高校生に企業にダイバー! 福岡市民みんなで取り組む博多湾アマモ場づくりとは?

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博多湾は福岡市の北西部に位置する、玄界灘に面した湾。特定重要港湾の博多港を有し、アイランドシティとして埋め立て・開発されるなど、福岡市の発展の拠点となっている。一方、漁場として利用されたり、和白干潟が鳥獣保護区に指定されたりするほど、海中から沿岸部に多様な生き物が生息する自然豊かな場所として市民に愛されている。

そんな博多湾で重要な役割を果たしているのが生き物たちのすみかとなるアマモ場。そこで、豊かな博多湾を未来に繋げるため、アマモ場づくりなどの活動を行う「博多湾NEXT会議」が立ち上がった。市民や福岡市、企業などが連携し、どんな活動が行われているのかご紹介しよう。

博多湾を育むアマモを守れ!博多湾NEXT会議発足

アマモは海草(うみくさ)と呼ばれる植物の仲間。浅瀬の海に群生し、形成されたアマモ場は「海のゆりかご」と呼ばれ、生き物のすみかや産卵場所となる。さらに産みつけられた卵を食べに来る魚や生き物も集まり、豊かな生態系を作り上げる。その他にも、二酸化炭素を吸収し酸素を供給したり、水質を改善したり、地下に根を張って海底地盤を安定させたりと、砂地の多い博多湾では非常に大事な役割を果たしている。

福岡市HPより

福岡市HPより

アマモ場づくりを行う「博多湾NEXT会議」は、市民、行政、漁業者、企業、教育機関など46の団体会員、24の個人会員で組織され、その他にもネットワークづくりや魅力ある博多湾の魅力発信を通して、博多湾を未来に繋げる活動を行っている。

企業や団体、高校生も!? それぞれの博多湾アマモ場づくり

10月20日には博多湾市民シンポジウムがオンラインで行われ、「豊かな博多湾の環境を未来へ〜アマモ場づくりとSDGsで繋がる輪〜」をテーマに、様々な取組みが紹介された。

福岡市HPより

福岡市HPより

アマモ場づくりの活動は、有志のダイバーが集まる「一般社団法人ふくおかFUN」と福岡工業大学附属城東高等学校科学部の活動が紹介された。寒天粘土にアマモの種子を混ぜた団子を作り、博多湾のさまざまな場所でアマモ場を増やすというものだ。ふくおかFUNではダイバーが今津の海に潜って植え付け、城東高校では志賀島(しかのしま)のビーチから団子を投げ入れた。各地でアマモを増やすことで、リスクが分散されるという利点もあるそう。

福岡市HPより

福岡市HPより

また、後半は福岡市のブルーカーボン・オフセット制度を利用し、カーボンクレジットを購入した5つの企業の取組みが紹介された。

ブルーカーボン・オフセット制度とは

アマモ場をはじめとする藻場は、現在CO2の吸収源として世界的に注目されている。つまり、博多湾で行われているアマモ場作りは、環境改善や生物多様性の保全だけでなく、気候変動対策としても重要な取組みとなっている。この制度では、博多湾のアマモが吸収・固定した二酸化炭素量をクレジット化した博多湾ブルーカーボンクレジットを福岡市が販売し、その販売収益をアマモ場づくり活動に活用するというもの。企業や市民が努力しても減らせない二酸化炭素量をオフセットするとともに、博多湾の環境保全や脱炭素社会に向けた取組みを支援できる制度となっている。

各企業や団体の取組みの詳細はぜひYouTubeのアーカイブをご覧いただきたい。

地元の海の環境を次世代に繋げようという博多湾NEXT会議。市民をはじめ企業や行政、教育機関などがそれぞれの立場でできることを行い、協力し、海を守る活動を進めていっている。近い将来アマモ場が広がる豊かな博多湾で、海を楽しむ人が増えていくことだろう。

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