喉が渇かなくなってきれいな空気を吸える!?バイオフィルターを徹底レビュー
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ダイビング中、呼吸するたびに喉の渇きを感じたり、喉が渇いて咳がでてしまったりした経験はないだろうか。そんな時に活躍するのが「バイオフィルター」という素敵アイテム。
ファーストステージに取り付ければ、内蔵の含水フィルターがエアに湿度を与えてくれ、呼吸が快適になるうえ、なんと空気まできれいにしてくれるらしい。
とはいえ、本当にそんなに喉が潤って、きれいな空気を吸えるものなのか気になる読者も多いことだろう。
そこで、オーシャナスタッフ2人が実際に使用して徹底レビューいたします!バイオフィルターの知られざる効果についても紹介するので要チェック。
衝撃の事実1、タンクのエアは湿度が3%以下でカラッカラ
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そもそもなぜ、エアを吸っていると喉が乾燥するのかだが、それには湿度が大きく関係している。湿度が高いことが特長の日本の平均湿度はおよそ60~70%とされているが、私たちが吸っているエアの湿度はなんと3%!砂漠でも平均湿度は20~25%程あるとされているので、ダイビング中は砂漠の1/7以下の空気を常に吸っているということになる。それは喉もカラカラになって咳込む人もいるわけである。
衝撃の事実2、タンクのエアは必ずしもきれいとは限らない
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また、バイオフィルターの製造元である日本潜水機株式会社によると、タンクのエアは必ずしも、きれいとは限らないという。
それはタンクの構造上致し方ないことで、タンク内へエアを充填する作業の際、充填されたエアは少量の水滴となり、タンク内部に残ってしまうことが。
この内部に残留した水滴が、時間の経過とともにタンク内部にサビを発生させ、それらがヘドロ状になり、タンク内に蓄積していく…。
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1992年登録のスチールタンク。ダイビング用として通常使用していたものを切断した内部の様子(日本潜水機株式会社提供)
タンクの内部が上記写真のような状態になっていることも。すなわち、タンクのエアには、このようなサビやヘドロ、コンプレッサーの潤滑オイルなどの有害物質が混入している可能性があるわけだ。
有害物質が混入した汚染空気を吸い続けると、頭痛や吐き気に襲われ、最悪の場合は呼吸困難に陥ることもあるので注意が必要!
そんな中でも、アルミタンクに関しては年に1回、タンクの中身をチェックする視認検査が法令で決まっているが、スチールタンクは推奨のみで法令はないため、中身のチェックをするしないはダイビングショップまたはタンク屋さんに委ねられるという現実がある。ただし、耐圧検査に関しては両タンクとも5年に1回の頻度で義務付けられているため、長くとも5年経てば発覚することだが、裏を返せば5年間はタンクの中がどんなに錆びていようとも気づかれない可能性があるとも言えるのだ。
両タンクとも検査後に検査年月の刻印がタンク上部に押されるので、検査の有無は一般ダイバーでも確認できるが、もし刻印のないもの、またはずいぶん昔の刻印で更新されていないタンクに当たってしまったら…。
さて、どうしたものか。
そこでバイオフィルターの出番!
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日本潜水機株式会社が製造するバイオフィルター
砂漠以下の湿度で、もしかしたら汚い空気まで吸ってるかもという恐ろしい状態から解き放ってくれるのが、これから詳しくご紹介するバイオフィルターというアイテム。
高い除塵性能で空気もきれいに
バイオフィルターはファーストステージに取り付ける。そのため、タンクのエアはレギュレーターホースを通る前にバイオフィルターを通過。
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バイオフィルターに内蔵されているエレクトレットフィルター
そして内蔵されているエレクトレットフィルターにて、有害物質やオイル臭などが吸着され、きれいで安全なエアへと生まれ変わる仕組みというわけだ。
このフィルターは、PM2.5に代表される有害粒子(2.5μm以下)だけでなく、オイルミスト類(0.5~5.0μm)も吸着してくれるという凄腕の持ち主であるので、もう汚い空気を吸う心配はしなくてよくなりそう。
加湿機能で喉にうるおいを与え続ける
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バイオフィルターの内部構造
エレクトレットフィルターを通過したエアを次に待ち受けるのが含水フィルター。使用する前にあらかじめ水分を吸わせておくことで加湿器の機能を果たし、わずか3%だったタンクエアの湿度を、30~70%の数値まで引き上げてくれる。
喉の渇きは我慢すればいいじゃないと思うかもしれないが、呼吸するたびに肺や血液中から水分が奪われば、喉が渇くだけでなく、体中から水分が奪われ疲れやすくもなる。ヘビーダイバーでなくても、一日に複数回潜ったり、連日潜ったりするのならかなり重宝しそうだ。
マイナスイオン搭載でリラックス
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また、含水フィルターに十分水を含ませた状態でパージをすると、滝の周辺や森林などで放出される量とほぼ同程度のマイナスイオン(7,000~8,000個/cc)を放出するという!
マイナスイオンには、悪臭など細かい汚染物質を清浄化したり、疲労の軽減や周囲認知特性を向上させる働きがあり、運動量の激しいダイビングには最高のパートナー。リラックス効果も期待できそうだ。
レッツ検証
魅力たっぷりのバイオフィルター、これは使ってみないことには始まらない!ということで、オーシャナスタッフ2人が実際にその実力を検証してみた。
ライター染谷の検証
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ダイビングプールにて、ライター染谷が検証。バイオフィルターはオクトパス側に装着。
まずは、バイオフィルターを装着していない方のレギュレーターをくわえ、1本約20分潜って喉の渇きを含めた使用感をチェックしてみた。
バイオフィルターを使用してない喉のカッサカサ感に慣れているので、普段どおりというか、特に違和感を覚えない。ダイビングプールで検証しているため、通常のダイビングよりも運動量が少ないせいもあるのかもしれないと思い、意識的にグルグルと泳ぎ回ってみるものの、「うん、やっぱり普段どおり」という感じ。
次にバイオフィルターを装着したオクトパスを使って、1本目と同じダイブタイムで使用感をチェック。
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黄色の方で呼吸しまーす
呼吸してすぐ感じたのが、エアが美味しいということ。バイオフィルターなしで呼吸した時が不味かった!というわけではないのだが、ありの方はとにかくエアが美味しいという感じ。そして心なしか自分が元気になった気がする。
プラシーボ効果じゃない?と思われるかもしれないが、人の肌感は案外侮れないということをお伝えしたいのと、これがうわさのマイナスイオン効果によるものなのでは。
肝心の保湿効果だが、よだれで口の中溢れかえりそう!という程ではないものの、なしと比べると「快適に呼吸できている」という実感はすごくあり!
おそらく、アゲインストで泳ぐ時や大物が現れた時などの運動量が多くなる場面で使えば、さらにその効果が分かるはずだと感じた。
ということで、海で検証したスイカさんにバトンタッチ。
スイカの検証
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スイカは海で検証を実施。1本目はバイオフィルターなし、2本目はバイオフィルターありで比較をすることに。
バイオフィルターを付けずにまずは1本、エントリー後20分くらいから喉の渇きを感じはじめ、40分潜り終えた頃には喉はカラカラ。いつもどおりとはいえやっぱり喉乾くのはあまり快適ではない。バイオフィルターへの期待が高まる1本目となった。
2本目はエントリー前にレギュレーターを取り外し、ファーストステージにバイオフィルターを装着。重器材を大きくいじることは普段あまりないのでなんだか楽しい。
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装着が完了し、試しに陸上で一吸い。
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…?
陸上ではあまり違いが感じられなかったので、早速エントリーして試してみることに。
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水中で空気を吸ってみたところ、一発目の感想は「空気が美味しい!」。高原にいるかのような爽やかさを水中で感じる。喉の渇きはといえば、1本目のダイビングですでに水分が減っていたせいか、エントリーして10分程度で渇きを若干感じはじめた。しかし、40分ほど経ってエキジットするころの喉の渇きはバイオフィルターがなかった時と比べると、心なしか軽減されている気がする。
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透視度は悪いが空気が美味しくてご機嫌な様子
今回の取材を通じ、実はタンク内部があまり綺麗でなく、有害物質を吸っている可能性を知ったので、個人的には喉の渇きの軽減はもちろんだが、有害物質の除去という意味でバイオフィルターの使用は推奨されるべきだと感じた。バイオフィルターを通すだけで空気がこんなに美味しく感じられるなんて、普段吸っているエアはどれだけ汚れているのだろうか…。
結論、バイオフィルターはアリ⁉ナシ⁉
なかなかタンク内における空気の質まで見極めるのは困難な場合が多いのが現状。ましてや海外だとなおのこと。自分の身は自分で守るではないが、安全・安心のエアを確保できるのであれば、約3万円弱のバイオフィルターも長い目で見れば決して高い買い物ではないことがわかった。
また、検証前は半信半疑であった具体的な効果についても、納得する結果だったといっていいだろう。特にエアをきれいにし、マイナスイオンまで供給してくれる効果については、あらかじめ打合せをしているわけでもない二人が、口を揃えて「空気が美味しい」と言ったのが何よりの証拠かと思う。
ということで結論は大アリ!!!!!!!
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日本潜水機株式会社
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