水中で息を止めるのはあり!? 【後編】

前編

水中で息を止めるためのガイドラインを考えてみる。

無意識の息止めと意識的な息止め
息止め禁止がエアエンボリズム防止のためなら、
浮上しないような状況であればいいことになる。



ただ、そのためには条件がある。
第一に〝意識的〟な息止めであること。
いつでもどこでも無意識に呼吸が止まってしまうのはダメで、
呼吸を明確に使い分けることが大事。

次に〝急激に水深が変わらない状況下〟であること。
水底にヘバリついて撮影するのであればこれに当てはまるが、
中層の群れを猛ダッシュで追いかけるなんてのは、
呼吸を止めたらエアエンボの危険性や酸欠の危険性があるのでNG。

さらに、酸欠を起こさないために過度な息止めはダメ
エアエンボの危険はなくても、空気を取り込む量が減れば、
十分に脳に空気がいきわたらず、思考力が低下したり、
頭痛を引き起こす。最悪、失神してしまうことすらある。

そこまでいかないまでも、
呼吸が不安定になって気分が悪くなったりするので、
数カット取ったら大きく深呼吸をして、呼吸を落ち着かせてからまた撮影、
というようなサイクルを心がけよう。

これらの条件を守りつつ、大人な判断で息止め撮影をしてください。 

息を止める正しい方法は!?
息止め撮影は、「息を吐き切ってから」と「息を吸い込んでから」では、
どちらがいいのだろう? これはもうケースバイケース。

「息を吸い込むと体のバランスが悪くなるので、
ある程度吐き出して撮る」人もいれば、
「吐き切って撮るとすぐ苦しくなるので、
吸い込んで撮るためにウエイトを多めにする」という人もいる。

記念写真程度に撮影を楽しんだり、
ドリフトで大物や群れを撮るなんてときはウエイトは少ない方がいいだろうし、
あまり動かずにじっくり撮影するのならオーバーウエイトで潜るのもあり。

いずれにせよ、息を止めるときは、
事前にシミュレーションし、状況に合った選択をすることが大事だろう。

テラ(和尚)

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PROFILE
法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール/コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書:「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD:「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
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