世界を目指す!各地のプロダイバーが集まった若手水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」の活動、想いに迫る

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「水中写真で世界を目指す」

日本各地のプロダイバーが集結した水中撮影チーム「CONTRAST(コントラスト)」が2021年12月、始動した。メンバーは、松井一真氏(SO BLUE DIVERS 須磨)、石野昇太氏(ゴリラハウス)、木村幸成(こうせい)氏(THE DIVE FACTORY)、矢北拓也氏(城ヶ崎インディーズ)、吉田健太朗氏(DIVE ESTIVANT)、茂野優太氏(Underwarter Creator)の6名。現地ガイドに都市型ショップのインストラクター、そしてカメラマンと、ダイビング業界の中でも異なるフィールドで活躍する彼らが集まり目指すのは「世界」。そして、この活動を通し、ダイビング業界をもう一段上に押し上げたいとも。

これからの未来をつくる若手ダイバーたちの想いとは。そしてどんな活動をしていくのか。12月の沖縄で、第1回目の撮影を終えたばかりのCONTRASTメンバーに突撃取材!

左から石野氏、茂野氏、吉田氏、松井氏、木村氏、矢北氏

左から石野氏、茂野氏、吉田氏、松井氏、木村氏、矢北氏

プロフィール

リーダー

34歳。SO BLUE DIVERS 須磨代表。学生時代、西伊豆大瀬崎でダイビングと出会い魅了されそのまま就職。その後、兵庫県竹野へ移り、修行期間計9年を経て、2020年、地元神戸にて独立開業。

アートディレクター

33歳。ダイビングサービス・ゴリラハウス代表。大学のサークル活動を通して写真撮影とダイビングガイドの楽しみに気付く。飽き性な自分でもこれなら辛くても続けられると思い八丈島へ移住し、フィッシュウォッチングの草分け的存在のレグルスダイビングにて5年間の修行を積む。2018年にフォト派向けダイビングサービス・ゴリラハウスを開業。

モデル・映像

31歳。城ヶ崎インディーズ店長。ダイビングショップの次男に生まれ、写真専門学校卒業後、小笠原母島、フィリピンプエルトガレラの修行時代を経て東伊豆を拠点に活動。静岡県伊東市ダイバーズ協議会理事も務める。

モデル・インタープリター

32歳。THE DIVE FACTORYインストラクター。20歳の入社以来、講習・ガイドに明け暮れ現在までに発行したCカードは1300枚以上。環境保護にも力を入れていて、伊豆半島でのサンゴ保全活動も行っている。

モデル

31歳。DIVE ESTIVANTガイド。20歳の時に久米島の海に初めて潜り、久米島のDIVE ESTIVANTに就職。ガイド会会長も務めるDIVE ESTIVANT代表の川本氏のもとで修行を積む。

撮影

30歳。underwarter creator。学生時代にダイビングにハマったが、ファーストキャリアは夢よりも安定を取り銀行に就職。SNSで流れてきた1枚の写真をきっかけに水中写真家を目指し、銀行を1年で辞めダイビング業界に入ることを決意。誰かの人生を変えるような作品を作りたいという想いから、写真、映像、文章などさまざまなアプローチで海の面白さ、ダイビングのカッコ良さを発信する。

世界を目指すとは?CONTRAST始動のきっかけ

suika

さっそくですが、CONTRASTは何を目的としたチームなんでしょうか。

6人で一つの作品を作って、世界的なフォトコンテストで優勝することが目標です。

suika

6人で作品をつくるとはどういうことでしょうか?

1人で被写体探してライティングして撮影して…というスタイルではなく、撮影、モデル、ライティング、ディレクションなど、それぞれ役割分担をして、作品を作るんです。

「青の洞窟」での撮影シーン

「青の洞窟」での撮影シーン

suika

なるほど。でもなぜチームで?

このメンバーは、それぞれ水中写真に力を入れてきたんですね。なので、そういうダイバーが集まるとどういうものができるのか挑戦してみたかったんです。

suika

このメンバーでチームを立ち上げたきっかけは、なんだったんですか?

僕が茂野くんと2人で飲んだ時に「プロだけで遊びたい」って相談したのがきっかけです。

suika

「遊びたい」が始まりなんですね!

はい。そしたら、茂野くんが「僕に考えがあります。メンバーももう考えています」って。

海外だとチームで撮影をするのはスタンダードなんですが、日本ではまだ一般的でないので、それを先駆けてやろうと。そして、そのくらいの実力が僕ら世代にはついてきたのではないかと思って。それから、ガイドの先輩たちの代では、各々が競い合うことで海の魅力の発信を強めてきたと思います。僕たちはその先輩たちが競い合って残していったものを受け継ぐだけじゃなく、じゃあ「一緒に何か作っていったらどうなんだろう」って思っていたんです。

発起人は茂野くんと昇太の2人で、実は僕らは呼ばれた側です(笑)

suika

そうだったんですね。なぜこのメンバーなんですか?

茂野くんとも話して、日本各地を潜りに行っている間に出会ったり、来てくれたりした人たちの中で、お互いに面白いなと思った同世代のプロダイバーたちに声をかけました。目標を持って、実力をつけてきているような人と言ったら良いでしょうか。でもそういう方って見つけられていないだけで他にもいると思うので、そういう人たちと繋がるきっかけにCONTRASTがなればいいなとも思っています。「ここに自分も参加したい」と思ってもらえるようにしたいです。

suika

確かに「面白い人いない?」って普段からよく聞いていましたね。呼ばれたみなさんは、それぞれどう思いましたか?

僕は…「ですよね」って感じですね。

笑笑

今まで茂野くんからも「もっと一緒に何かやりましょう」って言われていたし、そういう話をしていたので、逆に声かけられなかったらちょっと(笑)。それに、今回のメンバーを聞いたら、同世代の中で意識していた方々ばかりだったので、そりゃもちろんやらせてくださいと。

僕は東京の都市型ショップ「ダイブファクトリー」のスタッフで、有名なガイドたちの中に入っていいの?と正直思いました。でも声かけてもらったから行くしかないって。きっとこのメンバーならすごいことができると思ったので、自分はまず全力で参加しようと。


僕は久米島の「ESTIVANT」のスタッフなんですが、島内だけだとショップの数も少なく、同世代のガイドもあまりいないので、誰かと切磋琢磨するっていう感じがなかったんです。だから個人的にはとにかく外に出ていろんな刺激が欲しいという気持ちは大きかったです。実際にこのメンバーでのZoomに参加したときに、自分の頭の中にこれっぽっちもなかったことばかりみんなから出てきて。それを感じられるだけでもこの場に来たいと思っていました。

僕は大好きな2人から誘われて嬉しかったのはもちろん、こういうことをしたいと茂野くんから連絡をもらって話したときに、自分の考えがすごく広がって。去年独立したというのもあるのですが、自分がどうしたいかばかり考えていたので、同世代で何かしたいとか業界を盛り上げたいとか、その考えがすごく新鮮すぎて。僕はもう正直、楽しみだけで。これから道が広がっていくんだなって…(泣)

リーダー泣いてる!(笑)

suika

みなさん、お互いに意識していた人同士で高め合えそう、というのが大きかったんですね。逆にいうと、今までは横の繋がりはなかったんですか?

あったけど狭いというか。

横のつながりを持てるほど外に出られてなかったと思います。

出ている人はいたと思うけど、それをこういう風に形にするのがすごいいいなあと思っています。

初の撮影を終えて

suika

今回初めて全員集まって撮影されていましたが、やってみてどうでしたか?

最高だった!

まじで全員にキスしたい。全員一流。

普段みんなお客さんの写真を撮ったり、お客さんが写真を撮っているのを見たりしているときに、こうするともっといいのにと感じていることがあったと思うんですよ。それが全部きれいに解消された感じ。

伝わり合いましたね。

あの人数で潜って、水中で全員に信頼を置いて自分の動きができることってないです。本当に気持ちよかったです。

こうすれば、ああしてくれているんだろうなっていう安心感がすごかったです。

撮影:CONTRAST

撮影:CONTRAST

しかも時折それが自分の考えていたことを超える。読み合いがすごいです。

それぞれの役割を交代してもうまくいきました。初日の一本目で「これだ!」ってなりましたもんね。

改めて、今までになかったかっこいい写真を撮りたいって思いました。

suika

今回の作品はコンテストに出すんですか?

UPY(アンダーウオーター・フォトグラファー・オブ・ザ・イヤー)(※1)には出そうと思っていたのですが、まずは水中に限らず直近で開催される国際的なフォトコンテスト「ALL(オール) ABOUT(アバウト) PHOTO(フォト) AWARDS(アワード) 2022」(※2)に出そうと思っています。

suika

どんな評価が得られるか楽しみですね!

※1 UPY:2015年より開催されているイギリスの水中写真専門の国際コンペティション。
※2 ALL ABOUT PHOTO AWARDS 2022:2013年創設の写真専門メディアAll About photoが2016年から開催する、アマチュア、プロ、ジャンル問わず国際的に開かれたフォトコンテスト。

ダイビング業界を押し上げるとは?若手の目指すところを作る彼らの想いとは

撮影:CONTRAST

撮影:CONTRAST

suika

世界に通用する作品を作るという目標以外に、「ダイビング業界をもう一段上に押し上げたい」とInstagramに書かれていましたが、6人で作品を作ることと、どう繋がっているのでしょうか?

各地のガイド同士、力を合わせて色々やっていくということが、業界全体の底上げに繋がるのかなと思っています。作品もそうですし、ビジネスも。それをみんなで作品を作ることで見せていけたらと。

あと、楽しそうだって思われたいですね。今、僕たちは30代前半なんですが、だいたい25歳を超えたあたりからダイビングの仕事をやめていってしまう方が多いんです。それは夢がないとか楽しそうじゃないとか、この道じゃなくていいじゃんって思っちゃうからだと思うんですよ。

インストラクター開発コースとかインストラクター試験の同期たくさんいたのにね。みんな業界からはいなくなっちゃった。

そうそう。続けていれば絶対イケてるのになーって人もいっぱいいるけど、やめちゃう。そういう人たちが「ダイビングまだまだ楽しそう」って思えたらいいなと僕は思っています。

個の限界を感じる人たちも、これくらいの世代に多いと思うんですよね。これから30年40年、同じことをやり続けていくのかなって。だから、僕ら世代で頑張るとこんな風になれるんじゃないかなって、目標にもなれたらいいなっていうのもある。

この輪に入りてぇ!みたいな。

僕は独立するっていう目標があったから、どれだけ辛いことがあっても今を耐えれば独立できると思って頑張れたけど、そういう人たちばかりではないから、楽しそうだなっていうのが一つの目標になればいいかな。業界に若い子たちがもっと欲しい。僕自身も一人じゃできないことがたくさんあるので、仲間がたくさん欲しいんです。

そう。でも若い頃に目標を持たずに頑張っている人がめちゃくちゃ多いんじゃないかな。20代で、ここ10年努力すればそのあと食っていけるはず。けど、それってやっぱり目標がある人とない人で頑張れるかどうかが変わってくると思うので、その目標の一つになりたい。

20代半ばくらいの子たちからすると、37歳とかそれより上の年齢だとリアルな自分の未来像と重ねられないと思います。でも30代前半くらいまでだったら、「もしかしたら俺、この人たちみたいになれるかな」という目標になりうるかなと。僕は30~35までが結構勝負かなと思っていて、20代で積み重ねてきたコミュニティとか能力があるので、そのことを発信していくことで、自分だけのものにせずに次の世代につなげられたらって思います。このくらいの年齢でもつかめるドリームを見せたい

行き詰まっている時に、1人でも同世代で独立してめちゃくちゃいい業績あげていい感じになっている人がいたら「あ、俺もそこいけるかも」って思うよね。でも同世代でそれを知らない方が多いじゃないですか。だからそこを知って欲しい。例えば、ここがそのロールモデルの最たるメンバーで、都市型ショップで抜きん出ている幸成さん、現地を極めている健太朗さん、独立している一真さん、昇太さん、親の代からのショップを受け継ぐ拓也さん、カメラマンをやっている僕。どこかに自分の像を重ねられるんじゃないでしょうか。

撮影:CONTRAST

撮影:CONTRAST

suika

なるほど。次の世代の目標になりたい、一緒に未来を作っていく若いダイバーと繋がりたい、ということですね。

もう一つは、新しい稼ぎ方みたいなのを定義したいです。今まではガイドをしてお金をもらうとか写真を出してお金をもらうのが普通。でも、プロ野球選手とかって野球をしている姿を見せてお金をもらうじゃないですか。ダイビングにおいて、その域の稼ぎ方ができている人ってまだいないと思うので、それをやりたいんです。トップアスリートのイチローは野球を教えるより本人が野球しているほうが、世の中的に価値がある。そういうダイビングのプロになりたい。そこには一人よりもみんなでやったほうが近づけるのではと。

自分が潜っていること自体が仕事にならないかなって僕も考えていて、この6人だったらそういう新しいことができそうだなって思っています。

今までダイビング業界ではガイドして稼がなきゃいけない、写真撮って稼がなきゃいけない、記事書いて稼がなきゃいけないとか固定概念がすごくあったと思うんですよ。その発想を突破して「自分もこれで稼ぐ!」という新しいものを作りたいです。そのために、CONTRASTでは作品のクオリティでそこを突破したいです。

僕、ガイドとかインストラクターじゃなくって「プロダイバー」って名乗っているんだけど、それをもっと体現していきたいですね。アクティビティ、エンターテインメントのプロフェッショナルとして。

suika

今回一緒に潜らせてもらって、それぞれの動き方が水中で本当にプロだと感じました。みんなそれぞれ必要な動きを無駄なくされていて、すごいなと。それでいてこんなに楽しそうにダイビングするなんて羨ましいというか。

このメンツでこういう風に働きかけをできたら、もっともっと業界が良くなるんじゃないかとか、かっこいいこと考えていたんだけど、海に入ってみたら自分たちばっかりめちゃくちゃ楽しくて(笑)。でも僕らばっかり楽しく気持ちよくじゃなくて、周りのみんなももっと良くなる方法っていうのはないかな、どうしたらいいかなって考えながらやっています。

CONTRAST

suika

この活動を見ているダイバーに伝えたいことや感じて欲しいことはありますか?

まず、僕ら一人ひとりが欠点もあるし、完璧なわけじゃないんです。だから、欠けていてもいいからまず一個自分の好きなところを見つけて伸ばしていこうよっていうところですかね。このメンバーも多分何か一つ尖ったところがあるから、いい写真が撮れるとか、目立った存在になっていると思います。だからそういう「自分の好きなものを伸ばしていこうぜ」っていうのを伝えたい。役割分担をInstagramに書いてみたのもそういうところかな。

それぞれの好きのあり方を飛び抜けさせていこうぜと。このメンバーはみんなそうだから。その一個飛び抜けたものを磨いていったら、周りもついてくる

suika

なるほど。活動を応援したいとか参加したい場合はどうしたら?

まずはインスタのフォローお願いします!

作品を作るまでのプロセスに参加してもらったり、作品を売ったり、サポートできる仕組みを作ったり、今後色々できたらと思っています。

応援よろしくお願いします!

suika

みなさんありがとうございました。自分も同世代なのでとても刺激を受けました。一緒にダイビング盛り上げていきましょう。

撮影:CONTRAST

撮影:CONTRAST

活動が始まったばかりのCONTRASTは一体どんな作品を世に出していくのだろうか。そしてどんな姿を私たちに見せてくれて、楽しませてくれるのか。これからの日本のダイビング業界を担う彼ら注目の活動の様子はInstagramでチェック!

▶︎CONTRAST公式Instagram
▶︎メンバーのInstagramはこちら
松井一真
石野昇太
木村幸成
矢北拓也
吉田健太朗
茂野優太

UPY
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PROFILE
IT企業でSaaS営業、導入コンサル、マーケティングのキャリアを積む。その一方、趣味だったダイビングの楽しみ方を広げる仕組みが作れないかと、オーシャナに自己PR文を送り付けたところ、現社長と当時の編集長からお声がけいただき、2018年に異業種から華麗に転職。
営業として全国を飛び回り、現在は自身で執筆も行う。2020年6月より地域おこし企業人として沖縄県・恩納村役場へ駐在。環境に優しいダイビングの国際基準「Green Fins」の導入推進を担当している。休みの日もスキューバダイビングやスキンダイビングに時間を費やす海狂い。
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