本日発売!「世界のダイビング完全ガイド」で感じた、ダイバーと一般人の違い

オスロブのジンベエザメ(撮影:越智隆治)

ダイビングのような特殊なレジャーは、一般の出版社やウェブサイトが参入するには情報や写真、金銭などいろいろな面でハードルが高いのが現状。

基本的には専門誌やオーシャナをはじめとする専門サイトが頑張っています。

そんななか、定期的(といっても2年に1回ですが)に出版されているのが、「世界のダイビング完全ガイド」。
『地球の歩き方』を出版しているダイヤモンド・ビッグ社のダイビングガイドブックです。

世界のダイビング完全ガイド

『地球の潜り方』というサブタイトルからも分かるとおり、世界の主要なダイブポイントを紹介する本で、ポイント数は実に373カ所! 

ダイビングエリアの特徴やベストシーズン、どんな海か、アフターダイブは何ができるかなどを網羅しているので、「次の旅先はどこにしようかな?」という旅先選びには非常に役立つ本です。

今回の改訂では王道のパラオをはじめ、アシカとのランデブーを楽しめるラパスクルーズ、イルカと遊ぶためのテクニックなどを特集。

オーシャナの寺山さんや鈴木あやのさんほか、ダイビング業界の最前線で活躍されている方々にご協力いただきました。

とまあ、宣伝はこれくらいにして、ダイビングの本を一般の出版社で出すにあたって新鮮に感じたことをまとめてみます。
ダイビング専門の出版社では“あたりまえ”だと思っていたことが通じなかったりしてちょっとびっくり。
「なるほど」と納得したり、勉強になったりすることも多くありました。

1、編集部からの寺山英樹氏への信頼度がすごい

今回は寺山編集長にスキル特集を担当していただいているのですが、編集部にとって“オーシャナ編集長”であり、書籍も出しているテラさんは「すごい人」。

「テラさんに書いてもらえれば大ヒット間違いなしね!と、ちょっと心配になるくらいの信頼感。
正直、ちょっと会わせにくいな……と思ってたりしてます(笑)。

いや、すごい人なのは認めますけど。

2、海の写真を見たときの感想が新鮮!

ダイバーの間では「人気生物」ということでコンセンサスがとれている魚も、あっさり切られてしまいます。
例えばナポレオンは「グロテスク」、バハマのマダライルカは「気持ち悪い」など、「あ、それ言っちゃった……」という正直な感想が面白い。

グレートバリアリーフのナポレオン・ウォーリー(撮影:越智隆治)

「青い写真ばっかりでつまらないわねぇ」というのも何度も聞いたコメント。
ダイブポイントの紹介ですからねぇ……。
でも、なるべく色のある写真を入れるよう努力しましたよ。

逆にアヤコショウダイやアザハタ、クダゴンベなど模様がきれいだったり、色が鮮やかだったりする生物が好評でした。

ニシバマのアザハタ

撮影:岡田裕介

3、どの写真のことを話しているのか分かりにくい

ダイバー同士の会話なら「右上のマンタの写真をバラクーダの群れと入れ替えて」とか、「ヘルフリッチをやめて、ムレハタタテダイの写真を大きくして」なんていう言い方で通じるんですが、分からない人にとっては暗号でしかない。

トルネードしているバラクーダを「イワシ」とか、捕食中のバショウカジキを「トビウオ」とか、思わず「そうきたか!」というコメントを楽しませてもらいました。

メキシコ、バショウカジキスイム(撮影:越智隆治)

越智さんによるバショウカジキのコラムも載ってます!

4、略語は当然のごとく通じない

あたりまえなんですが、略語は通じません。
思わず使った略語で混乱させてしまうことも……。

例えばダイコン。
これは今回に限らず、一般の出版社でダイビングについて書くときよく問題になります。
でもダイブコンピュータって長いので、思わずダイコンって書いちゃうんですよね。

マクロも写真業界とダイビング業界以外では通じない。
「マグロの間違いですか?」なんて言われたりして。

魚の名前もそうですね。
ギンガメは、知らなければカメの仲間だと思いますし、ハンマーリバーとかいわれても何の話?でしょう。

バリカサグのギンガメアジ(撮影:越智隆治)

ギンガメ(カメの仲間ではありません)

5、あんまり海にこだわらない

ダイビングの本ということで、海の情報を優先して紹介しがちなんですが、そこに慣れていない編集者としては「海の情報ばっかり」はバランスが悪く感じられるよう。

例えばクルーズ特集では、クルーズボートのファシリティがトップにきて、途中で寄る無人島や陸情報を紹介して、最後に海の情報という作りに。
よりクルーズライフをイメージしやすい特集になっています。

その他のエリアでも海の情報だけでなく、アフターダイブやダイビング以外のアクティビティ情報にかなりのページを割いているので、そのへんからもエリアの雰囲気を感じてもらえるのではないでしょうか。

とまあ、そんな感じであーでもない、こーでもないと言いながらできあがったガイドブック。

ちなみに表紙の写真はオーシャナの越智隆治さんにお借りしたのですが、これは満場一致で決まりました。さすが。

結局、本当にグッとくる写真はダイバーでもそうじゃなくても同じなんですね。

『世界のダイビング完全ガイド』は、本日(3月20日)発売です!

「次の旅行はどこにしようかな?」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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PROFILE
ビーチリゾートをメインにしたトラベルライター。
50以上の国を訪れた経験を生かし、旅行ガイドブックや旅行雑誌などを制作している。
編集プロダクション「アトール」所属。
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