【参加レポート】ごみ拾いダイビングイベント「Ocean Friendly Divers 2023」@沖縄県今帰仁村

2023年11月18日(土)と19日(日)、沖縄県今帰仁(なきじん)村で、静岡県の伊豆半島で環境問題に取り組むMORE企画が中心となって合同水中ごみ拾いイベント「Ocean Friendly Divers 2023」が開催された。昨今、海洋ごみをはじめとした環境問題に取り組む人たちは増えてきた。しかし、なかなか横のつながりがないという方も少なくない。そのため、同じ志の人たちが集まることで、より大きな波及効果を生み出していこう、新しい仲間を作るきっかけを作ろう、というのがこのイベントの趣旨だ。

二日間合わせて延べ47名が参加し、水中ごみ拾いや学習会、クイズやヨガ、交流会をとおして親交を深めた。オーシャナからは沖縄に住むスイカが1日目に参加。一体どんなイベントだったのか、その様子をレポート。

伊豆から沖縄からインストラクターやダイバーが今帰仁に集結

1日目の参加者は、伊豆からは主催の「MORE企画」、沖縄県内からは水中ごみ拾い専門店「Dr.blue」、沖縄県読谷村出身の水中カメラマン上地一輝氏の「チームカズキ」。それぞれがダイバーを率いてグループで参加。そして、水中の安全管理担当、瀬底島のダイビングショップ「MAVERICK」のインストラクター・唐津(からつ)孔明(こうめい)氏、ダイビングボートを出してくれる今帰仁大神丸(なきじんおおがみまる)の船長・大神健太氏、撮影班としてオーシャナでもカメラマンを務める坪根雄大氏。総勢25名が今帰仁村に集結した。

Guest house iroha

イベントの開催場所「Guest house iroha」。今回特別に宿泊者以外も入れてくれた

みんなでゴミゼロ(530)ポーズ!

各地から集まった環境問題に取り組むダイバーみんなでゴミゼロ(530)ポーズ!

日常生活で行っている“エコなこと”を
グループでシェア

イベント開始時刻は10:00ごろ。各グループの自己紹介や取り組みの紹介から始まった。

その後4つのグループに分かれ、グループ内で普段から行っているエコなこと、使っている製品、環境やエコなアクションに対する考え方、そしてダイビングの時に気をつけていることを共有。さらに、それをどのように広めていったらいいのかまでディスカッションした。

ディスカッションタイム後には各グループから出たアイディアを代表者が発表。たとえば、こんなアイディアが共有された。

エコなこと:残さず食べる、エコバッグ・マイボトルを使う、肉を食べない、ごみ拾いバッグを持ち歩く、一日一つごみを拾う、環境にやさしい製品を使う(洗剤やスポンジなど)
ダイビングで気をつけていること:環境にやさしい日焼け止めを使う、落とし物がないようにダイビング前後に持ち物チェックをする、Green Finsのガイドラインに沿って潜る
広める方法:ダイバーに知ってもらうためのステッカーを作る、ショップのお弁当の包みをバナナの葉にする

普段、自分たちが行っているエコなことを人と話す機会って、実はあまり多くない。改めてこの機会に話ができて楽しかったのはもちろん、自分もできそうなことや、同じエコなことでもさまざまな考え方があり、新たな視点を学ぶことができた。

意外と知らない!?
ごみクイズにチャレンジ

約1時間のグループディスカッションのあとはクイズ大会。MORE企画のメンバーが用意した環境やごみに関する問題を、○×形式で出題。たとえば、一日に一人の人が使う水の量は200ℓ、キップはリサイクルされている、1年間に生産されるペットボトルをつなげると地球を2400周できるなど、改めて聞かれるとわからないことだらけ! 正解発表後は「へぇ〜!」と会場全体から感嘆の声が上がった。

難問に頭を悩ませる

一問ずつ間違えた人は脱落していく方式で、最後に残った方に賞品のエコたわしが贈られた。二日間で6名がGETした。

2ラウンドとも優勝したY氏

このエコたわしは、オーガニックコットンの落ち綿から作るガラ紡糸で編まれたもの。アクリルたわしと違いプラスチックではないので、食器を洗った時にプラスチックの繊維が流出することもない。廃棄素材というのもごみ削減ポイント。今回のイベントで使われているものや参加者へのプレゼントも、環境にやさしいものが選ばれていて、至る所で気づきを得ることができた。

プラスチック製でない洗濯バサミとアップサイクルキーホルダー

参加者プレゼントのプラスチック製でない洗濯バサミとアップサイクルキーホルダー

水中ごみ拾いへGO

午後はランチを挟みダイビングポイントへ。今帰仁村のポイントを予定していたが、あいにく1日目は風が強く船が出せず、本部町の「ゴリラチョップ」というポイントを清掃することに。港で器材セッティングとブリーフィングを行い、船に乗り込みいざ出発!

船を出してくれたのは本部町のダイビングショップ「ジャミング」オーナー・鹿島敏雄氏。
「ゴリラチョップ」は人気のダイビングポイントで、ダイバーやシュノーケラーが数多く訪れる場所。正直、ごみなんてないのでは…? と思ってエントリーするとやっぱり綺麗(笑)。たくさん人が入っている場所は普段から気づいた人がごみを拾っているのだろう。と思っていたが、探してみるとテトラポットの付近には釣り糸などが!

参加メンバーは普段からごみ拾いダイビングをしている方々も多く、バディ同士で手慣れた様子でどんどんとごみを回収していた。こんなに大人数で水中ごみ拾いを行うことはなかなかないので、全員集まると壮観!

最終的に集まったのはブイ、ロープ、釣り具、パイプ、ワイヤー、布切れ、プラスチック破片、エギなど約50kgのごみ。これだけの人数がいると、1ダイブでもこれだけの量が拾えるんだと驚いた。

上がった後は「意外とごみがあったね〜」と笑顔で話す参加者たち。MORE企画代表の白井ゆみ氏は「今日は予定のポイントではなかったので、ファンダイビングを楽しんで、ごみがあったら拾うくらいのイメージを持っていましたが、始まったらやっぱりごみ拾いに夢中になってしまいましたね(笑)」という。伊豆からの参加者の中には沖縄で潜るのが初めてという方もちらほらいて、感想を聞くと「めちゃくちゃ透明で綺麗でした!」と沖縄の海も楽しんでいた様子。また、初めて参加するメンバーからは、「楽しかったけど、ある程度潜れるようになってから参加して良かったです! 中性浮力を取りながらって難しいですね(笑)」という声も。

手作り晩ごはんで交流タイム

ダイビングを終えてGuest house irohaに戻り交流タイムへ。夕食はMORE企画副代表の有森南央氏の手作りごはん。みんながダイビングに行っている間、ゲストハウスに残り、品数豊富で豪華な夕食を用意してくれていた。

手作りご飯の提供を通して大切にしたかったのは、「身体にも自然にも優しく」だと白井氏はいう。スーパーやコンビニのお弁当、お惣菜はどうしてもごみが出やすく、また、海洋汚染の原因の一つといわれている食品添加物も気になるところ。「完璧にはできないけれど、ちょっとの手間を惜しんだばっかりにごみだらけになったという状況は避けたい。その時々にあったbetterな選択を、みんながするようになるといいですね。」と白井氏。

参加者たちも食事をしながらごみ拾いの話、ダイビングの話など、夜がふけるまで語り合っていた。

ごみ拾いと交流を通じて
ポジティブになれた1日

今回潜った「ゴリラチョップ」は、私もよく潜るポイント。ごみがあるという認識はほとんどなかったが、探すとこれだけのごみがあるということにとても驚いた。私は参加できなかったが、二日目はチームカズキと入れ替わりで、沖縄でダイビングとヨガを行うショップBeNatural Diving&Yogaが参加し、今帰仁村の海でのごみ拾い、学習会と交流会、そしてヨガが実施された。二日目は23名で約70kgのごみを回収したそうだ。

▶︎二日目の様子はOcean Friendly Diversブログから

また、1日参加して思ったことは、同じマインドを持っている人々がたくさんいるんだなということ。環境問題に取り組んでいると、正直マイナス思考やネガティブになることも多い。「そんなことまでやる必要ある?」と周りの理解がまだまだ得られなかったり、「意識高いね〜」と敬遠されたり、落ちているごみを見て「なぜ人はごみをその辺に捨てるのか…」と悲しい気持ちになったり。でもそれで「自分は一人で頑張るしかないんだ」と思ってしまうのは、ただの思い込みなのかもしれない。

一歩踏み出せば意外と「普段からできることをまずはしているよ」という人はいるし、今回出会った多くのメンバーのように精力的に活動をしている人もいる。活動の濃淡はそれぞれだけど、会話をすることでそれが広がったり、新しい活動に繋がったりするのだと感じられた。

この企画がまた来年も行われるのであれば、新しいメンバーが増えて、活動の幅がさらに広がると嬉しい。また、この記事が、ちょっと何かやってみようかなとポジティブに一歩踏み出すきっかけになれば幸いだ。

関連情報

水中ごみ拾いハウツー動画(MORE企画提供)

問題提起ショートムービーOUR PLANET(MORE企画提供)

▶︎Ocean Friendly Divers公式サイト

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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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