高縄奈々「Tokyo Dolphins ―東京の島のイルカたち―」に行ってきました!

「ソニーイメージングギャラリー 銀座」で開催されている高縄奈々さんの作品展「Tokyo Dolphins ―東京の島のイルカたち―」に行ってきました!
写真展のレポート&高縄さんプチインタビューをお届けします。

2頭のイルカがお出迎え!

2頭のイルカがお出迎え!

都民が知らないイルカの海

東京から南へ約200km。
御蔵島の周辺海域には、100頭以上もの野生のイルカが暮らしています。
同じく伊豆諸島の利島(東京から南へ140km)周辺海域にも、近年イルカが棲みつきはじめ観察が続けられています。

種類は、好奇心旺盛なことで知られるミナミハンドウイルカ。
伊豆諸島の住所は東京都なので、このミナミハンドウイルカたちも、ある意味“都民(!?)”と言えるかもしれません。

ダイバーにとっては、もはや常識の「御蔵のイルカ」ですが、海に馴染みのない人々には意外と知られていないのが実情です。
そこで、写真家の高縄奈々さんが「東京のイルカたちをもっと知ってもらいたい」という思いで開催したのが写真展「Tokyo Dolphins ―東京の島のイルカたち―」。

さて、会期も中盤に差し掛かる中、写真展に行ってきました。
足を踏み入れると、30点ほどの写真がズラリ!

大小のパネル展示とスライドショー上映がされる会場

大小のパネル展示とスライドショー上映がされる会場

イルカたちがのびのびと暮らす姿が写し出されています。
本当に東京都で撮られたの?? と疑ってしまうほどの美しさです。

突撃プチインタビュー!

在廊していた高縄さんに、今回の写真展やイルカ撮影のことを聞きました。

静かにイルカへの思いを語る高縄奈々さん

静かにイルカへの思いを語る高縄奈々さん

今回の写真展のテーマを教えてください。

高縄さん

「都心からそんなに遠くない場所に、こんなに綺麗な海があり、イルカたちがたくさん棲んでいる」ことを都民の皆さんに分かりやすく伝えたいと思ったことがきっかけです。
温かくキレイな海で野生のイルカと泳ぐなんて、どこか遠くの海じゃないと体験できないと思っていませんか?
意外と近くに夢のような場所があること、そして、都会に住む私たちとイルカの暮らしが無関係じゃないことも伝えたかったんです。
写真と合わせて、生態にもふれられるよう工夫しました。

どこで撮影されたものですか?

高縄さん

今回展示している写真は、2002〜2016年の間に御蔵島と利島で撮影したものです。
今は拠点を愛知県に移していますが、年に5〜6回は通っています。

イルカを撮ろうと思ったきっかけはありましたか?

高縄さん

物心ついた頃には、イルカが好きでした。
そして、学生時代に調査ボランティアで御蔵島へ行ったのをきっかけに野生のイルカの魅力に目覚めてしまって(笑)、2004年からはドルフィンスイムのガイドに。
そして、2008年、南アフリカで野生イルカの調査に参加した時に、はじめて一眼レフを借りて撮影したんです。
それからすぐに、自分用の一眼レフとハウジングを揃えました。
以来、撮影を続けています。

使用カメラは「α7R II」、レンズは「FE 28mm F2」「SEL057EFC フィッシュアイコンバーター」、ハウジングはオーダーメードだ

使用カメラは「α7R II」、レンズは「FE 28mm F2」「SEL057EFC フィッシュアイコンバーター」、ハウジングはオーダーメードだ

イルカ撮影に寄せる思い

インタビュー後、じっくりと展示された写真を見て回りました。
すると、美しいだけの写真ではないことに気づきます。
イルカが人間に興味を向けている一瞬が丁寧に捉えてあり、その表情はイキイキとしています。

イルカの視線を感じる一枚

イルカの視線を感じる一枚

人間風に言うなら、気の置けない友だちとおしゃべりをしているときのようにリラックスした楽しい雰囲気が感じられるような……。
この写真の“やさしさ”はどこからくるのでしょう。

ふと、イルカと人間が楽しそうに舞う写真に添えられた言葉を見て、思わず足が止まります。

写真中央のキャプション(下記)に注目

写真中央のキャプション(下記)に注目

好奇心旺盛なイルカと戯れる。私たちが遊んでいるつもりでも、実はイルカに遊ばれているだけなのかもしれない。

この言葉から、イルカに対する高縄さんの尊敬や謙虚さがうかがえます。
最後にこれだけ、と改めて高縄さんの撮影スタイルを聞きました。

高縄さん

自分から無理に近づいて恐がらせるくらいなら、写真を撮れなくてもいいと思っているんです。
イルカとの距離感はとても大事です。
イルカの方から興味を向けてくれた瞬間を撮りたいと思っています。

やさしさがあふれる写真の背景には、イルカへの思いやりから生まれた理性的な付き合い方がありました。

写真展は5月11日(木)まで。
楽しかったゴールデンウィークのダイビングの余韻を楽しみに、銀座に広がる「イルカの海」へ足を運んでみてはいかがでしょうか?

写真集発売のお知らせ

「写真展いけなかった〜!」という方もご安心ください。
5月10日(水)に、写真集「Dear Dolphin ディア ドルフィン――イルカと出会う日」が発売されます!
高縄さんが撮るイルカのリラックスした表情をじっくり楽しみましょう。

「Dear Dolphin ディア ドルフィン――イルカと出会う日」(判型:B6変形判、定価:1000円+税、発行:Sphere Books、発売:丸善出版)

「Dear Dolphin ディア ドルフィン――イルカと出会う日」(判型:B6変形判、定価:1000円+税、発行:Sphere Books、発売:丸善出版)

「Tokyo Dolphins ―東京の島のイルカたち―」開催概要

■日時
2017年4月28日(金)~5月11日(木)
11:00~19:00

■場所
ソニーイメージングギャラリー 銀座
〒104-0061 東京都中央区銀座5-8-1 銀座プレイス6階

■アクセス

東京メトロ銀座駅A3、A5出口すぐ

■入場料
無料

高縄 奈々(たかなわ なな)プロフィール

幼少時に水族館で出会ったイルカに魅せられ調教師を目指し上京するが、2002年に御蔵島で調査ボランティアとして野生のイルカと泳ぐ体験をし、野生の鯨類の虜となる。専門学校卒業後の2004年に御蔵島へ移住、ドルフィンスイムツアーのガイドをしながら独学で水中写真をはじめる。現在は愛知県を拠点に野生のイルカ・クジラの撮影を継続、映像はテレビ、雑誌など各種メディアに提供している。
2016年7月に電子書籍写真集「Dolphin Eyes あるイルカの島の物語」を発表。

(取材・文/山本晴美)

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