バリ島でのダイビング事故、現状の経過と今後の検証・総括に向けて
インドネシア・バリ島近辺の海域でのダイビング事故。
ここまでのまとめと、今後についてお伝えします。
前回のレポート(インドネシア・バリの事故、日本人女性5人の生存を確認した本日の現地状況レポート)から、これまでの流れは、僕のツイッター履歴を一番下に羅列しておきますのでご覧ください。
本日(2月19日)12:00現在、ご存知のように、漂流した7名のうち5名が救出され、残念ながら、昨日(2月18日)、宮田律子さんのご遺体がサヌール沖で発見されました。
ご遺体発見時のご様子は、僕が情報交換している、バリ在住のインストラクターMari Matsumotoさんのブログに詳しいです。
これで行方不明者はあと1人。
高橋祥子さんの発見を、現地の方々に託して祈るしかありません。
未だ捜索が続いていますが、並行して今後について考えてよいフェーズだと思います。
今後、重要なことは事故の検証・総括・提案なのは言うまでもありません。
世間からここまで注目されたダイビング事故。
きちんと、情報公開、検証ができるかどうかが、バリというダイビングエリア、そしてダイビングというレジャーの未来に関わってきます。
現在、一般メディアで原因などが盛んに推測されていますが、僕らダイビング専門メディアは、ここからは、その専門性や知見を活かしながら、しっかりと事実関係をおさえた上で検証していこうと思っています。
きちんとした総括は必要ですが、犯人探しを目的としたものではなく、今回のケースを教訓に、ダイバーの皆さん、そしてダイビング業界にフィードバックしたいと考えており、目的は“安全に楽しいダイビングのため”の発展的なものにしたいと思っています。
ただ、具体的な行動、あるいは検証方法の発表などは、捜索がなんらかの決着を見るまで差し控えたいと思います。
捜索協力金の使途について
皆さんに募った捜索協力金は本日19日朝の時点で600万円を超えました。
当初、民間ヘリコプターチャーター費用の4400ドル(およそ44万円)の少しの足しになればと始めた行動ですが、想像以上の金額になりました。
今月、なるべく早くバリに行き、現地の方々と共に、当事者の方が加入していた保険関係や捜索協力金の使い道を整理して、きちんとご報告したいと思います。
詳細はその後ご報告しますが、現地の捜索状況、皆様の善意が想像以上に集まったことなどにより、もとは捜索目的の名目でしたので返金も視野に入れています。
ただ、繰り返しておきますが、あの時点では、ヘリを飛ばすことが有効との考えのもと、何度も飛ばすのに十分な費用がないという現状だったことをご理解いただけると幸いです。
人命救助において、特に海外ではすぐに使える現金がモノをいう場合がありますし、金額という形で可視化された思いは、物理的なだけでなく、気持ちの面でも、現地の大きなバックアップになったと思います。
捜索を見守りたいと思います。
事故の捜索経過についてのツイート
【未確認情報】未確認ながら、残りお二人、あるいはお一人の生存情報があり、深夜に海軍が出動したとの情報も。明日朝になれば明らかになるでしょう。確認次第お伝えします。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
今朝も捜索へ。まだ、発見の情報はなし。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
病院に搬送されている4名に付き添っていたガイドさんの話では、ドリフト後、浮上した際の天候は悪くなかったとの証言有り。当初の推測と変わってくるので、慎重な検証の必要あり→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
→直接、ヌサペニダ南岸に流されたわけではなく、一度、サヌール(バリ島)まで流されてから、戻されるような形でヌサペニダに流れた可能性あり→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
→船も見たが気づいてもらえなかった。途中、船だか陸だかを目指して泳ぐことを決意した古川さんのみ離脱。他6名は一緒にマンタポイント周辺ヌサベニダ南岸まで流され、発見されていない二人 は岸壁を登れなかった→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
→そうした事情もあり、範囲が絞れたので昨晩から捜索を続けているのではないでしょうか→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
→以上は、まだ証言からの推測に過ぎません。過酷な状況での話なので、これから事実と付き合わせる必要がありますので、確実な情報ではありません→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
→いずれにせよ、ゲストたちはインストラクターの山本栄美さんの励ましやサポートで頑張れたと言っているそうです。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
病院に搬送されている4名の生存者へのコンタクト方法や問い合わせをいただきますが、まだそっとしておいて欲しいとの意向ですので、お伝えしておりません。元気ということがわかっているので、僕も話は聞けたら聞くってスタンスです。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
事故の状況・原因は後からしっかりとわかればよいと思い直し、これからは可能性の情報は流しません。当事者からの一時情報があった時のみお伝えしますが、取りにもいきません。一般メディアが去り、落ち着いてから検証したいと思います。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
ちょっと空気に流されちゃったなぁ。反省。専門メディアでしかできないことに専念しよう。ってか、知床から帰れない(>人<;)
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
捜索協力金、朝の時点で530万を超えました。こういう国(失礼)ではお金が生死に直結したりするんですよね。当初、金銭的な問題でヘリを飛ばせるかどうかに悩んでいたところを、今は好きなだけ出せる環境になっただけでも皆さんのおかげです。とはいえ、十分な気もしますので募集はストップします。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
残りのお二人が見つかったという情報があり、問い合わせを受けますが、まさに今(15:45)、海上で宮田律子さんのご家族と捜索している方との電話では、発見にいたっていません。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
バリのダイビング事故。残念ながら、宮田律子さんがご遺体で見つかったと現地から連絡が入りました。http://t.co/HMmHzN79H0
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
搬送先の病院を見つけている状況。こちからはしばらく連絡取りません。ご家族も現地入りして探していたので、せめて静かな時間を願います。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
バリのダイビング事故。午前午後、数艇の船で捜索にあたったものの、残り一名発見に至らず。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
一般メディアや自分たちのメディアに関してのツイート
一般メディアは“今”だけを駆け抜け、“感動”という文脈を演出するのでしょうが僕らはシビアな総括というフェーズが待ってます。この時、正論で客観性が大事なんですが、「明日は我が身」(ダイバーもショップも)という相手の気持ちは、やっぱり捨てられないなぁ。良くもあり悪くもあり。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 17
現地ではかなりメデイアが過熱しているとのことで批判も出てるけど、それ自体は悪いことだとは思わない。それが仕事だし、この事故に熱量が注がれたからこそ解決したことや今後に活かすきっかけを与えてくれる。なので、現場としてはメディア批判ではなく、メディア対策に力を入れた方が建設的→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
→お前らもメディアだろ? と言われるかもしれないが、ダイビング分野に一過性のメディアと、ず〜っと寄り添う僕ら専門メディアでは役割が違う。彼ら速報と客観をベースとした視点は専門分野の中にいる人には時にトンチンカンにうつるが、他者の視点で気づくことはある。というか結構あった →
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
→ほとんどの新聞、テレビの記者から問い合わせがあったけど、本当にタフな仕事だと思う。うちの代表は元報道カメラマンで、仕事に対するプロ意識と信念を持ってない人は愚痴ばかりか心折れちゃうって言ってたけど、俺は折れちゃうかも;^_^A →
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
→僕ら専門メディアは、正しいダイビング情報を伝えることと、一般メディアが過ぎ去ってからの検証。ダイバーの皆さんと知恵を出しあいたい。ここで、きちんとした検証・総括ができなかったらダイビング業界はヤバイ。僕ら、ある意味業界内のメディアの課題はしがらみの外からの視点を持てるかどうか。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 18
事故検証は、テレビなど、限られた時間、パッケージに落としこむ方法も編集内容によっては核心に近づき有効だけど、その時間は興味の需要による。ダイビングというマイナーなテーマだと、どうしても時間が限られてくるので消化不良になるのは仕方ないなー。ダイビングの説明で終わっちゃうよね→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
→そういう意味では、こういう時、制限なしで掲載できるWEBは強いな。全文書き起こしとか流行るのもわかる。識者の目を入れた検証を読みやすいように編集して余すことなく伝えるのは大事。それと、もちろんお役所的な客観的な完全記録も大事ですね→
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
→ダイビングライター・編集者としての矜持やプライドはあるけど、ダイバーとしては一流ではない自分は、一流のプロダイバーさんのスキルと一般ダイバーの知恵を集めないと何にもできない(←上目づかいで協力を求めるフラグ・笑)
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
母に電話したら、バリのニュースの影響で「ダイビングってやっぱり危ないのね。年中潜っているけど大丈夫なの?」と心配され、最も身近なところでイメージ低下を実感。ダイビングが当たり前になり過ぎて意識し忘れていたけど、ダイバーでない方の感想が気になり始めた。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
ふむ。皆さんのリプ読むと、やはり、負の遺産は大きそうですね。なぜ、この事故だけが? はキャッチャーな要素があることは確かだし、第一報あたりから見ないとわからないですが、倍々に膨らんでいく熱量には驚きました。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19
「ダイビング=怖い」に対してすることは、付け焼き刃の「いや、ダイビング怖くないよ」ではない気がする。事故に向き合うこと、なのでは。そこが見られている。信頼回復は長い道のり。
— 寺山英樹 (@tera_oshow) 2014, 2月 19