ダイビング後のスキンダイビング
「だいこんダイバー!?」を読んでいて、
僕が一番驚いているのは、スキンダイビングのリスクに言及した
「タンクを背負わないドルフィンスイムや素潜りのもつ危うさ」の章。
※「だいこんダイバー!?」
というのも、僕はこれまでダイビングの合間に
スキンダイビングを楽しんできたから。
その手軽さと海との一体感から、むしろダイビングより好きだったりする。
もちろん、僕もそのリスクは知っているつもりだ。
ダイビング後はたとえ減圧症の発症がなくても、
サイレントバブルが血液中の残っている。
サイレントバブルは浮上のときに、
動脈血液内で残留気泡核と呼ばれるものになり体に留まった状態になる。
赤木さんの言葉を借りれば「炭酸飲料の微炭酸状態」
そして、スキンダイビングの往復で、
10㍍近くで加圧され浮上にともなって減圧されると、
残留気泡核はバブルになって減圧症になる可能性があり、
実際に報告もある。
赤木さん言うところの「炭酸飲料のシェイク」である。
では、それを知っていて、
なぜスキンダイビングをするんだ和尚?となるのが当然だが、
それは僕がスキンダイビングをするときの
「5㍍以浅ならOK」という条件に関係する。
この条件は何も僕が勝手に作ったわけでなく、
平成19年4月に発行された『事故を起こさないための潜水医学』
(大岩弘典著・水中造形センター刊)に堂々と記されているのだ。
引用してみよう。
「5㍍以浅のスノーケリングイビングであれば、
この現象(注:サイレントバブルが有症バブルになる現象)は
起こり得ないことも証明されている。
この事実から、スクーバダイビングにおいては、
海面待機時間(水面休息時間)を有意義に過ごすため、
5㍍以浅でスノーケルダイビングを楽しむのは
何の心配もないことを意味する」
僕は、潜水医学の第一人者の書いた最先端の本だと盲目的に信じたが、
「だいこんダイバー!?」に書かれている理屈は全面的正しい。
なので、問題は〝証明されている〟の内容だろう。
おそらく「だいこんダイバー!?」を読んだ人は、
ダイビングの合間にスキンダイビングをやっている人を見て、
「あーあ、わかってないよな〜」と思うし、
反対に「事故を起こさないための潜水医学」を読んだ人は、
かたくなにスキンダイビングをしない人を見て、やっぱり
「あーあ、わかってないよな〜」と思うだろう。
これはお互い不幸だ。
それに、僕はスキンダイビングをとても重要視している。
ただ楽しいだけでなく、
ダイビング・スキルのすべてが詰まっているとすら思っているからだ。
僕にとってはとても大きな問題なのだ。
いや、ダイビングのスタイルを変える、
ダイビング界の重大な議論だと思う。
しかも、僕が作っている『アイラブダイビング』で、
オススメの本として並べて紹介しているし(笑)。
ということで、まずは〝証明されている〟とサラリと書かれた一文の
根拠を探ろうと思う。