おひさしぶりのおデート
タイトル通り、土曜日にお久しぶりのおデート。
友達と飲んでいたときに来た彼女と何となく意気投合しメアド交換。
何度かやり取りしていると誕生日が近いということで、
「では、前祝いデートしましょう」と打診するとOKの返事。
潜り歩いている和尚とまこ社長になんとかお願いして東京にいられる日を確保。
ここ数カ月はこの日のために生きてきたと言っても過言ではない。
さて、何をしようか。
同居人のショータロが「俺の友達が監督した映画があるから見てよ」と言っていたので、
その映画を見てみようということになる。
そして、彼女が夜に用事があるというので、お祝いご飯はランチ。
お肉が食べたいというので、映画館のある渋谷近辺で、
映画が始まる12:30に間に合うように、
11:00からそれなりのコースをやってくれる店を探すが、
11:00オープンで、渋谷でそれなりのランチコースのお店ってなかなか見つからない。
何とかかんとか11:00オープンで見つけたのが、
女性に人気のしゃぶしゃぶ屋「東風吹かば」。
http://www.kochifukaba.com/index.html
ランチメニューしかないところを、
夜のコースを昼にやって欲しいとお願いすると「いいですよ」と。
「特選霜降り牛しゃぶしゃぶコース」にオプションを足して、
一人8,000円とランチにしてはなかなかのお値段。
映画の後は、お互いビール好きなので、「休みだし昼から飲んでお喋りしよう」と。
嗚呼、楽しい一日になりそうだ。
ウキウキし過ぎて、前夜「明日は、久し振りのデートだ、デートだ、
やっほい、やっほい。気合いが空回りしませんよーに」と
ツイッターにつぶやいてしまうほど。
今思えば、後の空回りぶりを暗示していたのかもしれない……。
デート当日。
待ち合わせより30分も早く渋谷に到着。
ウキウキしながら、妄想してはニヤニヤする気持ち悪い
おっさんの携帯に衝撃の電話。
「ごめんなさい……。体調悪くて、行けなくなっちゃったの……」
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このドタキャンっぷりと声を聞いて「あ、寝坊しやがった」と思ったが、
好きな人は性善説でいかねばならい。
「そうか。残念だけど、仕方ないね。元気になったらまた行こう」と強がってみる。
独りでコース料理食べても仕方がないので、お店に、
一人来られなくなったことを伝えてキャンセルの相談をしてみる。
しかし、「特別に用意しちゃっているので……」と言われ、
「そうですよね……。じゃあ、誰か誘ってみるのでちょっと待ってください」と。
こうなりゃ、ネタに走るしかない。
「誰かランチしませんか? 男でも女でも」とつぶやくも11時まであと15分。
来てくれる人はいない。
後輩ちゃんなどにも電話してみる。
「ねえ、うまいしゃぶしゃぶ食べない?」
「あ、行きたい行きたい。いつですか?」
「15分後くらい」
「はい?」
来るわけがないですね、そりゃ。
再び電話して、何とか一人分にしてもらい、お店へ。
こうなりゃ、映画はいいや。しゃぶしゃぶをゆっくり味わおう。
ギリギリまで一緒行く人を探したので、30分遅れの11:30にお店に入る。
店内を見渡すとお客は自分独りだけ。
「すいませんねぇ。急に1人になっちゃって」。
女性を明確にターゲットにしたこのお店。
http://r.gnavi.co.jp/g912430/
2人が1人になった理由など決まっている。
独りでコース料理を食べるおっさん。
店員さんも気の毒そうにこちらを見つめ、目が合うとそらす。
コース料理は女の子の店員さんがいちいち説明してくれるのだが、
女性向けなので、とっても恥ずかしい。
「コラーゲンたっぷりのお鍋に、
こちらヒアルロン酸のかたまりを入れさせていただきます」
こちらも努めて明るく楽しそうにするしかない。
「へ〜。これがヒアルロン酸のかたまり。お肌スベスベじゃないですか!」
嗚呼、この頬を伝う熱い液体はなんだろう……(泣)。
いや、まあ、料理自体は珍しいし、そこそこ肉もうまい。
ラー油とニンニクを落としたゴマダレ
こうなりゃ、じっくり料理と向き合おう。
と思っているところにドタキャンの彼女から電話。
「体調良くなってきたので、映画から行こうと思うんだけど」
な、なぬ! ドタキャンされた瞬間は正直ちょっとムカッとしたが、
来てくれるとなると途端に嬉しい気分。
嬉しいが、予定より遅れて入店しているし、
映画を見るのをやめて飯をゆっくり食べて飲むモードになっているので、料理はまだ序盤。
映画を見るには巻き巻きで飯を食わねばならない。
一瞬悩んだが、「そりゃ良かった。じゃあ12:15に」と即答。
しかし、あと15分で店を出ねば(泣)。
店員さんを呼んで「コース料理、全部持ってきちゃってください」。
五穀米もシメの雑炊的なものもデザートも
ランチどきになり、ぼちぼちお客が入ってくる。やはり女性ばかり。
女性がオサレなランチメニューを食べる中、コース料理を一気にテーブルに並べ、
大食い選手権のごとく早食いする色の黒い独りぼっちのおっさん。
結局7割くらいしから食べられず、ゆっくりもできず、
楽しくもなく、若干恥ずかしくもあるこのランチのお値段9,200円。
この意味のない出費は何であろう……。
時間通りに彼女と合流。
ランチのクレームを言うつもりはないし、体調不良は仕かたがない。
でも、器の小さい僕はがんばったことをちょっぴり伝えたい。
「ランチごめんね」と言われたら、独りコースをおもしろおかしく話して、
「いやいや全然。ネタをありがとう」と懐の広いところを演出予定だったが、
彼女、完全スルー……。おーい。結構、悲惨だった