第4回 Anilao Underwayter Shootoutに審査員として参加して来ました
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フィリピンのアニラオは、“マニラの伊豆”と日本人ダイバーに表現されることもある。マニラから車で2時間ちょっとあれば潜りに行けるダイビングディスティネーションだ。
今回、ここでフィリピン政府観光省が主催して毎年11月末に開催されている、アニラオ水中フォトコンテスト(4th Anilao Underwater Shootout)の審査員として招待された。
フォトコンは、今年で4回目を迎える。毎年4〜6人の水中写真家を世界中から審査員として招待していて、日本からも、第一回目に中村宏治さん、三回目に吉野雄輔さんが審査員として、招待された。
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自分は正直なところ、この“マニラの伊豆”、アニラオという海には一度も潜りに来たことがない。
それどころか「アニラオ」という海がどんな海なのかすらほとんど知らなかった。
今年、審査員として参加しているのは、香港在住の水中写真家Stephen Wong氏、それに奥さんで同じく水中写真家のTakako Unoさん、コタキナバル在住の、Jason Isley氏、フランス水中写真家のGreg Lecoeur氏、地元フィリピン人水中写真家のScott Gutsy Tuason氏。
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4th Anilao Underwater Shootoutの審査員。向かって右から、Greg Lecoeur氏、Jason Isley氏、Takako Unoさん、Stephen Wong氏、越智隆治、Scott Gutsy Tuason氏
毎年違う写真家を招待し、「フォトコン期間中は審査とは関係無く、好きに潜ってアニラオを楽しんでいてくれれば良いし、部屋も広いし、他の審査員も友達や家族を連れて来てる人もいるから、家族を一緒に連れて来てもいいよという、かなり緩い感じの依頼だったので、「じゃあ、審査員として参加してもいいですよ」と返事をした。
で、家族に話してみたら、次男の颯友が行きたいというので一緒に連れていくことにした。長男は、中学の試験があるから、妻と日本でお留守番。
しかし、実際に来てみて初めて知ったのだけど、このフォトコンテスト、ワイド写真はカテゴリーになくて、被写体は、基本的にマクロのみ。
それぞれ、コンデジ部門と一眼レフ部門1・Macro(マクロ)、2・Nudibranch(ウミウシ)、3・Marine Behavior(マクロの生態) 4・Portrait(魚のポートレイト) 5・Creative (マクロ・クリエイティブ)6・portfolio(4点のマクロ写真のポートフォリオ)など、のカテゴリー。
今年は、11月23日にスタートして、28日の審査発表までの期間でフォトコンに登録したダイバーであれば、プロの水中写真家を除いた、現地ガイドも含めた誰でもが参加可能。
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とは言っても、「プロの写真家」ってどう区別してるの?資格があるわけでもないのに?と思ったのだけど、「少なくとも、審査員として招待された人は参加できない」とのこと。
それ以前に、マクロの水中フォトコンなのに、なんで自分が招待されたんだろう?という疑問も。
開催前日に、潜水游世界China Scuba Diving BDMという中国メディアからのインタビューも受けたのだけど、その時には、マクロオンリーだとは知らなくて、インタビュアーの質問に対して、かなりワイド系な回答をしてしまっていた。
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フォトコン参加のためアカシアリゾートに登録しに来たダイバーたち
今年は、世界17カ国、約150人が参加。総作品数は500カット以上。
審査員が滞在したアカシア・リゾート・アンド・ダイブセンター(ACASIA Resort and Dive Center)を本会場として、 このエリアに50以上あるリゾートのうち、20近くが参加。
参加者の多くは、アジア各国のみならず、ヨーロッパからの参加者も。
日本からは、地元ダイビングリゾート、アニラオ・ヴィラ・マグダレナ・ダイブリゾート(Anilao Villa Magdalena Dive Resort)のオーナー大沢義生さんと、そこに滞在していた4人のゲストの計5人が参加。
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ウエルカムカクテルパーティーに参加したチームジャパン(?)
日本からも近いし、近年ではLCCのおかげでかなり格安に来れるアニラオでのフォトコン、日本でも、ちゃんと宣伝すれば、フォト派のダイバーがもっと集まりそうな気もするんだけど。
と初日のウエルカム・カクテルパーティーで大澤さんと知り合い、そんな話をした。
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真剣な眼差しで、写真を見てジャッジする審査員
28日の最終日には、6人の審査員が朝10時30から午後6時までの7時間半かけて、各賞を決定。
以下にそれぞれの1位を紹介する。
見ていただければわかると思うのだけど、黒抜きの作品が圧倒的に多い。
日本では、明るめ、ふんわり系がちょっとしたブームな気がするけど、世界的なダイバーの趣向としては、こんな感じだ。
決して審査員の好みで黒抜きだけになったわけでなく、出展作品のほぼ9割以上が、こんなイメージだった。
一番気になったのは、カテゴリー別に写真をエントリーするため、「この写真は、生態じゃなくて、ポートレートにエントリーしたら、トップ取っていたかもしれないのに、という感じのカテゴリー選択ミス?が何点かあったこと。
4点の写真で構成するポートフォリオ部門は、4点のバランスやバリエーションが重視された。
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そして、今年は、前出のアニラオ・ヴィラ・マグダレナ・ダイブリゾートの大沢さんが、コンパクトデジカメのウミウシとポートフォリオの2部門で1位を獲得!
実はフォトコン期間中、同伴した次男のJrオープンウォーター講習をしてくれることになり、ほとんど潜る時間の無かった中での受賞だったので、こちらとしても嬉しい受賞だった。
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2部門受賞した大沢さんは、「アニラオで受け入れ側の私がゲストの皆さんを差し置いて一位をとってはいけない(とれると思っていませんでしたし)なぁと恐縮しています。
来年は皆さんがいい写真がとれるようによりサポート側に回りたいと思っています」との日本人らしい謙虚なコメント。
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「もしかして、知ってて何かしてくれたんですか?」と大沢さんに冗談を言われたのだけど、審査員は、完全に写真だけしか見せられずにジャッジするので、どの写真が誰のもので、誰が受賞者なのかは、パーティーでの発表までは、全くわからなシステムになっているから、今回のように同じ人が何部門でも受賞することもあり得る。
ちなみに、フォトコン開催期間中も、審査員は参加者と同じ船に乗ることは認められず、いつも審査員だけで一緒に潜っていた。
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フォトコン参加者のガイドを務めたローカルガイドたちも紹介された
各賞受賞のパーティーには、かなりの参加者や関係者がリゾートのプールサイドに設置された特別会場は、超満員。
地元の学生たちのショーや歌、主催のDOT関係者や、メインスポンサーのフィリピン航空関係者のスピーチなどの後に、各賞の受賞作品と受賞者を発表。
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5日間という短期間の間に、それぞれのカテゴリーの写真を撮影しなければいけないわけで、なかなか納得のいく写真が出せないこともあるかもしれないけど、こういう形のフォトコンが日本でもできれば、面白いのにと感じた。
来年もこの時期に開催される予定なので、オーシャナでツアーを組んで、さらに多くの日本人の受賞者を出せればいいなと思ったりしながら、帰国の途に着いた。