貧困問題がもたらす絶滅危機とは

「絶滅」。それはこの地球上から、姿を消し二度と生命を生み出すことの出来ないことを指す。

世界には、多くの種類の生き物たちがその危機に晒されており、原因の一つとして上げられるのが密猟や密輸といった違法取引があげられる。20世紀中頃までは、野生動物保護に対しての法律が十分に整備されていなかったため、地域によっては無制限に捕獲され売買されていたという。
そして、古くから狩りの対象にされてきたのが、地球上最大の哺乳類である鯨だ。今でこそ、捕鯨問題が大きく取り上げられ鯨類の乱獲は減少しているが、急激に変化した個体数と生態系を元に戻すためには計り知れない時間がかかるだろう。

我々人間が生きていくために、無差別に命を奪われ、生態系が壊れていく。
人類が生きていくための手段として、最悪の選択を強いられる人々がいる現実を変える方法はないのか。今一度、平和な国に住む私たちも真剣に向き合わなければいけない。

貧困と密猟

今、世界では7億3600万人もの人々が、必要最低限の生活水準が満たされない生活を送っているそうだ。その約70%がアフリカ大陸で暮らしており、自然災害や紛争、身分制度の残る国では貧困層にとどまった日々を過ごしている。

ある地域では、幼い子供が学校に通うことなく夜な夜なゴミを集めて売買し、またある地域では小さな手で武器を持ち戦っている。
文化や政治が複雑に絡み合い、個人の力では解決できず、負の連鎖が続いているのが現状をたくさんのメディアが取り上げて発信している。私たちが当たり前のように過ごしている1日ですら、彼らにとっては掛け替えのない今日なのだ。

そのような生活から抜け出すために、彼らに残された方法の一つが、密猟だという。発展途上国の密集するアフリカ大陸では、珍しいことではないそうだ。
金銭価値のある動物の一部を採取し取引をすることで、彼らは約束された明日を手に入れることができる。自分自身が生き残るために、大切な家族を守るために、命をかけて命を奪う。残酷だが、これは紛れもない事実だ。

犠牲になる動物たち

人命を繋ぐために、動物の命が奪われることは最近の出来事ではない。
冒頭にも記した通り、昔から鯨類はその被害にあっていた。体も大きく、捕獲できた暁には、当分の間食糧には困らずに済む。
また、鯨油と呼ばれる鯨の内臓や頭から採取できる油は、日常生活でも多目的用途で使用が可能であり、高値で売買されていたとも言われている。

また、スイスを中心に約80か国に拠点を置いている環境保護団体WWFによると、立派な角を持つ象やサイは体の一部だけを採取され、虎やワニは魅力のある毛皮を剥ぎ取られている。他にも、珍しい小型の動物はペットとしての需要が一部で見られ、生きたまま捕獲され、販売されているということから、金銭価値の高い野生動物が標的となっていることが理解できる。

このような人間による乱獲で動物の個体数は大幅に減少し、現在では多くの種が絶滅の危機を迎えている。
これは立派な悪循環であり、根本からの解決が必要である。

私たちにできること

貧困と密猟、そして絶滅。この問題は決して当事者の責任だけではない。世界の国々は国際協力のもと野生生物の国際取引を規制するワシントン条約を制定した。
しかし、一向に修復されないのが現状である。地球上で需要がある限りは、供給が止まらないだろう。
私たちができることの一つとして、この現実を知ること。そして、密猟の対象になる動物製品の購入を避けることが悪循環を止める鍵になるはずだ。

地球の裏側で起こっている悲しい悲劇。根元である「貧困」は、SDGs持続可能な目標開発にも掲げられている。
人類が2030年までに改善しなければいけない目標の一つであり、改善に導かなかれば、誰もが望んでいない「死」が繰り返されてしまう。

遠い地域で起こっている事実に目を向けることは、難しいかもしれない。だが、決して目を逸らすことをしてはいけないのだ。
今この瞬間も種を問わず生死を彷徨う命があるということ。綺麗事だけでは、生きられない今日があるということ。
他人事ではなく、地球に宿された平等な命と共に、平和な明日へ生き残って行こう。

Text:Natsuki Matsuda

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