念願かなって水中リポーターになったものの……
こんにちは。須賀潮美です。
前回は「ニュースステーション」の水中リポーターになったところまでを
ご紹介しましたが、今回はその続き。
仕事を始めてみたら、念願が叶ったと浮かれている場合ではありませんでした……。
大学卒業と同時に「ニュースステーション」に出会い、
水中リポーターとしてレギュラーコーナーをやらせてもらえることになった。
「なんてラッキーなの!」と有頂天になったのもつかの間。
ダイビングに没頭し、新聞すらあまり読まなかった女子大生が、
いきなり最先端を走る報道番組に加わったのだ。
それはもう、最初の頃は一杯一杯で、ついていくだけで必死だった。
「立松和平・こころと感動の旅」のロケは、
基本的に陸上班4名(立松さん、ディレクター、カメラマン、ビデオエンジニア)と
水中班6名(カメラマン、水中サポートスタッフ、ビデオエンジニア、音声、アシスタントディレクター、私)に
現地のスタッフが加わり、総勢10名を超える大所帯になる。
陸上班が立松さんのリポートや、地元の漁師などの取材を行う間、
水中班はカメラや音声システムなどを組み立て、
船上にモニターをセットして撮影の準備を整え、水中の状況をチェックしておく。
そして立松さんら陸上班と合流し、本番撮影に臨むスタイルがとられた。
TV局の担当ディレクターのKさんは、
いい番組を制作したいと熱い情熱の持ち主であり、厳しい人でもあった。
撮影が終わり宿に戻ると、撮影した映像やコメントをプレビューするのだが……。
「シオミ〜! どうしてそんなコメントしか言えないんだ(怒)!」
「そんな気の抜けたコメント、番組を台無しにしてるじゃないか(怒)!!」
と連日、激が飛ぶ。
大人数のスタッフをまとめるため、チームワークにも厳しかった。
緊張感のないスタッフ、時間にルーズなスタッフにはロケ中でも「帰れ!」と雷が落ち、
改まらなければチームから外す。
プロの仕事の現場の厳しさに初めて触れ、学生ダイビングクラブの厳しさなど、
子供の遊びに過ぎないと思い知らされた。
けれども、水中でのしゃべり方、間の取り方、カメラとの連携、コメントの作り方などは、
閻魔大王のようなKディレクターの特訓を受けながら覚え、
水中リポーターとして育ててもらった。
あの頃は怒られるたびに「いつか海に突き落としてしまおう」と思ったこともあったが、
今となっては感謝しかない。
知床ロケにて。左から私、Kディレクター、立松さん