日本人水中写真家6名が国際フォトコンで上位入賞! 優勝、準優勝や複数受賞者も

毎年6月8日の世界海洋デーにあわせて開催される、水中写真専門の国際フォトコンペティション「Ocean Geographic Pictures of the Year 2023(以下、OG PICOTY)」で6名の日本人が上位入賞したという嬉しいニュースが届いた。世界中のプロフォトグラファーやハイアマチュアフォトグラファーの作品を抑え見事入賞した作品とは? 6名の作品とコメントをご紹介。

OG PICOTYとは

OG PICOTYは、ダイビングを含め海の情報発信や海洋環境問題に取り組むオーストラリアのメディア「Ocean Geographic」が主催する水中写真専門の国際フォトコンペティション。生態行動やサンゴ礁、プリント、ムービーなど全17部門で競われ、規模や専門性において世界でもトップクラスの水中フォトコンペティションだ。

日本人水中写真家たちの受賞作品

第9回目となる2023年の本コンペティションでは、日本人は6部門で6名が全部で8つの賞を受賞した。各部門の受賞作品を紹介する。

Fish Behavior(魚の行動)部門

優勝:川村圭吾氏の作品

川村氏コメント

伊豆では珍しくないシーンですが技術的にパーフェクトに撮影できました。よく見る魚の決定的瞬間を撮影できたことと、それが高く評価されたことを大変うれしく思います。世界中の一流フォトグラファーと同じステージに立てて光栄です。

川村圭吾 プロフィール
伊豆川奈のダイビングサービスとらんちオーナーガイド、ハウジングブランドMareluxのアンバサダーとMarelux Japan の代表も兼ねる。

優秀賞:片野一浩氏の作品

片野氏コメント

ホームゲレンデの大瀬崎で撮影した写真が、世界的なコンペで優秀賞をいただけたことを大変嬉しく思います。ここ数年、大瀬崎の湾内でもアカオビハナダイの数が増えてきており、産卵シーンも頻繁に観察できるようになってきました。産卵する時間帯や場所、撮影方法など、試行錯誤しながら毎週通い撮影していました。なかなか思うように撮影できませんが、その中でもこの写真はお気に入りの一枚で、その写真を評価していただけたのがとても光栄です。

片野一浩 プロフィール
大瀬崎をホームゲレンデとし、ほぼ毎週大瀬崎に通い、生態シーンの撮影を楽しんでいるサラリーマンダイバー。

Black & Blue water部門

優秀賞:川村圭吾氏の作品

川村氏のコメント

ヒカリボヤに乗るサガミウキエビは、出会えるかは運しだいで、夜の大瀬に通い詰めたのが報われた気持ちです。規模の大きなコンペで高評価を受けたことを嬉しく思います。リスペクトしてる世界中のフォトグラファーたちとSNSで称えあっていて楽しい時間を過ごしています。

Color Print部門

準優勝:高橋怜子氏の作品

高橋氏のコメント

2022年3月、バハマのタイガービーチで撮影した妊娠中のタイガーシャークです。この場所にはタイガーシャークは数十匹いたのですが、ひと際目立つお腹の膨らみ、体の大きさは随一で、すぐに虜になりました。タイガーシャークは2~3年に一度、50~100匹を出産します。その出産は胎生です。優しさ、強さ、美しさを兼ね備えた母ザメの魅力が伝われば幸いです。

高橋怜子 プロフィール
三陸大船渡出身、北上市在住。2017年、長く勤めた半導体エンジニアを退職し、世界の海を旅し、撮影している。national geographic image collectionのメンバー。national geographic yourshot寄稿者。

Coral Reefs of the World部門

優勝:三浦エリカ氏の作品

三浦氏のコメント

この写真は、昨年の夏に石垣島周辺で大規模なサンゴの白化が起きてしまった際に撮影したものです。サンゴが折り重なるようにモリモリと生えた大好きな場所だったのですが、ほんの数週間の間に一面真っ白になってしまいました。私に今できることは、この状況を記録し伝えることだ、と思い撮影した1枚です。サンゴの白化の大きな要因となる海水温の上昇。それを引き起こす要因の一つである強烈な太陽を入れて、半水面で撮影しました。

三浦エリカ プロフィール
1990年横浜生まれの写真家。慶應義塾大学卒業後、テレビ局へ就職。その後、沖縄へ移住し、ダイビングインストラクターとして働きながら水中写真を学ぶ。現在は写真家として、水中と陸上を一緒に写した半水面写真を中心に撮影を行う。

準優勝:石野昇太氏の作品

石野氏のコメント

2年連続で大きな賞がいただけたことを光栄に思います。この写真は、ホームの沖縄本島で撮影したものです。広大なサンゴ礁を背景に、その美しさを最大限に引き出そうとフリーダイバーの方にモデルになっていただきました。

石野昇太 プロフィール
石野昇太さん
写真家でありガイド。海洋生物の生態行動の研究をライフワークとし、ネイチャーガイドの傍ら自ら撮影も行う。水中撮影に関する全ての悩みを解決に導くフォト講座が、初心者にもわかりやすいとゲストに好評。ダイバーやフリーダイバーをモデルにした水中ポートレートを撮影する写真家としても、精力的に活動している。

Open Water部門

準優勝:倉嶋大輔氏の作品

倉嶋氏のコメント

沖縄本島で遭遇したザトウクジラの母子と、それをエスコートしようと近づいてきたオスのクジラです。3頭がちょうど画角に入り、母クジラのヒレがいっぱいに広がったタイミングに合わせて、画角いっぱいまで使って母クジラの存在感を存分に生かした構図で撮影しました。太陽の光がヒレに当たって鈍く輝いていたのが印象的でした。今回、2年ぶりに上位入賞を果たすことができた上に、尊敬するBrian Skerry氏に高く評価してもらえたことを大変嬉しく思います。

倉嶋大輔 プロフィール
1976年長野県生まれ。水中写真家。35歳を過ぎてダイビングと水中写真に夢中になり、いくつかのフォトコンテストで入賞した後、写真家に。縦構図での撮影を得意とする。

Conservation Picture(環境保護)部門

優秀賞:石野昇太氏の作品

石野氏のコメント

長年浮遊生物を追いかけてきて出会ったタコブネの写真です。貝殻を作る不思議なタコで、見られるだけでもレアなのに、ギンガメアジの幼魚付きでさらにプラスチックのスプーンまで持っていました。

日本人写真家が6名も上位入賞をするというだけでも驚きだが、川村氏はFish Behavior部門で優勝、Black & Blue water部門で優秀賞を受賞し、石野氏はCoral Reefs of the World部門で準優勝、Conservation Picture部門で優秀賞とダブル受賞している方が2名もいるのも驚きだ。今後も世界での活躍を楽しみに応援していきたい。

▶︎受賞作品一覧
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