愛媛ダイビングセンターが環境省から「エコツーリズム大賞・パートナーシップ賞」を初受賞〜愛媛ダイビングセンターからコメントも〜

愛媛ダイビングセンターがエコツーリズム大賞・パートナーシップ賞を初受賞

愛媛ダイビングセンターが環境省主催の「第15回エコツーリズム大賞・パートナーシップ賞」を初受賞されました。
▶︎https://www.env.go.jp/press/107756.html

エコツーリズム大賞 愛媛

(地元の八幡浜市長への受賞と取り組みの報告※新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、環境省での表彰式は中止)

評価されたのは、「海底ゴミ海岸漂着物等対策協議会(賛同企業:有限会社エーデル企画オレンジベイフーズ株式会社)」の立ち上げと、そこでのエコツーリズムを活用した取り組み。
協議会立ち上げのきっかけや、活動内容はどういったものだったのでしょうか。

「海底ごみ海岸漂着物等対策協議会」の
はじまりとは?

宇和海
「海底ゴミ海岸漂着物等対策協議会」を立ち上げたのは、愛媛ダイビングセンターの代表を務める中岡惠司さん。
30年以上のダイビングインストラクター歴を持つ中岡さんですが、もともとは東京で活躍されていました。
結婚を機に愛媛に移住し、約12年前に、八幡浜市にて愛媛ダイビングセンターを始めました。

中岡さんが案内するのは、愛媛と大分の間、愛媛側に位置する宇和海(うわかい)を拠点とした八幡浜市・西予市・宇和島市の海。
ダイビングを通して、地域の自然環境や歴史文化を体験してもらうだけでなく、同時に破壊されたサンゴの再固着や海底清掃を行うなど、環境保全と地域おこしに繋げられるツアーを実施してきました。

そんな中岡さんが「海底ゴミ海岸漂着物等対策協議会」を立ち上げたきっかけは何だったのでしょうか。
それは、中岡さん自身が海底で目にした、おびただしい数の不法投棄ゴミと、広範囲で死滅してしまったサンゴ礁でした。

愛媛ダイビングセンターでは、定期的にさまざまな地域で海底清掃イベントを行っています。
その経験から「ゴミが溜まっていそうな場所」を推測し、2019年1月に八幡浜で海底調査を実施。
そこには、不法投棄されたクーラーやテレビ、タイヤなどのゴミが堆積し、釣り客で賑わう突堤の周囲を埋め尽くすように、海面下でゴミの山が広がっていたのです。

また、2017年に足摺宇和海国立公園の海域に当たる田之浜を、約3年ぶりに潜ったところ、美しかったサンゴ礁の9割以上が、死滅してしまっている状況に気がつきました。
そこから約2年、現状を発信することを続けましたが、国立公園のため、直接的にそこで対策活動をすることは難しく、状況はなかなか好転しませんでした。

「不法投棄や環境破壊は広がっている」
「自然環境の変化は待ってくれない」

このまま活動を続けても、環境変化のスピードには追いつかないと感じた中岡さんは、地域企業と連携して活動を進める必要性を強く実感しました。

そして、地域企業のエーデル企画、オレンジベイフーズの協力のもと、「海底ゴミ海岸漂着物等対策協議会」の発足にいたったのです。

「海底ゴミ海岸漂着物等対策協議会」の具体的な活動とは?

協議会ではこれらの問題に対する対策活動、またSDGsの観点から、その活動を持続可能なものにするための環境づくりとして、エコツーリズムの推進や教育活動を行なっています。

エコツーリズムとは、地域の自然環境や歴史文化を生かしつつ、持続的にそれらを利用することを目指した観光のあり方です。

ここからは、具体的な活動の一部を紹介させていただきます。

サンゴの再生活動

サンゴ礁域の再生・保全活動が行われているのは、足摺宇和海国立公園の沿岸部を含む、県内のサンゴ礁域。
レジャーダイバーとともに、死滅したサンゴや、荒天などで破壊され、放置すると白化死滅してしまうようなサンゴを採取し、それらを死滅したサンゴ礁に水中パテを利用して再固着したのち、成長を見守るという活動を定期的に実施しています。

この活動に参加するレジャーダイバーには「サンゴの生態と保全」知識の講義が事前に行われます。
異種同士が喧嘩するサンゴの習性や、攻めぎ合う海藻とサンゴの関係性、サンゴの再固着を行うにあたっての注意点など、正しい知識を持ってもらうことで、環境意識の高いレジャーダイバーの育成につなげることを目指しています。
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2019年の秋には田之浜のサンゴ礁域の海の再生イベントを実施。
県内外より15名のダイバーが集まり、サンゴ礁の再固着を行いました。

これらの活動に参加するダイバーには、ダイビング費用など、自身の活動費を自己負担してもらっています。
地域へ還元し、活動を持続可能なものにするために、公的補助金に頼らず、有償のエコツアーとして実施しているのです。

海洋清掃活動

海洋清掃活動においては、もともと愛媛ダイビングセンターとしてボランティアダイバーとともに行なっていた、海洋清掃イベントに加え、地域企業と連携した大規模な海底清掃など、活動の幅を広げています。
これまでに、「長早突堤下」の総重量1トンにも及ぶ海底ゴミの回収や「おさかな牧場シーロード八幡浜」の沿岸部にて、廃タイヤ37本の回収などを行っています。

この他にも、海底清掃イベントとは別に、日常的にダイバーに「一潜一塵(イッセンイチジン)」、1回潜るたびに1つ、海ゴミの回収を行う心がけをしてもらうため、回収した海ゴミの一時保管を行う「海美箱(ウミバコ)」を海辺の目立つところへ設置。

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「海美箱(ウミバコ)」の設置は、ダイバー以外の観光客の方々にも、また訪れたい「環境美化意識の高い観光地」として思ってもらうことにも繋がり、観光地へのリピーター作りに役立っています

歴史文化体験

歴史文化体験の舞台となるのは、八幡浜海域の沖合に位置する佐島。
1893年から、約100年前の1920年まで稼働していた銅の精錬所や、1957年に開設して3年で閉鎖されたレジャー施設など、近代産業遺構として価値が残る無人島です。
当時その近海には、銅の精錬時に発生したクズの海洋投棄や、埋め立て廃棄によって、環境破壊が行われ、真っ黒で不毛な海底が広がっていました。

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しかし100年という時代の流れを経て、海底ではサンゴや海藻の自然回帰が進んでいます。
海底に沈む、レンガ造りの構造物などの人工物と、そこに自然回帰したサンゴや海藻。
これらを通して、歴史文化と自然の生命力を感じてもらい、参加者の環境保全意識の向上を目指しています。

関連教育活動

関連教育活動では、愛媛ダイビングセンター代表の中岡さん自ら、地域の子どもたちに向けた、海に関する講演を実施されています。
愛媛環境教育
サンゴの生態や、愛媛の海ゴミ問題、時にはスライド写真の中に隠れる海の生き物を探すゲームなどを織り交ぜながら、環境保全の未来の担い手である子どもたちへ、環境教育活動を行なっています

愛媛ダイビングセンターがエコツーリズム大賞・パートナーシップ賞を受賞したポイントは?

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2005年から実施されているエコツーリズム大賞は、エコツーリズムにおける優れた取り組みを実施している、地域や事業者に贈られる賞です。
優れた取り組みを広く紹介し、全国のエコツーリズム活動を推進、連帯感を醸成するために実施されています。
なかでも、愛媛ダイビングセンターが受賞した、パートナーシップ賞は新設された賞で、特に地域や企業が連携をとって、活動を行なっている事業者や団体に贈られています。

愛媛ダイビングセンターでは、先に紹介したように、サンゴ礁の再生や海底ゴミの回収活動、歴史文化の体験を、レジャーダイビングと合わせたツアーとして実施されています。
このツアーへダイバーを誘客することで、地域が抱える問題への対策と、地域の活性化に繋げています。
全国から愛媛ダイビングセンターに訪れたダイバーは5,000人にものぼります。

地域連携協議会を発足し、海洋海底清掃・定期的なモニタリング・関連教育活動を行いながら、地域における海洋自然環境と近代産業遺構などの地域固有の資源を関連づけたアクティビティの提供を連携して行っていることが、今回の受賞のポイントとなりました。

愛媛ダイビングセンター代表・中岡恵司さんより
「エコツーリズム大賞・パートナーシップ賞」受賞コメント

最後に、愛媛ダイビングセンター代表であり、海底ごみ海岸漂着物等対策協議会の会長を務める、中岡恵司さんからコメントをいただきました!

愛媛ダイビングセンター代表・中岡恵司さんからのコメント

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中岡さん

私たちの活動が”全国に広げるべき活動”として評価を頂き、嬉しい限りです。
これからの「地域の課題」「気候変動への対策」「ダイビング業界の今後、考えるべき活動の一つ」として、私たちの対策活動が全国に広がることを望んでおります。

地球規模で進む環境問題、地方の人口減少による過疎化・高齢化の問題等が騒がれる中、海の恩恵を受け、海中世界のガイドを行う立場である私たちが率先し、各々の地域の方々と一丸となって活動を起こす必要性を感じております。

また、お客様の海中世界の楽しみ方や、ダイビングサービスの誘客に対する考え方は様々かと思います。
珍しい生物や透明度のよいワイドな世界、水中写真や浮遊感、健康増進・ストレス発散など、人それぞれです。

ですが、エコツーリズムの考え方を取り入れ、それをダイビングの楽しみ方の1つとして、私たちの活動に賛同を頂けたらと思っております。
都市型ショップ、リゾート型ショップ問わず、活動は行えます。

また、地域企業様においても、CSR(社会貢献)活動は、積極的に取り組むことが重要視されています。
企業や個人の価値の向上、ステークホルダーからの信頼、優秀な人材の獲得、これからの時代を長く生き残る企業、個人になるために、CSR活動を通して他社、他人との違いや価値を伝えていく必要があります。

今回の受賞によってダイビング業界としての基盤はでき上がってきたと思いますので、一緒に活動を広げて頂けることを願っております。
コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、苦境の観光業界の今だからこそ、「地域の課題」「気候変動への対策」「今後、考えるべき体験型観光」の一つに、ダイビングにおけるエコツーリズムをご検討下さい。
さまざまな地域において講演活動、取り組みへのお手伝いご提案もさせて頂いております。


海の環境問題が注目される中、ダイビングというレジャーは、自然を目的としたエコツーリズムとして、持続可能な仕組みを作っていくことが、今まで以上に求められているのではと感じました。
ダイビングの新しい楽しみ方としても、今後注目していきたい活動ですね!

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