なぜ? 「吸うと海水が入ってくる」が「入水確認がとれない」レギュレーター
浸水するはずのレギュレーターだが
吸ってみると問題ない!?
「オーバーホールをしたばかりのレギュレーターを使ったのですが、吸うと海水が入ってくる」とのお申し出がありました。
器材を送っていただき、まずは症状を確認することが通例なのですが、念入りに診断するもレギュレーターに問題は生じておらず、水の流入を確認することができませんでした。
その旨をご説明をし、一旦器材をお戻しすることになったものの、再度またご連絡があったため、器材をお預かりすることに。
作業場のみでなく、プール、海でメンテナンススタッフ兼インストラクター2名、他インストラクター、プロコース受講生、一般ダイバーなど、複数人でそのレギュレーターを使ってみたのですが、水が入ってくることを体感できた者はおらず、途方に暮れました。
症状の確認がとれないため、確かな解決策は見出せないけれど、お客様のお申し出の症状に基づいて、考えられる原因箇所を挙げて、可能性の範囲で処置のご提案をすることにしました。
新品交換しても
まだ、水が入ってくるのはなぜ!?
本体ケースは高額であるため、歪みもクラックもなかったのそのままにして、ダイアフラムと排気バルブを交換するご要望を受け、その通り行い器材を納めしました。
それでもお客様いわく、海水が入ってくるとのことで、次はメーカーの担当者に診断をしてもらいました。
当店の方にもメーカーより連絡が入ったのですが、担当者の方も器材に問題は見受けられない、とのこと。
では、なぜ“海水が入ってくる“というお申し出があったのでしょうか?
担当者の方の見解は、「ケース下の排気バルブ付近に滞留する水が、呼吸時に空気と一緒に口元に入ることがあり、極微量であっても感じ方には個人差があるため、海水が入ってくるように感じられたのではないでしょうか」ということでした。
セカンドステージの本体ケースの大きさや形状は、メーカー・機種ごとに異なり、すべてではありませんが、ケース下部に微量の水が溜まり、パージボタンを押しても完全には排水されない場合があります。
一般に、吸ったときに海水が入ってくる原因はマウスピースの取付不全やその他部品に不具合が生じてシール性が低下したことによりますが、このようなケースは非常に希です。
最も大切なことは、ユーザーの方の不安やストレスの原因を突き止め解消すること。
安心して器材を使っていただけるように……。
珍しい事例ですが、こういったこともあると頭の片隅に留め置いてください。