ケーブダイビングって何、魅力は?どうやって始めればいいの?

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洞窟を探検するケーブダイビング。気になってはいるけれど、どんな魅力があるのか、何をどこでやっているのか、どうやって始めれば良いのかなど数々の疑問が湧いたまま、未知な領域として頭の片隅に置き去りにしているダイバーも少なくないのでは。そんな潜在的ケーブダイバーに向け、ダイビング指導団体TDI(※1)の代表・加藤さんにご協力頂き、ケーブダイビングの概要やその魅力、そして実際にケーブダイビングにトライするにはどうすればよいのかなどを伺ってきた。

※1 TDI:テクニカル・ダイビング・インターナショナル(TECHNICAL DIVING INTERNATIONAL)の略で世界最大のテクニカルダイビングのトレーニング組織

ケーブダイビングとは

ケーブダイビングとは、天井がある環境、すなわちオーバーヘッド環境で潜るダイビングのひとつ。一般的には「ケーブダイビング」として一口にまとめられているが、もっと専門的に区分けすると、天井がある環境であっても太陽の光が指す範囲のことを「カバーン」、太陽の光が指さない範囲のことを「ケーブ」と分けられている。

ケーブダイビング、ケーブダイブ、宮古島、魔王の宮殿

ケーブダイビングでは、ダイバーのレベルに合わせて、楽しめる範囲がランク構成されている。ランク構成は以下の通り。

・カバーン:太陽の光が指す範囲のみ。
・イントロケーブ:直線のみの往復。直線距離で200mの範囲まで。
・フルケーブ:範囲なし。ただし、TDIでは最大水深は40mまで。

いわゆる”Cカードを持ったファンダイバー”に楽しまれているのは、一部例外があるものの、基本的にはカバーンを指す。太陽の光が差さないイントロケーブ、フルケーブを楽しむ為には、専門的なトレーニングや知識習得が必要なのだ。

ケーブダイビング、奥深い魅力に迫る

ケーブダイビングの魅力を知るにあたり、実際にケーブダイビングを楽しんでいる加藤さんのお話を掲載させていただく。

———— ケーブダイビングの魅力についてお聞かせください。

加藤さん—- 「オープンウォーター下(※2)でダイビングを楽しむ時もそうですが、ダイバーって「この海はどうなっているのかな」っていう好奇心を持っているじゃないですか。ケーブダイバーも似たようなもので、この洞窟の先ってどうなっているんだろう?っていう好奇心をもってドキドキワクワクしながら進んでいくんですね。虜になるポイントは、ケーブの名の通り、洞窟内に素晴らしい景色があって、それを見てしまったりするとまたどこかでこういう風景に出会えるんじゃないだろうかと思って、どんどん行ってみたくなる。」

ケーブダイビング、ケーブダイブ、TDI

Photo by Kei Tanaka

「メキシコのセノーテなんかだと、フルケーブといって太陽の光が全く入らない真っ暗闇を進んでいくわけです。リスクがある中、探検して新しいルートを見つけたりなんかもして。そういった冒険感を味わいながら、ミッションを終え、水面に浮上していく時の景色も格別。太陽の光がフワーッとはいってくる時の感覚は特別なものがあります。」

ケーブダイビング、ケーブダイブ、TDI

Photo by Kei Tanaka

「ただ、オープンウォーター下で行われるダイビングと違って天井があるケーブダイビングでは、すぐに水面に上がれるわけではない。リスクをきちんと消化した上で潜らないと、こういった冒険感含め、ケーブダイブの魅力を思いっきり楽しめません。だから専門的な知識のインプットとトレーニングは大切。自分をどんどん高めていけば潜れるケーブの場所や種類も増えていくので、知識や技術を身に着けるのも楽しみのひとつです。」

ケーブダイビング、ケーブダイブ、TDI

Photo by Kei Tanaka

「技術や安全に潜るための考え方を身に着ければ、長時間のダイビングで、優雅に広い範囲のコースにチャレンジできます。基本のケーブダイビングのスタイルとして、背中に2本のバックマウントスタイル、もしくは両脇に1本ずつ付けるサイドマウントスタイルがあります。さらに広範囲に楽しむには、さらにもう1本付け、計3本で潜るステージダイビングというスタイルで潜ります。さらに上のレベルには、4本付けるマルチステージダイビングというスタイルが。さらに奥地や狭く奥まったケーブ内を進むために、これまで吸っていたステージシリンダーをケーブの途中に置き、2本のみの身軽な状態でさらに奥へと進む。途中で置いてきたステージシリンダーを回収し、ステージシリンダーの空気を吸いながら水面へ戻る。このような潜り方であれば、1ダイブで3時間、5時間のダイビングも可能です。」

ケーブダイビング、ケイブダイブ、TDI

Photo by Kei Tanaka

「さらに上のレベルではDPV(※3)、すなわち水中スクーターを使って、さらに奥へと探検することもできます。」

ケーブダイビングの魅力、その奥深さはとどまることを知らない。ケーブダイビングを楽しむためには、ケーブを探検したいという好奇心や情熱を内に秘めつつ、その一方でリスクをしっかりと消化できる知識と技術を持ち合わせることが必要なのは間違いなさそうだ。

※2 水面が閉鎖されていない環境
※3 ダイバープロパージョンビークルの略

レジャーダイバーでも楽しめる洞窟ポイント

基本的にはテクニカルダイビングの知識がないと楽しむことのできないケーブダイビングだが、体験したことがない人がいきなり知識や技術を身に着けることは難しい。そこで、初めての人でも楽しめる洞窟ポイント(※)を紹介していく。

※テクニカルダイビングの専門用語として使用されるカバーンに近いポイントとなるが、専門的な知識を有さずとも楽しめる。専門用語との曖昧さ回避のため”洞窟”と表現させていただく。

レジャーダイバーでも楽しめる代表的な洞窟ポイント

・大分 稲積水中鍾乳洞
・西伊豆 雲見
・沖縄 辺戸岬
・宮古島 魔王の宮殿等

もっとケーブダイビングを楽しみたい方には、上記のようなお手軽に洞窟体験できるポイントを潜る他、TDIが主催する「TDIカバーンダイバーコース」を受講するのもおすすめだ。カバーンダイビングの登竜門的なコースで、一般的なダイビングの装備で参加することができ、洞窟ダイビングを行うための適性チェックを受けた後、ケーブダイバーになるにあたっての必要な基礎スキルや考え方も学ぶことができる。受講に関しては担当インストラクターの方針を聞いて自分に合ったショップを選ぼう。

TDIカバーンダイバーコースが受講できるショップのリストは下記の通り。

★はTDIカバーンインストラクターコースも開催

[千葉県]
●ASDI ★
[東京都]
●Oceanus
[神奈川県]
●explorers-nest ★
●Stingray Japan
[愛知県]
●TDI JAPAN ★
●evis ★
[大阪府]
●なみよいくじら ★
●Marine station FUN
[福岡県]
●TOP SECRET Cave explorers INAZUMI
[沖縄県]
●ベントスダイバーズ ★
●マリンドリーム夢塾
●TAKE DIVE
[メキシコ カンクン]
●AQUAPPLI
[メキシコ プラヤデルカルメン]
●IGUANA Divers

公式サイトはこちら

ケーブダイビングのトレーニングコースを受講することで、楽しめるケーブポイントもどんどん増えていく。洞窟の様に奥まで深いケーブダイビングの魅力、まだまだ序の口。本記事がケーブダイビングの扉を開けるきっかけになると嬉しい限り。

スペシャルサンクス:TDI 代表・加藤大典さん
TDI
潜水部出身でダイビング歴30年。ダイビングインストラクター歴27年、テクニカルダイビング歴は18年。2016年からSDI/TDI/ERDI JAPANの代表となり、ディープダイビングやケーブダイビング、リブリーザーインストラクターに留まらず、現在はSDIコースディレクタートレーナー、TDIインストラクタートレーナーも務める。ダイビングショップと指導団体を運営し、ダイビングのさらなる可能性の追求と安全面の両立を大きなテーマとし活動中。

TDI
テクニカルダイビングインターナショナル。1994年にレクリエーショナルダイビングの遊びの範囲を安全に拡張するために設立された。ディープダイビングやリブリーザー、ケーブダイビングなどすべてのテクニカルダイビングのコースを扱う世界最大のテクニカルダイビング指導団体。姉妹団体にはSDI、ERDI、PFI、First Response Trainingなどダイビングの各分野の指導団体を有している。日本では1996年から活動をしている。
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PROFILE
アウトドアレジャー予約サイトの取材ライター出身。いままでに取材した日本全国のアウトドアカンパニーは130社ほど。ネットワークを活かした記事作りが得意!?かもしれない。一番好きなアクティビティはダイビング!とは言い切れないかもしれない。
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