300 WhaleSharks Mexico,Isla Mujeres

Mexico Mujeres / メキシコ、ムヘーレス島

300匹のジンベエザメが群れる海!

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越智 隆治、宮下 洋平
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越智 隆治
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Mexico Mujeres / メキシコ、ムヘーレス島

300匹のジンベエザメが群れる海!

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越智 隆治、宮下 洋平
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越智 隆治
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300匹のジンベエザメが群れる海・メキシコ

一番ジンベエ密度の高い場所で泳ごう

 べた凪の海を船は軽快に進んでいった。何も見えない海を走り回ること1時間ちょっと。何も無いよなと思っていたが、彼らはどうやら昨日ジンベエザメを目撃したエリアを中心に捜索を行なっていたようだ。突然捜索担当のガイドが「あそこだ!あそこにいる!」と前方を指差した。
 「いたのか!」と目を凝らすが、自分たちにはまだ確認ができない。しかし、少しづつボートが前進するに連れて、水面を蠢く背びれと尾びれが見えて来た。「いた!」最初は1匹のジンベエザメでさえ感動していた。それもそのはず、こんなだだっぴろい外洋で何の目印も無く、 ジンベエザメを発見できたのだから、それだけでも感動モノだ。

300匹のジンベエザメが群れる海・メキシコ

 しかし……「1匹、2匹、あ、3匹! 4匹、5匹! 6匹! 7、8、10、11、12、13、14 ……30、31、32、33、34、35匹!?」自分でその位置から目視できる背びれの数で少なくとも35匹は確認できた。それ以上は動き回っているから正確には数え切れない。
「なんじゃこりゃ!これほどとは思わなかった!」それが正直な感想だった。当惑しながらも、もう顔はにやけて緩みっぱなし。しかし、慌てて準備して入る必要は無い。キャプテンが、「一番ジンベエ密度の高そうな場所に行くから、そこで泳げばいいよ」と余裕を見せる。
 要するに「ジンベエザメのえり好み」だ。そんな贅沢な事があるだろうか。はやる気持ちを押えて、キャプテンの指示を待つ。「よし、この辺でいいだろう」 キャプテンのその一言を待っていたように、皆が準備を始める。しかし、一緒に来たメンバーが結構冷静なタイプの奴ばかりだったので、お互いジンベエザメを目の前にして、エントリーを譲り合っているのが滑稽だった。
 水中に入ると、想像していた以上に透明度が高い。プランクトンを捕食しているわけだから、確かに浮遊物はあるがさすがに外洋の海。ジンベエザメを見る環境としては、個人的にはマーシャル諸島でジンベエザメを何度も目撃した時の次くらいに透明度は高い。20m以上は抜けている感じだ。だから、遠くからジンベエザメが来るのもそれなりに確認できる。つまり、視界に何匹ものジンベエザメを確認できるということだ。
 追いかける必要はほとんどない。ジンベエザメが行ってしまっても、次のジンベエザメが右から左から、前から後ろから、そして斜めからやってくるのだ。
 最初は興奮して撮影していたけど、徐々にこの環境に慣れてきて、他の人の心配をするようになる。「お〜いぃ〜、こっちから2匹行くよ〜 !」 「後ろから3匹続けて来てるよ〜 !」そんな風に声を掛け合いながら、撮影を続けた。
 時には、一緒に乗船した仲間と、水面に顔を出してジンベエザメが何度も行き過ぎるなかで雑談を交わすようになる。

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