御蔵島の赤ちゃんイルカ、今年はすでに3頭を確認

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屋根よーり高い鯉のーぼーりー♪

先日はこどもの日でしたね。
GWの御蔵島には、今年も沢山のお客様が来られました。
海もイルカの状態も悪くないらしく、皆さんイルカに夢中でした。

ところで御蔵島は、日本中の田舎と同様に、男の子を大切にする習慣が色濃く残る場所です。
なので、この時期はイルカもさることながら、里にはためく鯉のぼりもなかなか見応えがあります。

海上からもばっちり見えるので、イルカウォッチング帰りで入港直前の船や、島を後にする東海汽船のデッキからもご覧頂けます。
黒潮の島らしく、鯉にまざって鰹や鮪が空一杯に泳いでいます。
そういえば、イルカのぼりは無いですねぇ…。

御蔵島の「カツオのぼり」

強風にたなびく「カツオのぼり」

さてGWの直前に、イルカガイドのIさんが赤ちゃんイルカの写真を撮って来てくれました。

お母さんイルカを個体識別してみると、2002年生れ12歳のメスイルカでした。
そのイルカが赤ちゃん連れで観察されるのは、初めてのこと!つまり初産と考えられます。

前回の記事(2014年の御蔵島シーズンイン!赤ちゃんイルカの姿も)にも書きましたが、御蔵島のイルカはだいたい10歳くらいで初産を迎えるようです。

この赤ちゃんは、産まれてすぐにGWのイルカウォッチングに曝されることになりました。
産まれたときからウォッチングされている経験のあるイルカと、そうでないイルカの子育てやヒトに対する行動にも差があるかもしれませんね。
新しい研究興味がわきます。

と、ここまで書いた所で新しい情報が入りました。

いつも熱心に来られるダイビングショップのYさんによると、3頭目の赤ちゃんも見られたそうです。
残念ながら遠くだったため、お母さんイルカがだれかは分からなかった、とのこと。

Yさんは、ご自分で撮られた写真をまじめに個体識別されているので、既知の出産メス2頭は見分けられています。
追加情報に期待!!

御蔵島の赤ちゃんとお母さんイルカ(撮影:柳瀬美緒)

5月5日に確認された赤ちゃんとお母さんイルカ(撮影:柳瀬美緒)

と思っていたら翌日、イルカガイドのMさんが写真を持って来てくれました。
特徴的な背びれのカケ傷から、21歳の中堅お母さんのようです。

このイルカは昨年も赤ちゃんを産みましたが、その子は、夏の間に見られなくなってしまっていました。
赤ちゃんは1頭では生きられないので、死んでしまったのだと思います。

通常は子育て期間が3-4年あるので、出産間隔も同じくらい空きます。
今回は、昨年の赤ちゃんが早い段階で死んでしまったので、すぐ繁殖可能な状態になったのでしょう。

御蔵島ではこの季節、イルカ赤ちゃん情報がぽんぽん飛び込んできます。
しかし、出産の瞬間が観察された事はありません。

もし出産シーンが撮影できたなら、有名な自然科学メディア「ナショナルジオグラフィック」に売れるかも!?と夢見ています。

■参考文献
いるかいないか 御蔵島ミナミハンドウイルカ個体識別帳. 2010. 御蔵島観光協会

※オーシャナの御蔵島ツアー、キャンセルにより若干空席が出てきます。
ご検討中の方はお早めにお申込みください。
現在、7月11日(金)〜13日(日)、9月19日(金)~21日(日)の日程で空きがあります。

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PROFILE
山形大学農学部で、テントウムシの産卵生態を研究をしていたが、「もうちょっと大きな動物を研究したいなぁ」と路線変更。
三重大学大学院在学中に、御蔵島をフィールドとしてイルカの行動研究を始める。

2004年、御蔵島で観光協会設立に関わり、同大学院を中退。
現在、御蔵島観光協会勤務。

観光案内業務、エコツーリズムの普及活動、イルカの調査取りまとめを行っている。

■著書:
「イルカ・ウォッチングガイドブック」水口博也(編著)144pp. ウォッチングと生態研究の両立-御蔵島のイルカをめぐって
「クジラと日本人の物語―沿岸捕鯨再考」小島孝夫(編集) 第4章クジラと遊ぶ..
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