スキューバダイビングを楽しむための必要最低限の知識と技術の習得を目的としている。主に基本的な器材を正しく安全に使える能力を修得するためのコースだ。このオーシャンダイバーコースを受講すると、世界的にダイバーとして認められ、必要最低限の知識と技術を身につけた証となるのだ。そうすると、トレーニングを受けた場所と同等の穏やかな海域で、同等レベルのダイバー以上と共に、日中の水深18mまでのダイビングを楽しむことができるようになる。
※翔太くんを含む15歳未満の受講生がオーシャンダイバーコースを修了すると自動的にジュニアオーシャンダイバーとなる。このランクは、年齢に沿った理解度や身体能力を十分に考慮し、無理のないダイビングをするために設定されている。
講習の主な内容は、学科講習、限定水域講習、海洋実習、筆記テストとなる。まず翔太くんは、学科講習に臨んだ。
オンラインで学科講習
ダイビングをより楽しく、より安全に潜るために、エントリーレベルのマニュアルを使用し、学科講習を行う。インストラクターに会うのは、体験ダイビング以来1年振り。最初は緊張した雰囲気もあったが、インストラクターがクイズを出したり、冗談を織り交ぜたりしながら、徐々に緊張はほどけ、楽しく学科講習は進んだ。学科講習を終え、「海洋講習がすごく楽しみです!最後の試験は緊張してしまうと思いますが、また海に潜れると思うと嬉しくて仕方ないです!」と話した。
ダイビングスキル実践編!1日目は、限定水域講習と海洋講習
学科講習から約2週間後。学科講習で学んだことを実際に海で行っていく。講習の舞台は、静岡県沼津市西浦平沢のビーチだ。実はここは、昨夏に翔太くんがお父さんと一緒に体験ダイビングをした海でもある。ダイビング経験のある平沢で、「少しは心に余裕ができるかな?」と同行した編集部員も翔太くんの様子を伺う。海に到着したら、ダイビングポイントに併設されたダイビングサービス「平沢マリンセンター」で、体調や健康状態についての確認用紙を記入していく。「潜るの楽しみです!」と編集部の予想に反して緊張の様子もあまりなく、笑顔が見られた。引率していた親御さん側のほうが、少し不安げな様子(笑)。
書類を書き終え、早速器材の準備へ取り掛かる。学科講習で学んだことを思い出しながら、タンクの刻印やBCの取り付け方法を確認して、セッティングしていく。
最初は、「限定水域」というプール又は、足のつく浅い所(海)で、実際にダイビングで使用する器材を身につけて、ダイビングに必要なスキルをインストラクターと一緒に練習する。器材のセッティングを終えた翔太くんは、ウェットスーツを着て器材を背負う。約16kgのズシっとしたタンクの重みが、若干12歳の体にのしかかる。
水深1.5mほどの浅い海で、ダイビングに必要なスキルをひとつずつ練習していく。レギュレーターを咥えた状態で落ち着いて呼吸ができるか、レギュレーターが外れたときの対処法、中性浮力の取り方など、インストラクターも普段より、一層ゆっくりわかりやすく丁寧にお手本をしながら、翔太くんも順調にこなしていった。マスク内の水を外に出すマスククリアは、少し手間取った様子もあったが、何度も練習するうちにみるみる上達。さすが、12歳というだけあって、学習能力が高い…。
限定水域でのスキル練習を終えた翔太くん。一言目は「しょっぱい!! 」だった(笑)。マスククリアやレギュレーターリカバリーをみっちり練習したため水を飲んでしまったかな?今回の講習で改めて“海”を感じられたに違いない。
海での講習1日目、続いては限定水域から離れて、さらに深場の海で「海洋実習」をスタート。先ほどは1.5mだった水深を5mにして、同じようにスキル練習をしていく。
深場になると浅場より、太陽の光が届かなくなるので若干暗くなる。さらにこの日はあいにく海の透明度も良くなかったため視界に不安を感じる中での海洋実習だ。しかし課題だったマスククリアも何回かトライして無事にクリア。着実にダイバーとして、必要な知識と技術を身につけている。
海での講習が無事終了。器材の片付けまでが、ダイバーとしてやるべきこと。インストラクターと器材の洗い場へ移動し、器材に着いた潮を丁寧に洗い流していく。
1日目の締めくくりは、インストラクターからの振り返り。マスククリアや、ダイバーとして最も大事なスキルと言える中性浮力のコツの伝授がされた。「明日も中性浮力の練習はあるので、今日よりもっと上達するはず。スキル練習が終わったら、水中ツアーもしますよ。魚をゆっくり見て楽しみましょう!」と伝えられた。
講習番外編
講習後、翔太くんのお母様がインストラクターと編集部員を、翔太くんが描いた絵が飾られている場所に連れて行ってくださった。オーシャナでも紹介させていただいた、ダイビングショップの屋外に飾られた「沼津市久連(くづら)近くで見られる海洋生物」と消防署のシャッターアート「巨大シャッターアート」だ。翔太くんと作品の2ショットを生で見られるなんとも貴重な機会。「え!絵にみかんが描いてある!これは沼津市の名産だからなんですね!」、「カエルアンコウ、可愛すぎる!」、「この色合いは何を意識して決めたんですか?」など、インストラクターも編集部員も、ここぞとばかりに翔太くんに絵の質問や感想を伝えてしまった。
ダイビングスキル実践編!2日目は、海洋実習とテスト
2日目は、前日に引き続き海洋講習と、50問の筆記テスト。昨日の帰り時点では、慣れない水中での動きからか疲れも若干感じられたが、ぐっすり寝て回復。今日もまずはセッティングからしていく。
海洋実習は残り2本。海も穏やかで、絶好の講習日和だ。
1本目は、中性浮力の復習やBCを水中で脱ぎ着する器材脱着やマスククリア。2本目は、バディがエア切れをしたときの対処法のオクトパスブリージングと、待ちに待った水中ツアー。
スキル練習を一通り終え、ここからは、インストラクターと一緒に水中ツアー!透明度は良くなかったものの、ちょうど海藻が生い茂るシーズンでもあり、その周りに魚もたくさん生息していた。
その他にもソラスズメダイ、キンギョハナダイ、タカノハダイなど見ることができた。
水中ツアーを終え、陸に戻ってきた翔太くん。ここまで学科講習、限定水域講習、海洋実習を終え、やり切った感がある。「焼いて食べると美味しい魚がいて、見るのが楽しかった」と満面の笑顔。残すは総まとめの筆記テストのみ。ラストスパートだ!
テスト前にインストラクターと最後の振り返りをして、テスト開始。事前に家でしっかり勉強してきたらしく、自信があるみたい。黙々と問題を解いていく。
気になるテストの結果はというと…。
高得点で合格!おめでとうございます!
「やったー!」
これで、翔太くんもダイバーの一員。講習を終えて「マスククリアが大変だった。水中ツアーが一番楽しかったです!」と翔太くん。これからどこの海に潜りに行きたいか聞いてみると「沼津の海も潜りたいですが、沖縄にも行ってみたいです。あとサメも見たいので、サメがいるところにも行きたいです」と話してくれた。
翔太くんがダイバーとなり、次はどこの海に潜りにいくのか気になるところだ。オーシャナでは引き続き、翔太くんの絵を紹介する連載記事をお届けしていくので、その中でダイビングの様子も一緒にお届けしていきたいと思う。ダイビングが翔太くんの絵にどのような影響を与えるのかもぜひ注目していきたい。