久しぶりにビギナー
和尚と行く初めての井田にワクワクしていたが、実はかなりの緊張。
というのも、何年かぶりのドライスーツ。しかも、この日が初おろし。
1月まではウエットスーツで潜っていたが、
さすがに辛くなったとボヤいていたら《ワールドダイブ》の高橋さんが、
「では、作りましょうか?」と。お言葉に甘えるのが特技の僕は、
「いやいやそんなの悪いですよ〜」と恐縮するのも忘れて「お願いしまっす!」と即答。
そんなわけでドライスーツの初おろし。
カメラの精よ、影が……
ドライスーツがおニューならインナーもおニュー。
ウエイトは何キロ? ロックとオートはどっち……
あ! アンクルが必要だった!! ってか、どうやって潜るんだっけ?
前日から軽くストレスダイバー。
当日も、まこ社長によれば、朝からことあるごとに
「久しぶりのドライスーツだ」とつぶやいていたらしい。
ストレスダイバーの典型ですね(笑)。
準備にも、ガイドさんやまこ社長の倍は時間がかかる。
いや、潜在的にかけていたのかも。
ストレスダイバーの典型ですね(泣)。
それにしても最近のドライスーツのなんと着やすいことよ。
首も手首がスルっと入る。
昔は、特に手首のとこが面倒くさかったが、普通に服を着るみたい。
セッティングが終わり、器材を装着……できない。
BCのフィット感はダイビングの快適度を左右すると考えている僕は、
ベルトや股がけが体にジャストフィットになるよう調整してある。
しかし、それはウエットスーツの場合で、ドライスーツでは入らない。
すでに器材を背負った2人を待たせて、あたふたと調整。
周りの人を待たせてしまい、気まずい思いをしながら
あたふたと器材の準備をしていた初心者のときの心境を思い出す。
ようやく準備が終わり、深呼吸をしながら
「俺はできる子だ」と自分に言い聞かせながらエントリー口にやってくる。
慌ててはいけないので、最後にゆっくりと海へ入っていく。
そこで、ガイドさんが僕を見てひと言。
「あの……マスクは?」
はい。マスク、セッティング場に置いてきました。
心のコントロールに集中するあまり、他の集中が途切れる。
ストレスダイバーの典型ですね(号泣)。
マスクを取りに戻り、浅瀬でフィンを履こうとするも、
手が足になかなか届かずあたふた。
なんとかフィンを履いて、潜降しようとするがなかなか沈めない。
仕方ないのでヘッドファーストで無理やり沈むも、
浅瀬の移動では体が浮き気味になってしまうので、石を抱きながら移動。
僕の分身は雑誌に書く。「ウエイト量は大事」。どの口で言う。
少し深場へ行くと浮力も安定。
おお〜、この体が絞られる感覚、久しぶりだ〜。
でもって、寒くない! 寒くないよ、ドライスーツ。
ここでスクイーズを圧平衡するためスーツに給気……するもエアが漏れる。
そうだ、水中では排気バルブをロックするんだった。
え〜と、水中の体勢は足にたまるエアの移動で調整してと。
浮力調整は、スクイーズをなおすにはドライへの給排気で、
水深変化への対応はBCでして……。
ドライだけで浮力調整をしてみよっと……
う〜ん、やっぱり深場だと浮力が足りないなぁ。
むむ。初めてのリストバルブはどう使おうかな。
おお! 上腕部の排気バルブをロックにして、
リストバルブはずっとオートにしてここで排気を調整すると何だか楽だぞ。
などと、しばらくドライスーツ対策に集中し、
ようやく慣れたころに中層にタカベの群れが……。
「おお、すげー」と見ていると、頭がクラクラ……あぶな! 俺、あっぶな!
変な角度で首曲げていたのでギロチン状態になった模様。
そうだ、見上げるときは体を横に反転させ体ごとって寺子屋に書いてあった(笑)。
最後の浅瀬ではお決まりの浮き上がりになりそうで、
やっぱり石を抱えて事なきを……と思ったらシャチホコになりかけたので、
足を下げてエアを上に持ってきて……
と、てんやわんやな1本。
ウエットでは、やっと散歩のように潜れるようになってきたと思っていたのに、
久しぶりにドライスーツで潜ったら完全にビギナー。
いや〜、自分より経験豊富なダイバーに囲まれ
心細かった初心者のときの気持ちを思い出しました。
なんでしょ、この人格まで否定された屈辱感(笑)。
それにしても、たぶんダイビングがとてもお上手だと思っていた人が、
「ウエイトどれくらいですかね?」とか「いや〜緊張するわ〜」とか
「マスク忘れました!」とか言っているのを見て、ガイドさんは、どう思ったんだろう……。
1本潜り、アジャストして潜った2本目は楽しいのなんの。
少し、ウエットと違って潜らされている感もあるが、
濡れないし、震えないし、ダイビング後の着替えもあっという間。
すごいぞ、ドライスーツ。楽しいぞ、ドライスーツ。
何だか、冬場も忙しくなってきて潜る機会が減りそうだが、
もっともっとドライスーツで潜りたい!