100年後に残す。喜界島のサンゴの”今“を記録した『喜界島 海と陸の造礁サンゴ図鑑』

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福田介人氏 撮影

鹿児島県喜界島に拠点を置いて、サンゴ礁の研究や教育活動を行なっている喜界島サンゴ礁科学研究所が、専門の研究者と共同でサンゴの分類や地質等を記録した『喜界島 海と陸の造礁サンゴ図鑑』を制作し、販売開始した。世界でも稀有な隆起サンゴ礁の島である喜界島のサンゴを総合的に理解できる1冊の制作背景や図鑑の詳細とは?

図鑑の制作は、子供の素朴な疑問がきっかけだった!

喜界島サンゴ礁科学研究所は、サンゴを「100年後に残す」という理念のもと、研究・教育・普及を軸に活動している。サンゴ礁科学研究所に子どもたちから寄せられた「喜界島には何種類のサンゴがいるのだろう」という疑問から今回のサンゴ図鑑制作はスタートした。サンゴの分類や地質が専門の研究者をはじめ、喜界島サンゴ礁科学研究所とそのほか喜界島に集まる学生が一緒になってサンゴの種類の把握や標本採取、写真撮影が行われた。

地球温暖化により変化してしまうかもしれないサンゴの記録のため

亜熱帯と温帯の境界線に位置する海域にある喜界島。地球温暖化の影響で日本各地のサンゴの種類が変わり、サンゴが北上していると言われていく中で、今後、喜界島のサンゴの種類も変わる可能性もある現状。そんな懸念に対し、サンゴ図鑑の制作とサンゴの標本を残す今回の取り組みによって、未来の研究につなげることができるとともに、喜界島の今を指標として残すことができると考えている。


『喜界島 海と陸の造礁サンゴ図鑑』詳細



喜界島での調査で見つかった150種以上のサンゴを、生物、骨格の写真と文で解説。サンゴを見分ける際にも非常に分かりやすい構成となっている。

また、喜界島はサンゴ礁が隆起して形成された島であり、陸上でも化石化したサンゴが見ることができるため本図鑑では、喜界島で観察できる化石のサンゴも属ごとに写真とともに解説。その他、隆起サンゴ礁の島である喜界島の成り立ちや、古くからサンゴを資源として活用してきた島民のサンゴ礁文化を紹介するページ、サンゴの形状や生態に関する解説など喜界島のサンゴの魅力がつまった一冊に仕上がっている。

サンゴ図鑑は喜界島サンゴ礁科学研究所、又は、ネットショップで購入可能。
https://sangocafe.base.shop/

この図鑑をみてから喜界島を訪れることで、水中のサンゴだけでなく、陸上にある化石サンゴも探してみるなど、 喜界島とサンゴの新しい楽しみ方を体験できるかも!?

NPO法人喜界島サンゴ礁科学研究所
国際的にも稀少な隆起サンゴ礁から成り立つ鹿児島県喜界島を拠点として海洋・地質に関る生物に関する調査・研究事業を行い自然科学の発展と普及に寄与することを目的とし、2014年から活動を開始。サンゴ礁サイエンスキャンプ・サンゴ塾・サンゴ礁文化の伝承などの教育啓蒙活動、サンゴの飼育・リーフチェック・観測などの学術調査を含め行政・研究者・大学と連携した活動を展開。

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PROFILE
奄美在住。高校生の時にブラジル留学を経験。泳ぐのが苦手で海とは縁がない人生だと思っていたが、オーシャナとの出会いを通じてOWD(BSAC)を取得。オーシャナを通じ、環境問題や海のことについて勉強中。
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