ステップアップ講習はいかがわしい!?

『スキルアップ寺子屋』の多い駆け込みのひとつに、
「ステップアップ講習って必要なの？」
というものがあります。
ステップアップ講習に否定的なダイバーは、
「あんなの指導団体やショップの金儲けの
ようなもんだ」と言います。
イントラやガイドの中にも同じように、
「スペシャルティなんてくだらない。
そんなもん言えばすぐに発行してあげるよ」
という人がいます。
まず始めに言いたいのは、

僕は上記のようなイントラ(ガイド)が好きではありません。
“くだらない”と言い切ってしまうのは、
例えばスペシャルティコースひとつ、
きちんとした商品として開催できない
ダメなプロだと認識します。
僕なら、例えば“フィンキックSP”を開催して、
「まずはいろいろな形状のフィンを用意して体験してもらったり、フィンキックを水中ビデオで撮影して見せたり……」
などなど、真剣にそのダイバーのフィンキックが
向上できるような内容と安全管理を考えて、
商品にまで高める努力をします。
そして、当然、その対価を求めます。
これは至極当たり前のことだと僕は思います。
まず、これを否定してしまうイントラは、
「あなたは何で飯を食べているんですか？」と問いたい。
この論理で考えれば、極端な話、
最初のオープンウオーターですら
いらないって話になるでしょう。
ガイドが海を案内して生物を見せるというパフォーマンスに
対してその対価を得ているのと同じように、
イントラが、ダイバーが上手になる手助けをする
パフォーマンスに対してその対価を得ることは
僕には何の問題もないことだと思いますし、
まさに腕の見せどころとも思います。
こういうイントラ（ガイド）は、
一見、正しいことを言っているように聞こえるので、
習ったダイバーたちは“ステップアップ講習＝いかがわしい”とインプットされてしまう。
マジメに講習を考える身としてはこれが非常に迷惑。
ただ、“ステップアップ講習＝いかがわしい”
というイメージは、
残念ながらいかがわしいお店が実際にあるから
という側面もあります。
とにかく受けさせることに熱心で、
内容もおざなりで高額。
そして、「取らないと潜れない」的なだましのセールストーク。
要するにこういうイントラ（ガイド）も
“金儲け”としてのみ講習を捉えているのでしょう。
それなら、先述のステップアップ講習に否定的なイントラ（ガイド）の方が確かにいいのかもしれません。
「そんなもの受けなくてもいい」の言葉も
一理あるといえるでしょう。
要するに商品(講習)を売ること自体は何ら悪いことではない。
ただ重要なのは消費者(ダイバー)に正しい情報を開示して、
選択できるようにすること。
例えば、僕が将来開催しようとしている“フォト講座”なら、
「プロのカメラマンに作品を評価してもらえる内容で……」と付加価値をセールストークとして強調しつつ、
内容と料金をしっかり説明し、
ダイバーが受けたいと思って、
値段に納得すれば受ければいいし、
必要ないと思えば受けなければいい。
もちろん、商売ですから「こういうの開くから来ませんか？」と勧誘もするかもしれませんが、
もちろん、嘘をついたりだましたりはしません。
一部の悪いショップに囲い込まれ、
「そんなものかな」と強引にステップアップ講習を
受けさせられてしまう人がいる。
正義感の強いイントラが講習自体に否定的になってしまう。
そして、強引にステップアップ講習を受けさせれた人は後で「何かおかしいぞ」とやはりステップアップ講習に否定的になり、否定的なイントラに教わったダイバーもステップアップ講習に否定的になる。
なんたる負の連鎖。
これらを正すのが総合的な情報、正しい情報、
つまり媒体の役割なのですが、
情報が消費者の耳に届く前に囲い込まれてしまうことや
媒体の及び腰もあり、
なかなか消費者まで全体的な正しい情報が届かない。
僕も正しい情報が消費者に届くような仕組みを思案中ですが、
まだ時間がかかりそうですし……。
話がまとまらなくなってしまいましたが、
講習自体は悪くありません。
僕にとってレスキューコースは、
海を違った視点で見ることができ、
プロになるのを決めたコースでもあります。
受けて良かったと心から言えます。
講習にしても器材購入にしても、
いかがわしさを見抜くにはとにかく信頼できる情報を持つことが何よりも大事。
雑誌、口コミ、ネット、いろいろ情報収集をして比較検討することから始めたいものです。
微力ながらこのマイミクや僕の運営する
コミュがその一助となればいいのですが……。
※今回の日記は風潮に対するアンチテーゼ。
指導団体やショップの講習乱発や講習内容自体にも
やはり問題はあるとは思いますので、また今度。
※引き続き、昨日のアンケート協力お願いします。

法政大学アクアダイビング時にダイビングインストラクター資格を取得。
卒業後は、ダイビング誌の編集者として世界の海を行脚。
潜ったダイビングポイントは500を超え、夢は誰よりもいろんな海を潜ること。
ダイビング入門誌副編集長を経て、「ocean+α」を立ち上げ初代編集長に。

現在、フリーランスとして、ダイバーがより安全に楽しく潜るため、新しい選択肢を提供するため、
そして、ダイビング業界で働く人が幸せになれる環境を作るために、深海に潜伏して活動中。

〇詳細プロフィール／コンタクト
https://divingman.co.jp/profile/
〇NPOプロジェクトセーフダイブ
http://safedive.or.jp/
〇問い合わせ・連絡先
teraniku@gmail.com

■著書：「スキルアップ寺子屋」、「スキルアップ寺子屋NEO」
■DVD：「絶対☆ダイビングスキル10」、「奥義☆ダイビングスキル20」
■安全ダイビング提言集
http://safedive.or.jp/journal