2000年以降のダイビング事故の判例7例と有罪理由
事故が起きた際のプロダイバーの法的責任
レクリエーショナルダイビングは一般消費者向けの役務商品(商品スポーツ)です。
ダイビングは、わずかな原因から致死性の高い人身事故が起きることは周知のことですから、この商品スポーツの事故では、その販売側の法的責任も問われます。
それは自己責任と発音が同じですが、意味の異なる“事故責任”と表現しても良いかもしれません。
この原因に違法性があると、通常は現場のインストラクターやショップのオーナーの刑事責任が問われます。
ダイビング事故の判例(刑事事件)とその有罪理由
2000年以降、客の死亡事故でどのような有罪判決が出ているかを知るために、7例だけご紹介します。
※各事例の詳しい内容は拙著(複数の専門書と実用書)および論文をお読みください。
1.サバチ洞窟事件 20002年(平成14年)上告棄却
■判決(以降全て業者に対してのもの)
懲役2年 執行猶予3年 訴訟費用負担(鑑定費用を除く)
2.唐津事件 2007年(平成19年)確定
■判決
A(オーナーイントラ)、B(現場イントラ)共に禁固1年。Aには執行猶予4年、Bには同3年。
3.洲本事件 2010年(平成22年)確定
■判決
禁固2年、執行猶予4年
4.白浜事件 2011年(平成23年)確定
■判決
禁固2年、執行猶予4年
5.奄美大島事件 2007年(平成19年)確定
■判決
禁錮1年4月
6.南城市体験ダイビング死亡事件 2012年(平成24年)確定
■判決
禁錮1年6月、執行猶予4年
7.カスミ根事件 2000年(平成12年)確定
■判決
禁固1年6か月
以上の有罪のポイントは、それぞれの立場で注意義務を果たしていなかったことです。
注意義務中、最大の常時監視義務を完璧に果たしていたが、対応が稚拙で死亡させた、というものではありません。
それ以前の、もっとも基本的な義務を怠っていたことで事故となり、死亡させたので有罪(罰金刑であっても、交通違反の罰金とはケタが違う法的重さがあります)となっているのです。