イントラは私の羊飼い

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ダイビング歴45年。やどかり仙人のぶつぶつ多事争論

先日セルフダイビングのトピックが、このダイビング・コミュの関係MIXIで
盛り上がっておりましたな。ダイビングは本来セルフであります。一人でや
ろうが、二人でやろうが、ダイビングは異常環境を、自分の生命維持をし
ながら活動する以上は、セルフそのものであります。

その意味ではダイバーが最低なスキルと知識をもつことが条件なのは、
分かりきったことではありますが、その最低線をどこに引くかがえらく難し
い問題でありまして、時々、オープンウォーター・コースでわずか数度の
ダイビングをしただけで、大海原を征服できると勘違いするダイバーがお
られます。

結果はセルフダイビングどころか、おんぶに抱っこ、おしめの交換まで、イ
ンストラクターやガイドにおまかせのダイバーばかり(いやいやけっして、
ヤドカリ爺は思っておりませんが。あくまでも筆の勢いであります)。

その反対に、ダイビングは生命維持活動であることは百も承知、二百も
合点でありながら、1日2日のトレーニングで、一丁あがりのインストラクタ
ーさんも多いようですな。中にはさらに手抜きしようなんてお方もいると聞
きます。

とまー長い前置きですが、そのような風潮は、かの300万だの400万だ
のといったダイバー人口のアメリカでも、どうも似たようでありまして、それ
について、かなり、痛烈な皮肉というか、批判というか、キツーイ1弾を放
っておられる方おられました。

詩篇 23編

主は私の羊飼い、           インストラクターは私の羊飼い、
私は乏しいことがありません。    私は、考える必要がありません。
主は私を緑の牧場に伏させて     ビデオレッスン中は居眠りさせて
いこいの水のほとりに         静かな水のときだけ潜れるように
伴われます。               講習につれていってくれました。

主は、私のたましいを生き返らせ   私の脳に怪しげな自信を埋め込んで
御名のために               あなたの都合で
私を義の道に導かれます。       独りよがりの道に導きくださります。

たとい、                   たとい、
死の陰の谷を歩くことがあっても、    死の陰の深みに潜ろうとも
私は、わざわいを恐れません      減圧病など恐れません
あなたが私と共におられますから    いつもあなたがおられますから
あなたムチとあなたの杖         あなたの知識とスキル
それが私の慰めです           それが私の慰めです

私の敵の前で、              机には説明なしの、
私のために食事をととのえ        ダイブコンピューター
私の頭に油をそそいでくださいます   私の上着にワッペン貼っては、
                        器材を売ってくださいます
私の杯は、あふれています        涙で感謝、私のインストラクターさま

まことに、私のいのちの日の限り、    私がダイビングを続ける限り
慈しみと恵みとが、             手抜きのつけが、
私を追ってくるでしょう            追いかけてくるのです
私は、いつまでも主の家に         おかげで、いつまでも、
住まいましょう                ノンセルフダイバーでいられましょう

旧約聖書詩篇23編

クリスチャンもユダヤ教信者も、もっとも当たり前に唱える。祈りの文句
で、正式には旧約聖書詩篇23編という、古くヘブライの昔以来の祈りで
ございます。というより、誰の耳にもたこができるほど、こびりついている
呪文がごとき一節であります。

“たとい、死の影の谷を歩むとも、私は、わざわいを 恐れません”は、い
ろいろに使われる慣用句のようです。続けて”なぜなら私は、大馬鹿もの
だから”みたいに自虐的に使われることも多いようでございます。

そんな詩篇23編なのでありますが、右側の替え歌部分をお書きになった
のは、Larry ”Harris”Taylor=ラリー”ハリス”テーラーさん。シカゴ大学
の分子科学の先生で、かつダイビングチームの安全コーディネーター(た
ぶん安全監督といったところでしょう)、当然インストラクターでいろいろな
ご本も書かれておられる、いわゆるダイビングのプロフェッショナルのよう
でございます。

そんなお方の、インストラクターとしてのの自悔の弁とも、困ったインストラ
クターへのシニカルな警告とも、、、、。もとインストラクターのヤドカリ仙人
としては、かなりのカウンターブローであります。

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PROFILE
1964年にダイビングを始め、インストラクター制度の導入に務めるなど、PADIナンバー“伝説の2桁”を誇るダイビング界の生き字引。
インストラクターをやめ、マスコミを定年退職した今は、ギターとB級グルメが楽しみの日々。
つねづね自由に住居を脱ぎかえるヤドカリの地味・自由さにあこがれる。
ダイコンよりテーブル、マンタよりホンダワラの中のメバルが好き。
本名の唐沢嘉昭で、ダイビングマニュアルをはじめ、ダイビング関連の訳書多数。
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