スキューバダイビングの殿堂 〜日本人で唯一の殿堂入りダイバーは…〜

ほとんど世捨て人同様のヤドカリ爺でありますが、
それでもこの多難な世の中の噂話は、否が応でもわが寓居にも吹き込んでまいります。
ましてや、インターネットとやらで玉石混交いろんな情報を捜すこともできます。
こういうのをインターネットサーフィンとか申すそうな。
ヤドカリ爺は水に漬かることは少しご縁がありましたが、
あのちっちゃな板の上で、すいすいと波に乗るなぞという、
超人技(そうとしか思えません)は無理というもの。
そこであっぷあっぷと、インターネットの海をのそのそと漂流しつつ、
みなさんに少しはためになる話題をお届けいたそうと思っております。

Hall of Fame
(ホール・オブ・フェーム)

直訳すれば“名声の広間”となりましょうが、これじゃ何のことやらピンときません。
マルマルの殿堂と言うやつであります。
例えば、アメリカ野球の殿堂と言えば、ベーブ・ルースやルー・ゲーリック。
ゴルフの殿堂と言えば、ベン・ホーガンとかボビー・ジョーンズなんて
ほとんど伝説的な人物をたたえる、それであります。

もちろん取り立てて、決まった形があるわけでなし、スポーツの世界でだけでなく、
自動車の殿堂などはヘンリー・フォードから本田宗一郎なんて方が殿堂入りなさっておるようであります。
囲碁の殿堂、日本映画の殿堂、日本野球、日本サッカーの殿堂までさまざまであります。

では、われらがダイビングの世界ではと探してみると、なんとあるのですね。
その名も インターナショナル・スクーバダイビング・ホール・オブ・フェーム。
無理に訳せば“国際スクーバダイビング名誉の殿堂”といったところでしょう。

INTERNATIONAL SCUBA DIVING HALL of FAME
international scuba diving hall of fame

インターネットサイトを覗いてみると、
カリブ海にあるグランドケイマンというお国の肝いりでやっておるプロジェクトのようであります。
グランドケイマンといえば、ダイビングが大事な収入源のお国柄でありますから、
ダイビング産業のプロモーションの匂いもございますが、
貴重なビジネスをもたらしてくれたダイビングへの感謝のプロジェクトと思うことにいたしましょう。

ではどのようなお方が、殿堂入りなさっているかというと、まさに綺羅星のごときであります。
それもそのはず、19世紀のロクエーロール、デナルーズという先駆者、
減圧理論の祖のジョン・スコット・ホルデーンなど、
ダイビングのマニュアルに登場するすでに伝説的な偉人から、
まだまだご存命の、パラオに初めてコンプレッサーを設置したなんていう
ヤドカリ爺も初めて知ったお人もおられますな。
もちろんわれらがジャック・イブ・クストー先生も、
ご子息のジャン・ミシェル・クストーさんとご一緒に殿堂入りしています。

いやいや、誰がどれほど偉いなんて申せません。
エディンバラ大学で減圧理論を考えた大学者も、パラオのダイビングサービスの先駆者も、
私たちレクリエーションダイバーにとっては、どちらも大切なお方であります。
ダイブテーブルを作ったワークマン、ダイブコンピューターの基礎を築いた
ビュールマンがいないなんてことは言ってはいけないのであります。

どのようなお歴々ガ殿堂入りなさっているかは、
ぜひホームページをご覧いただいて、それぞれにご感想をお持ちいただければと思います。

女性では、深海探検調査のシルヴィア・アール、生物学者ユージニ・クラーク、
世界初の水中モデルで写真家のザレ・パリー、
スピアフィッシャーマンから水中映像作家になったヴァレリー・テイラーなどが並んでおります。

ちなみに日本からは寺山編集長の師匠、館石昭先生が
出版人、フォトグラファーとして、かつてのスキンダイバーマガジンの
編集長ポール・ツイモリス先生などとともに連なっておられますな。

international scuba diving hall of fame

選出がどのような規準でなされるのかは、
ヤドカリ爺としてはいささか気にかかるところはございますが、69人が選ばれております。
テキストだけでなく、映像でバイオグラフィーも紹介されますので、
われらがスクーバダイビングの先達の方々の偉業を偲ぶのも、これまたよかろうかと思われます。
※有名人ばかりなので一部敬称は略させていただいております。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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