海面を走る花、西表島の「ウミショウブ」を守るために【第二章】

映像家・中川西宏之さんの情報提供のもと、第一章では西表島に咲くウミショウブの現状と保全活動をフォーカスしご紹介した。今回の第二章では、ウミショウブをウミガメから守るために設置した採食防止枠の効果について見ていこうと思う。夏がウミショウブの開花シーズンというのもあり、雄花が風に押されながら海面を走る姿にも注目していただきたい。

採食防止枠設置後のウミショウブの現状とは

2021年4月27日。西表島北部に位置する高那海岸に任意団体「西表島在来植物の植栽で地域振興を進める会」が、助成金などを活用し採食防止枠を設置した。それから約2ヶ月が経過し、2021年6月22日時点で採食防止枠からはみ出るほどのウミショウブが回復。その現状とともに、海草を住処に好む生き物たちも高那海岸に戻ってきた。

採食防止枠を設置したばかりの様子

採食防止枠を設置し、2ヶ月経過した様子

ウミショウブが回復し、戻ってきた生物

写真右上にはイカの卵のようなものも確認できる

クラゲも

ウミショウブの受粉シーンにも注目!

同月の24日。西表島では大潮を迎え、ウミショウブが子孫繁栄の準備を始める。回復したウミショウブが開花し、太陽の光を思う存分に吸収して光合成を行う。生み出した空気の泡を身に纏い、雄花は水面へ浮上。潮が引いたおかげで顔を出した雌花の元へ、引き寄せられるように風に揺られながら向かっていく。とはいえ、開花し水面に浮かぶことに成功した雄花すべてが受粉できるとは限らない。風を味方につけ、きちんと雌花のところへたどり着いた雄花だけが子孫を残すことができるのだ。

ウミショウブの受粉シーン

雌花の元へ辿り着くことができなかった雄花

ウミショウブの雄花の拡大写真

第二章では、任意団体の方々の保全活動により約2ヶ月で驚くほど回復したウミショウブ。何もなかった砂地に新たな生態系が生まれたことがはっきりとお分かりいただけるだろう。ウミショウブをはじめとする海草や海藻の今後の可能性にこれからも期待し続けたい。

中川西 宏之プロフィール

中川西 宏之
映像家、合同会社SAI 代表社員
1965年東京都生まれ山梨県育ち。高校卒業後NHK(日本放送協会)へ入局。技術職としてさまざまな番組制作に携わる中で、「撮影」という仕事で生きていくことを心に決める。
2008年NHKを依頼退職。オーストラリア、東京などを経て現在の拠点は沖縄。熱帯のサンゴから南極まで縦横無尽に活動。陸海空どこでもなんでも撮影。テレビ番組ではNHK総合「ダーウィンが来た!」NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」などの撮影を担当。近年は台湾の企業と8Kの映像制作に取り組んでいる。

海面を走る花、西表島の「ウミショウブ」を守るために【第一章】はこちら

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PROFILE
静岡県西伊豆町出身。

ドルフィントレーナー専門学校を卒業後、ダイビングインストラクターや操舵手といった海に関わる職歴を持つ。

現在は、ライターとして「地球に暮らす全ての生き物がHAPPYな未来を」と願い、記事を書く。