【沖縄・恩納村】一般ダイバー向け「リーフチェック チーム科学者養成講座」を初開催 8名のチーム科学者が誕生
2026年2月7日・8日の2日間、沖縄県恩納村において、「リーフチェック チーム科学者養成講座」が開催された。主催は恩納村、協催は恩納村マリンレジャー協会。本講座は、科学的手法に基づいてサンゴ礁の健康状態を調査・記録する人材を育成することを目的として実施されたものである。
今回の講座は、今年一番の冷え込みの中での開催となったが、一般ダイバーにも門戸を開いた恩納村で初の試みとなり、村内在住のダイバーたちが参加し、新たに8名の「チーム科学者」が誕生した。

オープンウォーターダイバーからインストラクター、OISTスタッフ、ダイビングショップスタッフなど多様なバックグラウンドを持つ8名が参加
サンゴ礁の健康状態を調べる「リーフチェック」とは
リーフチェックとは、ボランティアダイバーと科学者が協力し、世界共通の手法を用いてサンゴ礁の健康状態を調査・監視する国際的な取り組みである。いわば、サンゴ礁の“健康診断”ともいえる活動であり、長期的な環境変化を把握するための重要な基礎データとなる。
専門の研究者だけでなく、適切なトレーニングを受けた一般ダイバーも調査に参加できる点が特徴で、市民科学(シチズンサイエンス)の代表的な取り組みの一つである。

底質調査では、海底に設置したラインに沿って、50cmごとにライン直下の底質を記録する。これにより、サンゴや砂、岩、藻類などの割合を定量的に把握することができる
事前学習を経て臨んだ対面講座 データに責任を持つ「チーム科学者」を育成
講座の初日は主催の恩納村役場と共催の恩納村マリンレジャー協会の挨拶から始まり、恩納村のサンゴ保全および持続可能な村づくりの取組「サンゴの村宣言」についても共有された。
参加者は事前にオンラインで学科講習を受講しており、講座はその振り返りと質疑応答からスタートした。講座では、魚やサンゴの見分け方、サンゴ礁生態系におけるそれぞれの役割、調査対象となる生物の定義など、実際の調査に必要な知識が共有された。

質疑応答では、「白化したサンゴは死んでいるのか」、「この種類のナマコはカウント対象になるのか」、といった、水中での実際の観察に基づいた具体的な質問が多く寄せられた
白化は必ずしもサンゴの死を意味するものではなく、環境条件が回復すれば元の状態に戻る可能性があることや、生物の記録には明確な定義と基準が存在することなどが解説された。こうしたやり取りを通じて、参加者は単に観察するだけでなく、科学的な根拠に基づいて「データに責任を持って記録する」姿勢を学んでいった。

陸上でも水中と同様のシートを使い、魚類、無脊椎動物、底質のチェックのデモンストレーションを行った
二日目は実際の調査を海で行い
データの入力、試験まで実施
講座二日目は、沖縄県金武町にあるレッドビーチにて実際のリーフチェック調査が行われた。

前日に学んだ内容を海で実施していく
参加者は海底に設置されたラインに沿って底質や無脊椎動物などを一定間隔で記録。サンゴ、岩、砂、藻類といった底質の種類や、ナマコなどの調査対象種の有無を確認しながら、科学的手法に基づいたデータ収集を実践した。
水中では、ライン直下の底質を正確に判別する必要があり、事前講習で学んだ知識をもとに慎重に観察と記録が行われた。参加者は互いに確認し合いながら調査を進め、単なる観察ではなく「データとして記録する」ことの重要性を体感していた。

一人が記録する場所を正確に指示し、もう一人がそれを元に記録を行っていく
調査後は恩納村役場に移動し、収集したデータの入力作業を実施。水中で記録した内容を整理し、統一されたフォーマットに基づいてデータベースに入力することで、初めて科学的な調査データとして活用できる形となる。

記録したシートをもとにフォーマットに沿って入力をしていく
その後は振り返りが行われ、調査中に迷った点や判断が難しかった事例について講師とともに確認し理解を深めた。講座の最後には筆記試験が実施され、リーフチェックの調査手法や調査対象種の識別、記録方法に関する理解度が確認された。

講座の最後にはオンラインの事前学習と二日間で習った内容を筆記試験で確認
すべてのプログラムを修了した参加者には修了証が授与され、恩納村に新たに8名の「チーム科学者」が誕生した。
一般ダイバーも担う「海を見守る役割」
参加者からは、
「とても勉強になりました。実際に水中で底質や無脊椎動物の記録をすると、分からないものもあり、スタッフの方に沢山教えていただきました。今後もリーフチェックに参加して、恩納村のサンゴの状況や変化をチームの皆さんと見守っていきたいと思いました」
といった声が聞かれた。
リーフチェックは、専門家だけでなく、トレーニングを受けた一般ダイバーも参加できる活動である。ダイバーが単に海を楽しむだけでなく、変化を記録し、未来へとつなぐ役割を担う存在となることが期待されている。
次回開催は未定だが、決定次第改めて案内される予定である。
写真提供:恩納村マリンレジャー協会

