1stステージの部品がはずれた!レギュレーターの珍トラブル事例

セブの海(撮影:越智隆治)

新規のオーバーホール依頼を受けたのですが、珍しい事例だったので、予防のためにもご紹介します。

不具合は、「1stステージがちょっと緩いような気がする、くるくる回ってしまう」というものでした。

ん? どういう意味だろう? と思いながら、触ってびっくり!

1stステージのヨークリティナー(下記画像参照)が緩んでおり、指で回すとそのままはずれてしまい、ヨークリティナーとヨークが共にバラバラになりました(通常は工具を使わなければ、はずすことができません)。

■ヨークリティナー

レギュレータートラブル(提供:高尾珠実) レギュレータートラブル(提供:高尾珠実)
レギュレータートラブル(提供:高尾珠実)
レギュレータートラブル(提供:高尾珠実)

ダイビング中にトラブルに繋がらなくて本当によかったです。

さて、ではどうしてこんなことに?

前回、他店でオーバーホールをされた器材で、今回当店に初めてオーバーホールを
依頼してこられた器材であったため、前回の作業の状況がわからず、原因を断定することができないのですが、オーバーホール時の作業ミスの可能性以外にも、使用方法に問題がある可能性も考えられます。

予防のためにも、その可能性を考えてみました。

■原因

セッティングしてエアーを通した(圧をかけた)後に、1stステージを動かした(回した)。
もしくは何らかのはずみで力がかかってしまった。
そうするとこのように緩むことがあります。

■対処

今回の事例の該当機種の器材メーカーからは、ロックタイト(緩み止め剤)使用の指示はありませんが、当店では緩みが出る可能性があることを過去の事例より把握できていますので、以前から念には念をで、組み立ての際にロックタイトを使っています。
今回のオーバーホール時にもロックタイトを使用いたしました。

■ユーザーができる予防策

セッティング後に運搬する際など、1stステージを持ってしまいがちですが、「バルブを開けたら、1stステージを動かさない(力を加えない)」 ように心がけてください。

今回の事例は希なケースではありますが、ぜひ、ひとつの情報として知っておいていただきたいと思い、ご紹介させていただきました。

もし、現地で、「1stステージがちょっと緩いような気がする、くるくる回ってしまう」と気付いたら、潜る前に必ずインストラクターやガイドの方に一度ご相談して(診ていただいて)から器材をご使用するようになさってください。

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PROFILE
大学在学中、グアムで体験ダイビングをしたのを機にライセンスを取り、卒業と同時にダイビングの会社に就職。
その後、数店舗の都市型ダイビングショップで、スクールや器材販売、ツアーの企画・引率をし、2000年にインストラクターに。

数メーカーのメンテナンス講習を受けた後、ダイビング器材オーバーホール専門店「アイバディ」に10年間勤務。
現在はフリーインストラクターとして活動する傍ら、ダイビング器材・オーバーホールについて執筆活動中。

「器材の中身は見えない。だから伝えねばならない」がモットー。

ダイビング器材の中身は見えない。だから伝えねばならない~オーバーホールの現場から~ | オーシャナ
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