TIFAで金賞受賞!さらなる高みを目指す撮影チーム「CONTRAST」の次なる目標とは!?

各地で活躍するプロダイバーが集まった若手水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」。2021年12月に活動を開始してから、精力的に作品作りに取り組んできている。そんな彼らが2022年12月に、東京インターナショナル・フォト・アワード(TIFA)2022のアマチュア部門ネイチャーカテゴリーのサブカテゴリ―である「水中」で、唯一の金賞を受賞!さらにネイチャーカテゴリー内金賞に選ばれた16作品の中から、見事2位に選ばれた。受賞の喜びの声とともに、さらにこれからどんな活動をしていこうと思っているのかなどを聞いてみた。

受賞作品「In the Cave(洞窟で)」。撮影地は沖縄「辺戸岬」(撮影:石野昇太)

受賞作品「In the Cave(洞窟で)」。撮影地は沖縄「辺戸岬」(撮影:石野昇太)

自分たちが表現したいことが作品になり、評価してもらえたことが嬉しい

「CONTRAST」のメンバーは、松井一真氏(SO BLUE DIVERS 須磨)、石野昇太氏(ゴリラハウス)、木村(こう)(せい)氏(SUPER FISH DIVING沖縄店)、矢北拓也氏(城ヶ崎インディーズ)、吉田健太朗氏(DIVE ESTIVANT)、茂野優太氏(Underwarter Creator)の6人。現地ガイドに都市型ショップのインストラクター、そして水中カメラマンとそれぞれ忙しく活動する中、「6人で一つの作品を作る」という試みを続けてきている。オーシャナでは昨年1月に、活動を始動して第1回目の撮影を終えたばかりのメンバーに取材を行った。

世界を目指す!各地のプロダイバーが集まった若手水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」の活動、想いに迫る

あれから1年。早くも彼らは、目標の一つに掲げていた「フォトコンテストで受賞する」という夢を実現したのだ。今回受賞の報を受けて、CONTRASTのリーダー・松井一真さんにオンラインでのインタビューを行った。

オーシャナ編集部(以下、――) この度は受賞、おめでとうございます。メンバーの皆さん、とても喜ばれていたんじゃないですか⁉

松井一真氏(以下、松井氏)

ありがとうございます。皆、めちゃめちゃ喜んでいましたね。受賞作品はCONTRASTでの2回目の撮影のときの作品なんですが、活動を開始してわりとすぐに結果を出すことができたことは、本当に嬉しいです。

――受賞作品を拝見させていただきましたが、ライティングの妙というか、光と影の織りなす荘厳な感じがとても素晴らしいですね! こちらのフォトコンに作品を出された経緯など、教えていただけますか?

松井氏

そもそも作品を撮り始めたときから、フォトコンに出して賞を獲るということを一つの目標にしていました。茂野君や石野君が世界的なフォトコンをピックアップし、その中でもネイチャー部門があって、人物が入った水中写真を出せるところということで、いろいろなフォトコンに作品を出してみました。こちらのフォトコンもその中の一つでした。

――そうなんですね。ちょうど昨年の5月にCONTRASTのメンバーの皆さんにお話を聞かせていただく機会があったのですが、その時に「チームで撮影する」ということについて、どのように役割分担をされているのかを伺いました。こちらの受賞作品は、現場ではどのように役割を決めて撮られたんでしょうか?

松井氏

CONTRASTのコンセプトとして「一人では撮れない写真、チームでないと撮れない写真を撮る」ということがあります。撮影者、ライティング担当、そしてモデルなど役割分担して撮るわけなんですが、この作品の撮影時は4人しか集まれなくて…。ちょっと人手が足りない感じではありました(笑)。石野君が撮影担当で、矢北君がモデル、僕と幸成君がライティングをしていました。6人いれば、俯瞰して全体を見て「こうしたほうがいい」とアドバイスする担当を作れるのですが、この時は石野君が撮影しながら、ほかのメンバーに指示を出していました。

――もうちょっと人手があればという感じだったんですね…。結構撮影には時間がかかりましたか?

松井氏

まず1回撮影してみて、水中から上がって写真を皆で見直しました。この時の撮影地「()()(みさき)」は洞窟のポイントで鍾乳洞もあり、すごくいいところだったので、1本目の段階で「こういう写真が撮りたかった!」っていう感触がつかめました。そして、もうちょっと突き詰めていけば、かなりいいものが撮れるんじゃないかという確信が持てたんですね。
その後、もう1ダイブしてこの作品が撮影できて、結果として受賞できたのでとても嬉しいです。

――思い描いていた写真が撮れて、それが評価されたというのは、とても嬉しい結果ですよね。それにしても、水中でコミュニケーションをとるのは、大変じゃなかったですか?

松井氏

そうですね。特にあの時は鍾乳洞の中なので真っ暗。モデルに向けてライティングをしているので、僕たちからは撮影者がまったく見えていなくて。モデルも後ろからライトを当てられていて、撮影者の石野君のほうは真っ暗なんですよ。結局、石野君が僕たちのほうに泳いできて「もうちょっとこっち」とか伝えに来てくれました。彼が一番大変だったんじゃないですかね…。

CONTRASTでは、モデル、ライティング担当、そして撮影担当と役割分担して作品を作り上げている

CONTRASTでは、モデル、ライティング担当、そして撮影担当と役割分担して作品を作り上げている

――撮影後にどの写真をコンテストに応募作品として出すかは、迷われませんでしたか?

松井氏

宿舎に帰ってから、参加できなかったほかのメンバーにも写真を送って見てもらって、どれをフォトコンに出すかを決めました。でも一番いいのはこの写真だっていうのがあったので、あまり迷うことはありませんでした。

――CONTRASTのメンバーは皆さん、それぞれ水中写真を撮られるわけですが、撮り方や作品の選び方で意見が分かれるようなことはないんですか?

松井氏

茂野君や石野君がやはり撮影に関しては詳しいし、実力もあると思うので、彼らの考えを軸にどうするか考えることが多いですかね。

自分たちより若い世代へ、ダイビングや水中写真の魅力を伝えていきたい

――これからの活動についてお聞きしたいのですが、CONTRASTでは2023年はどんなことをしていきたいと考えていますか?

松井氏

とりあえず3月末に4回目の撮影を予定しています。2回目の撮影で人数が少ないという問題があったので、去年の11月末に行った3回目の撮影では、サポートメンバーを募集しました。いつものメンバーにプラスして5人の方に参加してもらったんです。今年もサポートメンバーは、募集していきたいと思っています。

――それはおもしろい試みですね。やはり人数が多いと、違う形でやりたいことができたりするんですか?

松井氏

正直、サポートメンバーに撮影を手伝ってもらおうという気はその時はあまりなくて。若手の人たちに、僕たちがどんなふうに撮影しているか、どんな活動をしているのかを見てほしいと思って、サポートメンバーに参加してもらいました。僕たちの活動を見てもらって、ダイビング業界っておもしろい、インストラクターの仕事ってカッコいいと思ってもらえたらいいですね。

――CONTRASTを立ち上げたときに「ダイビング業界を一段上に押し上げる」ということを言われていました。サポートメンバーを募るというのは、そういう想いもあるということなんですよね。

松井氏

そうですね。ただ次回の第4回目の撮影は、メンバー6人だけで行う予定です。久々に全員集まれそうなので。それ以降はまたサポートメンバーを募集すると思います。

――最後になりますが、2023年、CONTRASTの目標があったら、教えていただけますか。

松井氏

サポートメンバーとして参加してもらう若手に、どんなふうに関わってもらうか。撮影のノウハウなども教えていきたいと考えています。ダイビング業界の中では僕らはまだ若手と言われていますが、もっと若い20代の方たちを育てていけたらと思いますね。また今回、フォトコンで賞をいただきましたが、グランプリではありませんでした。グランプリを狙って、作品づくりをさらに突き詰めていきたいと思っています。

――ありがとうございました。今後のますますのご活躍を期待しています!

CONTRASTのメンバーたち。左から石野氏、茂野氏、吉田氏、松井氏、木村氏、矢北氏

CONTRASTのメンバーたち。左から石野氏、茂野氏、吉田氏、松井氏、木村氏、矢北氏

自分たちが目標を持って作品づくりをしていくこと以外に、業界の若手を育てていきたいと考えていることを聞いて、やはりCONTRASTは撮影集団であるだけでなく、今後のダイビング業界を引っ張っていく存在になっていくのではないかと確信した。
春には4回目の撮影、そして今後は動画の公開なども考えているという彼らの活動から、目が離せない! 最新情報はインスタでチェック↓

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PROFILE
大学時代に慶良間諸島でキャンプを行い、沖縄の海に魅せられる。卒業後、(株)水中造形センター入社。『マリンダイビング』、『海と島の旅』、『マリンフォト』編集部所属。モルディブ、タヒチ、セイシェル、ニューカレドニア、メキシコ、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、オーストラリアなどの海と島を取材。独立後はフリーランスの編集者・ライターとして、幅広いジャンルで活動を続けている。
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