日やけ止めトレンド最前線!海の環境に配慮したUVケアアイテムが続々登場中

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マリンレジャーと「日やけ」は切っても切れない関係。紫外線対策に日やけ止めなどを使っている人も多いと思うが、その成分について考えたことがある人はどれだけいるのだろう?

海外のマリンスポーツが盛んな国・地域ではすでに、海洋環境への影響が懸念される一部の成分を配合した日やけ止め化粧品の販売や使用の規制が始まっているが、これまで日本ではあまり注目されることはなかった。もちろん日本でも該当成分を排除した商品がなかったわけではない。しかし、ここに来てメジャーブランドもこの問題について向き合うようになり、海洋環境に配慮した商品を発売。ドラッグストアなどで気軽に買えるようになり、環境に配慮した日やけ止めがグッと身近になりつつあることは海を愛する者にとって嬉しいニュースだ。

サンゴ白化の一因とも言われる
「オクチノキサート」「オキシベンゾン」

まずは、海洋環境への影響があるのでは?と注目される「オクチノキサート」「オキシベンゾン」という2つの成分について知っておこう。どちらも紫外線吸収剤で、吸収剤そのものが紫外線を吸収し、肌への紫外線の影響を防ぐため日やけ止め化粧品には欠かせない成分。厚生労働省が化粧品に使用可能な紫外線吸収剤として承認しており、国内では多くの日やけ止め化粧品やリップなどに配合されている。(JCiA日本化粧品工業連合会のHPより
ところが10年以上前、メキシコのセノーテで、ケープダイビングスポットを求めて多くのダイバーが集まるようになると海洋生物の死亡率が高くなったことが、さまざまな研究が進められるきっかけに。

その後、EU(欧州連合)ではこの2つの成分を、生物の本来のホルモン作用をかく乱する物質「環境ホルモン」のリストに入れることを決定。私たち人間が日やけ止めとして肌に塗布して海に入り海水に溶け出ることで、サンゴ礁の生態系に影響を与えるのではないかということが懸念されている。
※現在進行形で研究が進められているため、直ちに使用が良くないと断言できるわけではない。

世界を代表するビーチリゾートでは
いち早く規制が始まっている

これら「オクチノキサート」「オキシベンゾン」などを含む日やけ止め化粧品の販売や使用を禁止して皆で海洋環境を守っていこうという動きが、有名ビーチリゾートの国・地域を中心に広がっている。

新型コロナが収束したらすぐに訪れたいハワイもその一つ。ハワイ州では、2021年1月1日から、「オクチノキサート」「オキシベンゾン」を含む日やけ止め化粧品の販売、提供、流通が条例で禁止に。持ち込みや使用は禁止の対象になっていないが、この事実を知ったからには、海洋環境にやさしい日やけ止めを積極的に選択していきたいところ。

以下に主なビーチリゾートの規制状況をまとめた。規制内容や状況は、これからも研究や各国・地域の人々の意識の変化とともに更新されていくと思うので、訪問時は各政府などのホームページで最新情報を確認したい。

海外の日やけ止め規制状況

国名 ハワイ キーウェスト(フロリダ) パラオ バージン諸島(カリブ海)
規制内容 2021年より、オキシベンゾンとオクチノキサートの2つの紫外線吸収剤を含む日やけ止めの販売、販売の提供、および配布を禁止。
参照:governor of the state of Hawai’I
2021年より、オキシベンゾンとオクチノキサートの2つの紫外線吸収剤を含む日やけ止めの販売、販売の提供、および配布を禁止。
参照:The key&key west
2020年よりオキシベンゾン、オクトクリレン、オクチノキサートの他いくつかの環境汚染物質が含まれる日やけ止めの輸入、販売、持ち込みを禁止。
参照:Republic of Palau National Government
2021年より、オキシベンゾンとオクトクリレン、オクチノキサートを含んだ日やけ止めの販売、販売の提供、配布、および使用を禁止。
参照:THIRTY-THIRD LEGISLATURE OF THE VIRGIN ISLANDS
国名 ボネール島(カリブ海) アルバ タイ国立公園
規制内容 2021年より、オキシベンゾンまたはオクチノキサートを含むすべての日やけ止めを使用を禁止。
参照:bonairepros
2020年にオキシベンゾンを含む日やけ止めの輸入、販売、製造を禁止。
参照:VisitAruba
2021年から、オキシベンゾン、オクチノキサート、4-メチルベンジリデンカンファー、ブチルパラベンを含む日やけ止めの国立公園への持ち込み、及び国立公園での使用が禁止。
参照:タイ国政府官公庁

参照:日やけ止めとサンゴへの悪影響について、できること・知っておきたいこと/オーシャナ

国内でもおなじみのブランドから
続々と環境配慮の日やけ止めが発売

既出のとおり、これまで日本でも「オクチノキサート」「オキシベンゾン」不使用の日やけ止め化粧品がないわけではなかったが、販路が狭く手に入りにくかったり、使用感がかんばしくなく、あまり話題にのぼることはなかった。

しかし、この春、おなじみのメジャー2ブランド「カネボウ化粧品 アリィー」「ロート製薬 スキンアクア」が、「オクチノキサート」「オキシベンゾン」不使用の環境配慮型の新商品を発表。SDGsの広まりとともに、日やけ止め化粧品市場でもこの動きが加速しそうな気配だ。

アリィー「クロノビューティ ジェルUV EX」

カネボウ化粧品のUVケアブランド「アリィー」が〝世界を想う 美しさつづく 日やけ止め〟を掲げるブランドとしてリニューアル。新シリーズ「アリィー クロノビューティ」5品目10品種を2022年2月12日に発売。一部の国・地域のビーチでの使用規制に配慮しながら、どんな時でも美しく過ごせる商品設計の〝ビーチフレンドリー処方〟を採用した。花王のスキンケア研究所 福井崇室長は「使用可能な成分に規制があるなかで、既存商品以上のクオリティを目指すのは困難だった」と振り返るが、全商品にSPF50+、PA++++の高い日やけ止め機能と、ベタつきにくさや持続性などの使用感を両立。

SPF50+、PA++++ 90g ¥2,310(税込)〈編集部調べ〉(カネボウ化粧品)

スキンアクア ネクスタ シールドセラム UV ミルク
スキンアクア ネクスタ シールドセラム UV エッセンス

SPF・PA値が高く、顔にも体にも心地よく使える。白浮せず、美容成分も贅沢に入っていて、続けられる手頃な価格。そんなすべての願いを叶えつつ、地球の負担も考慮した渾身の日やけ止めが、製薬会社の高い製剤技術と研究により遂に完成。「スキンアクア NEXTA(ネクスタ)」としてミルクとエッセンスの2タイプで2022年2月1日発売された。「オクチノキサート」「オキシベンゾン」だけでなく、揮発性環状シリコーン油であるD4、D5や、パラベン、マイクロプラスチックビーズ(※ロート製薬基準)も不使用。それでも、パックのように密着する持続型セラムパック処方でうるおって肌表面をなめらかに整える。くすみを補正し、ツヤのある美肌に整えてくれる嬉しいメイクアップ効果もある。

ともにSPF50、PA++++ 左からミルク50ml エッセンス70g 各¥1,760(税込)〈編集部調べ〉(ロート製薬)

SDGsの意識の高まりにともない、この分野は研究、関心の高まりが始まったばかりとも言える。使う、使わないの単なる日やけ止めの選択にとどまらず、このような商品を手に取ることで大好きな海をはじめとする環境に、我々が何ができるのか考えてみるきっかけになるといいと思う。

TEXT by Mayuko Minemura

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