ダイビング中にコククジラと遭遇のミラクル! ~房総半島・西川名と伊豆半島・赤沢で相次ぐ~
新年早々、房総半島、伊豆半島の水中で、立て続けにダイバーがコククジラと遭遇。
文字通り、“ビッグ”なニュースとなりました。
「白鯨との闘い」が頭をよぎった
西川名のコクジラ登場劇
最初にコククジラが登場したのは、房総半島の西川名。
2016年1月12日、西川名オーシャンパークの冨山隆弘さんが、調査潜水をしている時のこと。
ボートからエントリーし、この時期限定のスズキの群れを確認するため南エリアへ向かい、途中途中、生物を確認しながらモロコ谷に到着。
ログ用にメバル谷の崖っぷちのイロカエルアンコウを撮り始めると、目の前の崖下から何やら「ぬぉ〜」っと、とてつもなくデカいものが浮かび上がり、冨山さんの真上に!
冨山
「えっ! 何っ!? く、くっ、くじらっ?」。頭上に浮かび上がったクジラは、一旦頭を振り下ろしてきました。映画『白鯨との闘い』のシーンが一瞬頭をよぎって「ヤバい!」と、もう心臓バクバクでした」
水底から動けず、慌ててカメラをマクロモードから切り替えて撮影する冨山さんを横目でチラリと確認したコククジラは、ゆっくりと西の沖、マダイ広場の方へ去って行きました。
冨山
後を追いたかったけど潮が逆なので、これ以上後を追うわけにはいかず。スズキの群れを探すつもりが、もうどうでもよくなってしまって帰りました。この日はゲストがいなかったので潜るのをやめようと思っていましたが、やめていたら出会えなかった。これだから、ダイビングはやめられません。
【遭遇データ】
■日時:2016年1月12日(火)AM9:07
■ポイント:西川名「メバル谷」(水深23m)〜「モロコ谷」(12m)
■情報・画像提供:冨山隆弘(西川名オーシャンパーク) http://nop.chips.jp/
映像で見る以上の壮大さに感動
赤沢のコククジラ登場劇
西川名の登場から2日後の2016年1月14日(木)。
コククジラが見られたのは、伊豆半島の赤沢。
ダイビングサービスmieuxみうの松崎剛さんが、ゲスト3名を連れて「イボヤギ岩」を潜っていた時のことです。
潜水時間も40分を過ぎたダイビングの終盤、浮上に備え、潜降ロープ近くでゲストと群れやイボヤギの群生を撮影していると、ゲストたちの目の前に、突然巨大で白い物体が登場!
松崎
およそ10mほどのコククジラがゆっくりした動きで前を横切って行きました。最初に見たゲストの方は僕に向かって叫んでいたようです。出会った瞬間は、あまりの出来事に何が現れたのかよく理解できなかったのですが、クジラと認識した瞬間にカメラを構えてダッシュ。横を一緒に泳ぐことができました。とてもゆっくりした動きで、一瞬水面にも体が出たように見えました。
1分ほど奇跡の体験は続き、コククジラは、やがて、かけ上がりを降りていくように泳ぎ去っていきました。
当然、エキジット後の船上は大興奮の渦。
松崎
テレビなどの映像で見る以上の壮大さ、迫力で感動しました。ホームの東伊豆で出会えたことにさらに感動しました。
【遭遇データ】
■日時:2016年1月14日(木)AM11時20分ごろ
■ポイント:赤沢「イボヤギ岩」(水深10mほど)潜降ロープの近く
■情報・画像提供:松崎剛(ダイビングサービスmieuxみう)
沿岸性のコククジラ
ダイバーなら、いつかは会えるかも⁉
コククジラは、体長 12~14 m の、ヒゲクジラの中では比較的小型の沿岸性のクジラで、捕鯨の影響で今では見られること自体希。
ましてや、水中で遭遇し、撮影することができたのは、ダイバー人生で1度でもある方が珍しいでしょう。
冨山さんも松崎さんもクジラは初めての遭遇で、赤沢を25年以上潜る「赤沢ダイビングセンター」の平林伸介さんも初めての出来事とのこと。
今回、西川名と赤沢で見られた個体は、距離や日時、動画などを見ると同じ個体である可能性がありそうです。
冨山さんによれば、2015年の3月に神津島と新島で目撃された写真を確認したところ、同じ個体だったそうです。
また、松崎さんも、2015年、赤沢の隣のダイビングエリア、伊豆海洋公園沖を通過するのを陸上から見たそうで、今回の赤沢での目撃の30分ぐらい前にも、伊豆海洋公園の「ブリマチ」でコククジラに遭遇した方もいたようです。
沿岸部を南北に往復するというコククジラなので、同じ個体が周辺を回遊しているのかもしれません。
ダイバーが一度は夢見るクジラとの遭遇。
ひょっとしたら、日本近海の近場のダイビングエリアでいつかは会えるかも⁉
■西川名に登場したコククジラの映像
■コククジラについて→ wikipedia
【西川名オーシャンパーク】
http://nop.chips.jp/
西川名の窓口となるダイビング総合施設。
海は、大きな根や谷など、変化に富んだ地形が見どころ。
モロコやヒゲダイ、テングダイなど根付きの人気者は一年を通して普通に見られ、しかもかなり寄ることができる。
広いエリアをたくさん泳いで景色の変化を楽しむもよし、根付き生物を観察するもよし、ヒラマサやワラサなど大物回遊魚を追うもよし、じっくりウミウシ・甲殻類など小さな生物を探すもよし、と楽しみ方はいろいろ。
【ダイビングサービスmieuxみう】
http://www.ds-mieux.com/
昨年4月オープンしたダイビングショップで、インストラクター歴20年のベテランガイドが伊豆海洋公園をメインにご案内。
ほぼ毎日、伊豆海洋公園を潜っているので、旬のネタや見どころを熟知。
無理をせず、その日に一番いい海況のポイントに行くので、初心者や久しぶりの方も安心だ。