9年の歴史を見守っているクマノミ〜西伊豆・土肥の「通り崎ビーチ」〜
先日取材で潜った西伊豆の土肥。
窓口となっているセントラルスポーツアウトドアビレッジTHE101(現:土肥ダイビングサービス)の総支配人・ 早川泰夫さんに、ビーチポイント「通り崎ビーチ」の説明を聞いていると、「実はね、ここにクマノミがいるんです」というお話が。
「クマノミ……。クマノミは好きだけど、実はって言うほど珍しくはないんじゃないかな〜……」と内心思っていると、
早川さんがニヤリとしながら、「ここのクマノミ、なんと9年もいるんです!」と。
「9年!? 魚ってそんなに生きるの!? 生きるのはまだしも、ずっと同じ場所に定着してるのはすごい!」と思わず興奮してしまいました。
お話を聞くと、9年ほど前から現れて、ずっと観察されていたとのこと。
その後、数年前からは、イソギンチャクの中に入ってばっかり。
「弱ってきたのかな、そろそろだめなのかな……」と思っていたところ、ついに姿が見えなくなってしまったそう。
「ついにさようならか……」と残念に思っていたら、数日後、ひょっこりと姿を現しました。
「おお、まだいたのか! どこに行ってたんだろう。」と思っていると、数日後にまた姿を消すクマノミ。
不思議に思ってあたりを回ってみると、なんと近くのイソギンチャクで若いオスを捕まえて卵を産んでいたのです!
このクマノミ、なかなかやりますね。
取材に行った今回も、また別の若いオスをゲットして卵を産み、子育てに励んでいました。
こうして聞くと、また違った見方ができておもしろいですね。
いつまでも元気でいてほしいものです。
魚はどれくらい生きるもの?
ところで、クマノミはどれくらい生きるものなのでしょうか。
また、クマノミは死滅回遊魚だったはず。
寒い冬も乗り越えられるのでしょうか?
魚に詳しい、神奈川県立生命の星・地球博物館の瀬能宏さんにお話をお伺いしました。
クマノミの寿命はどれくらいなのでしょうか?9年も生きられるものですか?
瀬能
クマノミの寿命はわかっていません。
そもそも多くの魚の寿命は調べられていません。
ただ、金魚ですら20年、メダカでも飼育すれば数年生きることがありますので、クマノミもそのくらい生きても不思議ではありません。
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金魚は20年も!
クマノミは以前、死滅回遊魚と言われていたと思うのですが、いつから越冬できるようになったのでしょうか?
瀬能
以前から越冬はしていました。
死滅回遊魚と呼ばれていたのは、産卵していなかったからです。
親までは育つけど、子を産むことはなかったという意味で死滅回遊魚と言われていました。
近年では普通に産卵しているので、死滅ではなく、定着しているといえますが、産卵した最初の年がいつだったのかはもう少し詳しい調査が必要です。
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そういうことだったのですね。
瀬能さん、ありがとうございました。
今回紹介したクマノミは、浅瀬にいるということもあり、ダイバーにフィンなどで蹴られそうになってしまうこともあるとのこと。
優しく見守り、場所を移動するときも上を通らないなど、注意してあげてくださいね。