海面を走る花、西表島の「ウミショウブ」を守るために【第三章】
オーシャナでは二章にわたり、映像家・中川西宏之さんの情報提供のもと西表島に咲くウミショウブの現状と保全活動をご紹介してきた。これまでYouTubeに上げられた動画は全部で3本。さらに今回、新たに「海を走る花を守れ!第4章」が公開された。
今年7月に世界自然遺産に登録された西表島。日本最大のマングローブ林が存在し、独特の生態系を今も有している。
しかし世界自然遺産に登録されているのは、自然環境保全地域指定の崎山湾と、網取湾は湾岸部のみ対象で海洋域は含まれていない。とはいえ、海の中にも森があるということを私たちは忘れてはいけないのだ。
現在、西表島のウミショウブは採食防止枠の設置により枠内のみではあるが、以前に比べ生育の状態は回復しているという。このことから、取り戻すことのできる生態系が存在するということがわかる。保全活動は簡単ではないものの、日本の片隅で地球と真剣に向き合っている人の存在を知っておくだけでも、損はないはずだ。
紹介した動画からウミショウブの減少はウミガメだけのせいではないことがお分かりいただけるだろう。西表島の海の中の現状を自分ごとのように想像するのは難しいかもしれないが、目を通していただけたら幸いだ。
中川西 宏之プロフィール
中川西 宏之
映像家、合同会社SAI 代表社員
1965年東京都生まれ山梨県育ち。高校卒業後NHK(日本放送協会)へ入局。技術職としてさまざまな番組制作に携わる中で、「撮影」という仕事で生きていくことを心に決める。
2008年NHKを依頼退職。オーストラリア、東京などを経て現在の拠点は沖縄。熱帯のサンゴから南極まで縦横無尽に活動。陸海空どこでもなんでも撮影。テレビ番組ではNHK総合「ダーウィンが来た!」NHKBSプレミアム「ワイルドライフ」などの撮影を担当。近年は台湾の企業と8Kの映像制作に取り組んでいる。