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セルフダイビングで事故発生。タンクを貸したショップにも責任はある?閲覧無制限

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セブ島のフォト派ダイバーのシルエット(撮影:越智隆治)

セルフダイビングでは、
タンクを貸すショップにも責任はある?

セルフダイビングとはガイドやインストラクターが引率をするのではなく、ダイバーが友人や仲間同士で行なうダイビングです。

ガイドやインストラクターが、ガイド料など対価を受領している場合、ガイドやインストラクターはガイド業務のみならず、ゲストが安全にダイビングできるようなダイビング計画をたて、海中でのゲストを監視するなどという、安全配慮義務も負っているとされています。

一方、セルフダイビングでは、ダイバーが自分自身で安全管理を行うことになります。

もっとも、Cカードを有するダイバーは、自分の身は自分で守ることができる程度の経験とスキルを有していることが前提になっています。
ガイドやインストラクターが引率をしていようとしていまいと、ダイバーは自分の行動には自分自身で責任を持つことは言うまでもありません。

ただ、セルフダイビングでは、より一層、自己責任の原則が妥当することになります。

それではセルフダイビングでは、現地のダイビングサービスがダイバーに対して責任を負うことはないのでしょうか。

ダイバーは現地のダイビングサービスからタンクを借りることが一般的です。
ダイビングサービスは、最低でもCカードを有していることを確認してから、タンクを貸す必要があります。

Cカードを有していない人にタンクを貸して事故が発生すれば、タンクを貸したダイビングサービスに責任が発生します。
当該ダイビングポイントに潜るには、ダイバーの経験やスキルが不足していると考えられる場合には、セルフダイビングではなく、ガイドをつけることを勧めるなどの対処も必要になると思われます。

セルフダイビングの際には、ログブックの提示を求めたり、50本程度の経験を必要とするなど、一定の条件を設けているダイビングサービスも多いようです。
セルフダイビングだから、ダイビングサービスは無関係というのではなく、ダイバーが安全にダイビングができるよう、一定の配慮をすることは必要になります。

インストラクターの責任が認められた
タンク破裂事故の判例

講習の準備のために、インストラクターが浜辺でタンクにレギュレーターをセッティングしていたところ、タンクが破裂したという事故があります。

使用していた鉄製のタンクの内部が錆で全面的に腐食し、耐圧性能が低下していたのですが、そこに160気圧程度の圧縮された空気が充填され、夏の太陽にさらされたため、タンク内の空気の圧力が更に増加し、タンクが破裂したのです。

この事故ではインストラクターの1名が両下肢切断の傷害を負って収容先の病院で死亡し、その他にも7人の負傷者がでました。

裁判ではタンクの破裂が予見できたかという点が争点になりましたが、判決ではタンクの充てん作業に従事していたインストラクターだけでなく、充てん作業に全く関与していなかったインストラクターも責任を認めています。

すなわち、錆のひどいタンクには充填をしてはいけない、タンクが破裂するという知識を有していたのであるから、本件ではタンクの破裂の危険性を予見し、タンクの外面の錆の程度を概観して、本件タンクを使用させないようにする義務があったなどという認定をしました。

現地のダイビングサービスはタンクを適切に管理することももちろん必要ですが、セルフダイビングをするダイバーがタンクに高圧空気の充填だけを依頼した場合にも、タンクの状態によっては充填を断ることが必要になります。

タンク管理に対する法改正などへの対策

平成12年6月に沖縄県宮古島で充填作業直後にアルミタンクが破裂するという事故が発生し、同年8月にも八丈島でも同様の事故が起きたことなどから、平成14年6月からアルミ製のタンクに限っては年1回、ねじ部の検査が義務づけられています(スチールタンクでは5年に1回の検査が義務付けられています)。

このような法令による検査を守ることはもちろんですが、法令の期間に満たなくても、必要に応じて、自主的に検査を受けたり、使用できないと判断したタンクは廃棄する等が必要です。

法令に従ってさえいれば、仮にタンクが破裂して事故になっても、業者の責任は絶対に免除されるというものではありません(法令に従うことは適切な行為をしていたと推測できるものですが、責任を負わないと断定できるものでもないのです)。

タンクの取り扱いを誤れば、物的のみならず人身損害も引き起こす可能性があります。
法令や各種団体の自主規制などにも目を通し、適切な管理、対応をしていくことが重要です。

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