初個展開催中の水中写真家・戸村裕行インタビュー ~「OCEAN PLANET -いのち煌めく海の中の時間-」開催~

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2016年7月08日より、「トラックの二式水戦」の初撮影に成功するなど、今注目の水中写真家・戸村裕行さんの初写真展がオリンパスギャラリーで開催中です。

東京展のあとは、大阪での巡業展も決まっておりますので、ぜひ足を運んでみてください!

しかし……「地方からだとなかなか訪れることも難しい」という方もいらっしゃいますよね。

そこでご本人にインタビューしてみました!
ぜひ、写真展を身近に感じてください。

撮影:戸村裕行

―――今回、初個展ということですが、いつ頃から撮りためた写真なのですか?

戸村

写真学校を卒業し、水中写真家として活動して6年が経ちます。
今回の写真展には、その頃からの写真を展示しています。

―――初めて個展をやろうと決めたきっかけは何だったのでしょうか?

戸村

ダイビング雑誌やカメラ雑誌、web(オーシャナさんのようなメディアからfacebookなどといったSNS)での発表など、皆さんに作品を見ていただく機会は以前より格段に増えましたが、どうしてもそれは“限られた写真”になってしまいます。

写真家として活動を始めて、今までにたくさんの方々の助けを借り、さまざまな海を訪れ、海中での素晴らしい出会いを経験し、今の自分がいます。

そういった方々に作品を見てもらうことで恩返しをしたいという思い、また、海の中のさまざまな素晴らしい世界を見たことがなかったりする方々に、もっと見て、知ってほしいという思いから個展開催を決めました。

撮影:戸村裕行

―――個展のタイトルが、「オーシャンプラネット」となっていますが、どんな意味なのでしょうか?

戸村

海を持つ惑星(オーシャンプラネット)に私たちは暮らしている。
私たちの住む地球の7割は海に覆われていて、その海では多くの「いのち」が育まれています。

これだけ科学の発達した世の中でも、まだまだ知られていないことの方が多いともいわれているその海に対して、僕自身が持つ憧れや畏怖、経験した感動……それらを踏まえ、この地球を俯瞰して見たときに、やっぱり地球=海となるんですよね。

母なる地球は「海を持つ惑星」、そして、その海の中の時間を見てもらいたい、ということでの写真展のタイトルです。

実はこのオーシャンプラネットという名前は僕の屋号にもなっていて、今回だけではなく、今後もいろいろと展開をしていけたらと考えています。

撮影:戸村裕行

―――今までで印象に残っている海を教えてください

戸村

全部(笑)。

というのは一番ずるい答えなのかもしれませんが、望んでいた生物との出会いに恵まれた時やその時の海の状態など、展示をしてある写真に関しては、その時のシチュエーションをだいたい覚えていて、それぞれに印象に残る海でした。

最近では、モルディブのモルディビアンスターズにお世話になった、赤道越え大物狙いのクルーズに乗船させていただいたのですが、そこでは、夜に船から灯される光に集まるプランクトンを目当てにジンベエザメが訪れるんです。

他のお客さんが部屋で休んでいるのに、僕はいつでも海に飛び込めるようにと、外でフィンを履いたままずっと休んでいて、それを見たクルーに笑われました。

日が変わるころ、ジンベエザメがそれは凄い状態で訪れてくれて、ばっちり撮影できて、今回の写真展でも展示をしているのですが、非常に印象に残っています(それはぜひ見ていただきたい写真です!)海の外でも中でも非常に印象深い撮影でした。

大変だったといえば、あまりこういうことは言うべきではないのかもしれないですが、僕は水中写真家をしているのに乗り物(特に船)にめっぽう弱い……。
けれど、海に入ってしまえば比較的アドレナリンが出ているからなのか、酔っている事なんて忘れてしまう。

それでも、今回展示してあるメキシコで撮影をしたバショウカジキの撮影のときは、波が高く、船酔いと波酔いが激しく逃げ場もない。
そんな中でも、カジキが見つかると船から転げ落ちるように毎回海に入り、目の前で繰り広げられる、捕食しようとするカジキとイワシ攻防が凄まじさ、命をかけた戦いを必死で撮影をしました。
とても印象深い海でもあります。

でも、やっぱり全部です(笑)。

撮影:戸村裕行

―――全部というの、とてもよくわかります。なのに聞いてすみません(笑)
最後に、写真展へおとずれる方へ向けてのメッセージをお願いします

戸村

今回、メインカットとして使ったのがメキシコ、イスラ・ムヘーレスで出会ったジンベエザメの写真なのですが、6年前、初めてジンベエに会いにタイに行った時、僕がいたチームだけ見事に外したんです!(笑)

そんなこともあって、さまざまなエリアで会うたびに、気がついたら大好きになっていて。

写真展に入場したら、まず「わっ!」と驚くようなジンベエの写真があり、そこからさまざまな海の物語が始まります。

「いのち煌く海の中の時間」というサブタイトルを付けたのですが、躍動する魚の群れであったり、小さな魚の表情であったり、海の中の色彩、水面から差し込む光のカーテン……それらすべてに”いのちの煌き”を感じました。
そういったところを見ながら”海の中の時間”を感じていただけたら嬉しいですね。

また、プリントはフジのクリエイトさんにお願いしているのですが、クリスタルプリントといって非常に素晴らしい色彩を放つプリントなんです。
パソコンの画面や、雑誌などでは味わえない感動を得ることができると思いますので、ぜひ直接、見に来ていただけたらと思います。

撮影:戸村裕行

―――写真展はすでにはじまっていますが、初日の感想はいかがですか?

戸村

初日からたくさんの方々に来ていただきました!

ダイビング、海を通じて仲良くなった友人、カメラを通じて知り合った友人、普段お世話になっている方々、業界の大先輩……DMを見て来ました! とかさまざまで。

本当に、数え切れないほど。
ありがとうございました。

皆さんが写真を見ながらブツブツ言っているのを盗み聞き(笑)していると、驚きだったり、疑問だったり、でも、楽しんでもらえてるのかなと思い、ホッとしました。

そんな中でも、小さい子が「水族館〜」とか、「お魚〜」と言って指をさしていたり、ウミウシが好きという男の子がこれは「何のウミウシで〜」とか、子供たちにも喜んでもらえたのが本当に嬉しく思いました。

会期は1週間と短く、残りも少なくなって来ましたが、ぜひたくさんの方のご来場、お待ちしております。

撮影:戸村裕行

戸村さん、ありがとうございました。
そして、初個展開催おめでとうございます!

(写真提供:戸村裕行)

OCEAN PLANET
~いのち煌めく海の中の時間〜

■オリンパスギャラリー東京
・6月24日(金)~29日(水)※木曜休館
・11:00-19:00 ※最終日15:00

〒160-0023 東京都新宿区西新宿1丁目24番地1号 エステック情報ビルB1F
TEL 03-5909-0191

■オリンパスギャラリー大阪
・7月08日(金)~14日(木)※日曜・祝日休館
・10:00-18:00 ※最終日15:00

〒550-0011 大阪市西区阿波座1丁目6番地1号 MID西本町ビル
TEL 06-6535-7911 

会期中、戸村裕行本人による「ギャラリートーク」を開催致します。
・大阪:7/9(土) 13時〜

すべて無料・予約不要でご参加いただけますのでお気軽にご来場ください。

作者略歴

戸村 裕行(とむら ひろゆき)
世界の海中を旅し、大型海洋生物からマクロ生物まで、そこに生きる生物、水中景観を撮影し続けている水中写真家。
その作品は、オリンパスの水中カタログなどにも採用され、日本最大級のマリン系イベント、マリンダイビングフェアでは同ブースにて水中写真セミナーの講師も務める。

また、ライフワークとして続けている第二次世界大戦中に海中に沈んだ日本の船や航空機などを取材した内容は有名ミリタリー専門誌で人気のコンテンツとして毎月連載中。
最近では 2015年にミクロネシア・チューク州の海底で見つかった「二式水上戦闘機」の撮影にメディアとして初めて成功。
地上に現存しない機体として大変貴重であり、様々な方面で取り上げられ、話題を呼んだ事でも知られる。

■SSP日本自然科学写真協会会員
■オフィシャルホームページ:http://hiroyuki-tomura.com

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PROFILE
成蹊大学文学部国際文化学科卒業。
ナレーター、司会、ダイビング・モデルとして、TV、雑誌、モーターショー、トークショーなどで活躍。宝くじのキャンペーンガール「幸運の女神」では、46都道府県を旅する。

2013年からは、大物運・海況運をつかさどる「海の女神」へと転身し、舞台を海に変えてオーシャナの突撃体験レポートを担当。
潜水士資格も取得し、2014年は伊豆大島復興観光大使「ミス椿の女王」として、伊豆大島をはじめとした被災地復興支援活動にも尽力する。

「ダイビングがきっかけで、物の見方も感じ方も生き方も180度変わり、自分の周りまでもキラキラ輝き出したことを実感。 
いろんなことを体験しながら、たくさんの“きっかけ”を届けていきたいです」

【経歴】
・第25期 日本テレビイベントコンパニオン
・第11~12期 スバルスターズ
・第33期 宝くじ「幸運の女神」
・第23代 ミス椿の女王(2014.2~)
・第29代「ミス熱海・桜娘」(2016.1~)
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