キャピキャピ女子大生!? 水中レポーター・デビュー
水中リポーターとしての最初の仕事は、
日本テレビが民放初となる「海中生中継」を行ったとき。
その頃、大学3年生だった私は、春休みで学校が休みだったこと、
撮影を父の会社が請け負ったことなどから、海中からレポートをするチャンスがもらえたが、
番組で私は”キャピキャピの女子大生ダイバー”と紹介され……。
法政アクアですっかり硬派に染まっていたため、
紹介を聞き「やめて〜」と心の中で叫んでいたが、
当時は、川島なお美や向井亜紀を輩出した文化放送のミスDJ、
オールナイトフジなどが放送され、ちょっとした女子大生ブームが起きていた。
生中継の舞台は慶良間諸島・座間味島。日本の南端・沖縄の海中と、
北端の札幌の雪まつり会場をつなぐ2元生中継の大規模な番組だ。
海からの生中継は、陸上とは勝手が違う。
陸上なら設備の整った中継車が使えるが海だとそうはいかない。
そこで、中継基地には大型ダイビングボートを使用し、
キャビンに放送機材を設置して中継船に仕立てた。
中継船にはテクニカルディレクター、演出を手がけるディレクター、
スイッチャーなど機材を操作する技術スタッフや音声スタッフ、
放送時間をコントロールするタイムキーパーなどが乗りこんだ。
洞穴のようなキャビン内でモニターを見ていたタイムキーパーのHさんは船酔いし、
バケツを抱えて吐き続けながら、きちんと放送時間に収める離れ業をやってのけた。
座間味島には、船上のアナウンサーを撮影する陸上カメラ、
海中を撮影する2台の水中カメラが配置された。
高月山の頂上には、衛星に中継映像を送る大きなパラボナアンテナが設置され、通信会社のスタッフも張りついている。
生中継のスタッフは総勢40名ほど。
多くのスタッフがかかわり、チームプレーで1つの番組作り上げる。
しかも生中継は一発勝負、失敗は許されない。
初めて生中継の現場にかかわった私は、
臨場感、緊張感に満ちたTV撮影の醍醐味を味わい、その一員に加わりたくなった。