TGシリーズ最新作OM SYSTEM Tough TG-7撮影レビュー! 清水淳が試してきた!

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4年ぶりにTGシリーズの新製品が発表になった。オリンパスから生まれ変わったOMデジタルソリューションズ株式会社から発売されるのは、2023年10月13日の予定だ。「TGシリーズはもう新製品が出ない!」、「大きなセンサーを積んで生まれ変わる?」などいろいろな噂が飛び交っていたが、一人のダイバーとして言えることは「TGシリーズを継続して作ってくれてありがとう」に尽きる。

ダイバーにとってレギュレーターやBCと同じくらい重要なギアの一つになっていて、世界中のダイバーたちに愛されているTGシリーズがもしこの世から無くなってしまったら、みんな困ると思う。水中で写真を撮る、ムービーを撮るということは、ダイビングの楽しみ方の一つとして欠かせないものとなっているからだ。

今回、皆さんより一足早くTG-7を水中で使ってきたので、ザックリとファーストインプレッションをお伝えしたい。本格的なインプレッションは後日執筆する予定だ。

TG-7の基本性能について

防水15m、防塵、耐衝撃2.1m、耐荷重100kgf、耐低温-10℃、耐結露といった基本性能はそのまま引き継がれた。見た目には、前モデルのTG-6からロゴデザイン以外に変更点がないように見えるが、単体で持ちやすいように外装デザインは新規に設計されている。

ボディーはサイズ的にはTG-6とほぼ同じなので、防水プロテクターはTG-6用のPT-059がそのまま使用可能となっているのが確認できた。

前モデルTG-6から進化した部分は?

○ホールディングしやすいボディー形状
○色再現性が向上した液晶パネル
○Bluetooth機能搭載
○インターバル撮影で露出平準処理搭載
○インターバル撮影で撮影間隔優先搭載
○縦位置動画に対応
○工事写真モード搭載
○USB端子がType B→TypeCへ変更

ホールディングしやすいボディー形状

ボディー前後のグリップ形状は大きく変更になって水中で持ちやすくなり、ホールディングの性能アップに大きく違いを感じた。水中でのホールディングも防水プロテクターを使った場合と同様レベルに向上したため、TG-7単体で水中撮影したいと思うほど。

色再現性が向上した液晶パネル

TG-7のモニターはニュートラルな発色になった。

TG-7のモニターはニュートラルな発色になった

明るい水中でも視認しやすくなり、ホワイトバランスや露出コントロールがしやすくなった。

防水プロテクター「PT-059」を使った撮影

さっそくTG-7を使って作品撮影に挑んでみた。普段使っているミラーレス機と比べて格段に小さいし、軽いし、陸上でも水中でも携行しやすい。大深度でのテックダイビングでも、携帯するのにストレスがない。それでいて本格的なワイド撮影にも、超高倍率のマクロ撮影にも、どちらにも水中でレンズを交換して対応できる順応性の幅広さは他にはない。

それでいて画質もまったく問題ないことに改めて魅力を感じた。現在ではたくさんのTG用の撮影アクセサリーが準備されているので、その魅力はさらに高まる。

マクロ撮影は、最近お気に入りの粟国島のマクロポイントで撮影した。水深がかなり深いがプロテクターの耐圧性能が高く、水深45mでもなんの問題もなく撮影ができたのは驚きだ。
   

撮影モード:水中マクロ
撮影地:沖縄/粟国島

撮影モード:水中マクロ
撮影地:沖縄/粟国島

ワイド撮影は、カラフルで抜けの良いブルーが撮れる渡名喜島。見た目通りに透明感が表現できる。撮影後の画像処理もほぼ不要なほど完成度の高い画像データが手に入るのはTGシリーズならでは。

撮影モード:水中ワイドモード
撮影地:渡名喜島

撮影モード:水中ワイドモード
撮影地:渡名喜島

TG-7の主な特長

TG-6から特に変わった点、撮影レビューを紹介してきたが、今回発表となった基本性能、特長は以下のとおり。

1. 防水15m、耐低温-10℃、高い耐衝撃性能。いつでもどこでも撮れるタフ性能
2. F2.0の明るいズームレンズ搭載、多彩な表現が可能なRAW記録に対応
3. レンズ先端1cmまで近接撮影可能、肉眼を超える驚きのマクロシステム
4. 専用防水プロテクター「PT-059」併用で水深45m、5つの撮影モードで多彩な水中撮影に対応

1. 防水15m、耐低温-10度、高い耐衝撃性能。いつでもどこでも撮れるタフ性能

ボディー各部に効果的に施されたシーリング構造や電池蓋など開閉部のダブルロック機構の採用により、水深15mまでの水中撮影も行える。また、砂や埃にも強い防塵性能、-10度の強力な耐低温性、さらにレンズ最前面をダブルガラス構造にすることで耐結露性も兼ね備えている。また2.1m からの高さの落下に耐える耐衝撃性能と100kgf に耐える耐荷重性能も。スキーなど寒冷地や山岳などのハードな撮影環境でも安心して撮影が行える、その名の通り「タフ」なカメラ。濡れた状態でも撮影しやすいように、グリップに滑り止めもついている。

2. F2.0の明るいズームレンズ搭載、多彩な表現が可能なRAW記録にも対応

光学4倍ズームレンズを搭載。F2.0と明るく、動きのある被写体を撮る場合でも、速いシャッター速度で被写体のぶれを抑えられる。高いレンズ性能を実現するため、DSA(大偏肉両面非球面)レンズをはじめとする、高度な光学技術を投入し、イメージセンサーには高感度性能に優れた「Hi-speed 裏面照射型CMOSイメージセンサー」を搭載、センサー上にあるシールガラスの両面に反射防止のARコートを施し、ゴーストやフレアの発生を効果的に抑えている。ミラーレス一眼カメラにも採用されている画像処理エンジン「TruePic VIII」を採用し、高画質を実現。

RAW記録にも対応しており、カメラ内でのRAW現像や無料の画像編集ソフト「OM Workspace」でRAW画像の編集、現像が可能。

3. レンズ先端1 cmまで近接撮影可能、肉眼を超える驚きのマクロシステム

レンズ先端から最短1cmまで近づけ、最大撮影倍率7倍相当(35mm判換算)の高い近接撮影能力を誇る。「顕微鏡モード」「顕微鏡コントロールモード」「深度合成モード」「フォーカスブラケットモード」の4種類の撮影モードを備え、さらにマクロ撮影の可能性を広げる2種類のアクセサリー(別売)からなる多彩なマクロシステムによって、肉眼を超える極小の世界をより鮮明に写すことが可能となった。

「顕微鏡モード」
レンズ先端から最短1cmまで被写体に近づけ、光学ズームをテレ側にした際の最大撮影倍率は7倍相当(35mm判換算)となり、顕微鏡を使ったような拡大撮影が可能に。
「顕微鏡コントロールモード」
ワンタッチで倍率を1倍、2倍、4倍といったように顕微鏡のように切り替えて、観察、撮影できるモード。背面液晶モニター上では最大44.4倍まで拡大して見ることができる。
「深度合成モード」
ピント位置を移動させながら複数の画像を撮影、ピントが合っている部分だけを抽出、合成し被写界深度の深い写真を作る。被写界深度が浅くピントの合う範囲の狭いマクロ撮影で威力を発揮する。3~10枚の間で撮影枚数を選べ、仕上がりの精度などに合わせ細かく調整可能。
「フォーカスブラケットモード」
ピント位置を移動させながら最大30枚まで撮影、ピント移動量と枚数は被写体や撮影条件に合わせそれぞれ3段階から選択できる。はえもの、ウミウシの触覚といったピントの位置を即座に決めにくい被写体の撮影に便利。また、本モードで撮影した画像を「OM Workspace」を使って「深度合成モード」で撮影したような1枚の画像に生成することも可能。

4. 専用防水プロテクター「PT-059」併用で水深45m、5つの撮影モードで多彩な水中撮影に対応

専用防水プロテクター「PT-059」(別売)の併用で水深45mまでの水中撮影が可能に。「PT-059」は水中撮影用の外部フラッシュを2灯接続でき、コンパクトながらも本格的な多灯システムを組むことができる。水中撮影モードは「水中ワイド」「水中スナップ」「水中マクロ」「水中顕微鏡」「水中HDR」の5つ。水中でのホワイトバランスは、「水中・浅瀬」、「水中・標準」、「水中・ディープダイビング」の3種類を備え、水中撮影モードの設定に応じて自動で切り替わるが、手動での切り替えも可能。

「多彩な水中撮影を可能とするアクセサリー」(別売品)
・防水プロテクター「PT-059」
・フィッシュアイコンバーター「FCON-T01」
・フィッシュアイコンバーター「FCON-T02」
・テレコンバーター「TCON-T01」 他

関連記事:防水プロテクター「PT-059」の詳細はこちら

その他の特長

その他、今回発表されたTG-7の特長は以下のとおりだ。

・豊富なシステムアクセサリーによる高い拡張性
・カメラ内にGPS、気圧、方位、温度の各センサーを内蔵。移動中の位置情報(緯度・経度)や気温・水温、標高(水深)、方位のトラッキングデータを自動で取得、スマートフォンアプリ「OM Image Share(OI.Share)」に取り込めば、移動や標高(水深)の軌跡と撮影した映像を連動して表示することが可能な「フィールドセンサーシステム」を搭載。
・縦位置動画にも対応、カメラを縦位置にして撮影した場合、縦位置の動画ファイルとしての保存が可能となり、SNS等ではおなじみとなった縦位置動画も編集ソフトを使わず手軽に作成可能。
・シャッター全押しの0.5秒前から10コマ/秒の連写撮影を行い、昆虫の飛翔やミルククラウンといった撮影のタイミングが難しいシーンも逃さない便利な「プロキャプチャーモード」を搭載。
・最大299コマのインターバル撮影に対応。撮影終了後にはタイムラプス動画が自動生成。インターバル撮影では、撮影間隔優先設定と、コマ間の急激な露出変化に対応する露出平準処理設定が可能。
・USB Type-C端子を装備。本体内充電にも対応。
・防塵・防滴保護等級IP57に対応しリモート撮影が可能なワイヤレスリモコン「RM-WR1」(別売)が使用可能。Bluetooth® Low Energyで通信する省電力設計。
・国土交通省の基準に準拠した画像サイズで撮影可能なワンタッチ設定「CALS/CALS H」ほか、「工事写真専用モード」搭載で、業務利用にも最適。詳細は以下を参照。
https://jp.omsystem.com/product/compact/tg7/construction.html

OM SYSTEM Tough TG-7発売概要

製品名:「OM SYSTEM Tough TG-7」(レッド/ブラック)
希望小売価格:オープン価格
発売日:2023年10月13日
▶︎製品詳細
▶︎主な仕様

同時発表関連製品:シリコンジャケット「CSCH-128」(別売)
ボディーの表面をキズから守る。シリコンジャケットを装着したまま、LEDライトガイド「LG-1」やフラッシュディフューザー「FD-1」を取り付け可能。
希望小売価格:5,500円(税別5,000円) 発売予定:2023年10月13日
OM SYSTEM 3年物損サポート(有償サービス):「OM SYSTEM TG-7」は、「OM SYSTEM 3年物損サポート」の対象製品となる。一般の保証では適応外となる破損、水濡れなどでの故障もカバー、過酷な環境で多用される方におすすめのサービス。
詳細はこちらのサイトで確認を。
▶︎OM SYSTEM 3年物損サポート

OMデジタルソリューションズ株式会社について
OMデジタルソリューションズは、「世界の人々の心豊かな生活の実現」をミッションに掲げ、外の世界で得られる新たな発見や自然とのふれあいを楽しむことで心豊かになること、その体験価値「アウトドアライフバリュー」を高めるカメラ・レンズ・ICレコーダー・双眼鏡などのOM SYSTEM製品・サービスの提供、およびビジネスや社会課題の解決に貢献するソリューション事業を展開しています。
▶︎OMデジタルソリューションズ
※2021年1月よりオリンパス株式会社の映像事業を継承しています。

OM SYSTEMについて
OM SYSTEMのブランドコンセプトは、「どこにでも持ち歩ける」「感じたものが思ったままに撮れる」この二つを共に実現し、映像体験をもっとワクワクする冒険に変えていくこと。アウトドアでの活動に楽しさをプラスし、私たちの製品・サービスを通じて、人々が心豊かになる体験を創出してまいります。OM SYSTEMは一人ひとりの冒険、挑戦を応援します。
▶︎OM SYSTEMブランドサイト

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PROFILE
1964年生まれ。水中写真や海辺の風景を撮り続けている。執筆や撮影を行ないながら、沖縄・那覇にて水中写真教室マリーンプロダクトを主宰。 また、カメラメーカーの研究開発にも携わり、水中撮影モードや水中ホワイトバランスの開発アドバイザーも務める。1998年にデビューしたOLYMPUS C900Zoomから最新機種まで全てのOLYMPUS水中モデルのチューニングテストを行なっている。カメラ機材に精通し、機材の特性を生かす能力が評価され、水中撮影アクセサリーメーカーのアドバイザーやテスト撮影の要望も多い。執筆活動では、水中撮影機材の解説や撮影の仕方、楽しみ方の記事をPADI Japan/デジカメ上達クリニック、OMDS/水中デジタルカメラ・インプレッション、マリンダイビング.ウェブ/水中デジカメ撮影教室、オーシャナ/カメラレビューを現在連載中。最近では、「清水淳のマンツーマン水中写真教室」が好評いただき熱意あふれるフォトグラファーたちと一緒に撮影をしている。
公式ホームページ https://shimizu.marine-p.com/ 公益社団法人日本写真家協会会員。
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