【奄美ダイビングログvol.3】ゴミを拾ったらウミガメに会えた嘘のような本当の話

ダイビング経験のほとんどを伊豆で積み上げた根っからの伊豆ダイバーである私、松田が、個人的な目線で奄美大島の海を紹介する「奄美ダイビングログ」第3弾。

突然ではあるが、ウミガメと泳いだ経験はあるだろうか。おそらく、沖縄や海外のリゾート地に訪れた際には、ダイビングやシュノーケルで当然のようにウミガメは姿を現し、時には一緒に写真を撮れる距離まで近づけることもあるのではないかと思う。ダイビングに限定しないのであれば、これまで伊豆半島だけでなく、小笠原や伊豆諸島、海外ではオーストラリアなどを訪れ、それなりに海を謳歌しているつもりであった。

ところが、なぜかウミガメだけには運がないのか出会ったことがない。とはいえ、伊豆で潜っていてもウミガメに遭遇しないといわけではなく、「川奈」というポイントにはウミガメが定住していたり、ハンマーヘッドで有名な神子元島でも観察できたりすると聞く。過去にはマンボウも目撃したというちょっとした自慢話もあるため、ますますウミガメへの憧れが強まるばかりだ。そんな私も遂に、神が味方したのか運命的な出会いを果たした。今回は私が初めてウミガメと出会ったときの嘘のような本当の話を記していく。

ところでウミガメに種類があるって知ってる?

世界では約8種類のウミガメが存在し、国内で確認されているのはその内の6種類。しかし、その中でもマリンアクティビティで観察できるのは次の3種類が一般的だろう。一番有名なのは優しい顔つきの「アオウミガメ」、ちょっと強面の「アカウミガメ」、そして前の2種類のカメよりも少し小柄で鳥のような口ばしが特徴の「タイマイ」だ。

(ダイビングやシュノーケルで大人気のアオウミガメ 蔵野宏大さん提供写真)

(ちょっと怖いような顔つきの赤ウミガメ)

(鳥のようなクチバシが特徴的なタイマイ)

この3種類のウミガメは日本の砂浜で産卵を行う。生まれたばかりのウミガメは砂の温度で夜だと察知し、紫外線を頼りに暗い夜でもしっかりと海に向かって進むことができるという。そんな生命力に溢れた生き物が私の憧れになるのは必然のことだっただろう。

これって運命ですよね、ウミガメさん

私がウミガメと出会ったのは、梅雨が明けたばかりの7月上旬。休みになると必ず海に潜る私は、その日もルーティン化した日常を送るべく海へと出かけた。1本目は船で沖へ。その日も透明に近い色をした水に癒され、奄美大島で出会う名前のわからない魚たちに翻弄される。この子たちを心のシャッターに納め、帰宅後に余韻に浸りながら魚図鑑と睨めっこする時間が好きだ。

午後もどうしても潜りたかった私は、宿から徒歩30秒にある清水(せいすい)ビーチへ。深度2mほどの浅場が続き、太陽の光に波の模様が反射して自分の腕に映る。鱗模様にも見える波の光は自分が人魚にでもなったかのような錯覚にさえ落ちいる。自分の呼吸音だけが聞こえる世界は、私と魚たちだけがこの地球に存在するような不思議な感覚にもなる。

しかし、そんな素敵な時間から一瞬で現実に引き戻される瞬間がある。それは、海の中に本来はあってはならない海洋ゴミを発見した時だ。私はこれまで、ダイビング中にゴミを見つけたら拾うように心がけてきたが、奄美大島の美しい海では人工的な廃棄物を目の当たりにしたことがなかった。その日は有意義な夢のような時間にずっと浸れることはできず、落ち葉とともに揺れるお菓子の袋を見つけた。奄美に来て初めて使うゴミを入れる専用の袋を広げ、私の見る景色を水中本来の光景に変えていく。

(落ち葉と一緒に揺れるお菓子のゴミ)

(拾える範囲で回収)

奄美にきて楽しませてもらってばかりだった海に少し恩返しができたような気分でエキジット口に向かっていたその時、前に少し大きめの影がゆらゆらしているのを発見。近づくと、そこにいたのは私がずっと憧れていたウミガメの姿がそこにはあったのだ。嬉しさのあまり鼻から息を吐きまくったせいで曇り始めたマスクを慌ててクリアし、もう一度ウミガメがいた方向を見る。何度確認をしても、目の前に優雅に泳ぐウミガメの姿。少し小さかったので、小ガメだと予想する時間さえあった至福のひととき。しばらくすると、ウミガメはゆっくりと沖に向かって泳ぎ始めたので私はここでお別れした。

(私の夢を叶えてくれた子ガメ)

環境意識が高まりゴミを拾うことは世間的に当たり前になってきているかもしれない。しかし、私が今回ウミガメに会えた嘘のような本当のできごとは「海からありがとう」と言われているような気さえしたのだ。興奮のあまり、帰宅後にいろんな人にウミガメに会えた報告をしたことは言うまでもない。

「あ、よくウミガメ出るよね、そこのビーチ(笑)」。

そんなことを言われたとしても私はあのウミガメの出会いを運命だと信じ、これからも海に感謝しながら潜り続けたい。

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PROFILE
静岡県西伊豆町出身。

ドルフィントレーナー専門学校を卒業後、ダイビングインストラクターや操舵手といった海に関わる職歴を持つ。

現在は、ライターとして「地球に暮らす全ての生き物がHAPPYな未来を」と願い、記事を書く。