南米の秘境の海。その第一印象は“濃厚” 〜写真家・高砂淳二が語るガラパゴスの海 前編〜

「高砂淳二と行く!ガラパゴス・ダイビングクルーズ」が2012年9月11〜22日に開催されます。

※そのクルーズの企画特集はこちら。

ダイバーなら誰もが憧れる、南米の秘境ガラパゴスの海。
初めて潜った時、その濃厚な海に感動したという写真家・高砂淳二さんに、ガラパゴスの海の魅力を、写真と共に語っていただいきました。

海洋写真家・高砂淳二

――――ガラパゴスの海に初めて潜った時の第一印象を教えてください。

15年くらい前にダイビング雑誌の仕事で初めてガラパゴスに訪れました。

ダイビングポイントまでボートで向かっている途中、真っ黒な海域があったんですよね。
最初は、「なんだ、この岩」と思って近づいていくと、魚の群れで驚きました。

潜ってみると、辺り一面イサキの群れで、水より多いぐらいの感じでね。
下で行くと、イサキが雲みたいになって、太陽の光を遮って、ほとんど真っ暗。
おおげさじゃなくて洞窟に入ったみたいでした。
後にも先にも、これだけたくさんの魚を見るのは初めてだと思います。

濃厚な海だと思いました。

ガラパゴスでのダイビングクルーズ(高砂淳二)

――――その濃厚である理由は何でしょうか?

海の色がミクロネシアのようにスコーンと抜けたブルーじゃない。
藍色というか、ちょっと濁りを含んだ青というかね。
でも、これはプランクトンが豊富で、海が濃厚な証拠でもあるんです。

ガラパゴスの海は、赤道直下なのに意外と冷たい。20度ちょっとくらいかな。
これは、南米大陸に沿って南極の海流が上ってきているためで、この冷たい海流と温かい海流が入り混じり、プランクトンが爆発的に生まれて、そのプランクトンを餌にする魚が爆発的に群れを成し、さらにその魚を狙って大型の魚や大物海洋生物がやってくる。
濃密な食物連鎖が繰り広げられた結果、生命が濃厚な海が生まれたんじゃないかな。

ガラパゴスでのダイビングクルーズ(高砂淳二)

――――何度もガラパゴスを訪れた中で、印象的だったエピソードを教えてください。

2回目にガラパゴスに行ったのが1998年。
年号までハッキリ覚えているのは、この年がエルニーニョの年だったから。
水温が30度くらいあって、透明度もミクロネシアみたいにスコーンと抜けていました。

前回より、水温が9度も上がって、透明度も3倍くらい。
それだけ聞くとダイバーにとっては嬉しいことにも聞こえますが、前の濃厚な海を知っているだけに、“空っぽ”という印象を受けました。

空っぽの生態系はサンゴを白化させ、海に栄養分を与えられないから魚の数もグンと減ってしまった。
アシカの死骸も転がっていたし、イグアナも痩せていたなぁ。

エルニーニョ現象はガラパゴス辺りの海域から始まって、地球の海に波及していきました。
その後、何度か行って、徐々に回復しているので安心しましたが、今回のクルーズツアーでも、そういう地球の様子もこの目で見たいと思います。

※後編は、また明日アップいたします。

※高砂淳二さんと行くガラパゴスクルーズ、詳しくは以下の企画特集をご覧ください。
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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal
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