“29分3秒”水中息止めで世界新を塗り替えたフリーダイバー。アザラシ並みの息止め時間

昨年6月、クロアチアのフリーダイバー、ヴィトミル・マリチッチ氏が、純酸素を使用したうえでのスタティックアプネア(泳がずに静止した状態で行う息止め競技)で29分03秒という世界新記録を樹立した。この挑戦は、フリーダイビングが持つ競技としての奥深さと、人間の生理的限界を鮮明に示す出来事となった。

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純酸素を使用するスタティックという特殊なカテゴリー

今回の記録は、事前に純酸素を吸ってから行う酸素補助付きスタティックアプネアに分類される。マリチッチ氏は挑戦前に10分間純酸素を吸入し、水深3mのプールで静止。29分03秒の息止めを達成した。

純酸素の事前呼吸は、体内の酸素飽和度を高め、二酸化炭素の蓄積を遅らせる。一般的なスタティックアプネアとは、身体へのアプローチそのものが異なる競技だ。なお、酸素補助なしのスタティック世界記録は11分35秒とされている。

限界を決めるのは肺ではなく精神力

長時間の息止めは、肺活量だけで決まるものではない。血中のCO₂増加に反応して起こる横隔膜の痙攣(収縮)は、誰にとっても避けられない壁だ。マリチッチ氏も20分を超えたあたりから、肉体的な負荷は増し続けたと語っている。一方で精神的には「20分を過ぎてからの方が楽だった」とも述べており、苦しさを排除するのではなく、受け入れ制御し続ける力が記録を支えていた。

この記録はバンドウイルカの最大潜水時間を大きく上回り、アザラシに迫るレベル。条件付きとはいえ、人間がここまで到達した事実は興味深い。果たして人間は、どこまで海の生き物に近づくことができるのだろうか。

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